異世界転移で巣ごもりごはん

gem

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扉の外で2

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死ぬ!!
おとーさんおかーさん先立つ不幸をお許しください…………。

なんて思ったのも一瞬で、妙だなと思ったのはその次だった。

何か……遅くね?

槍の穂先が緩慢としたスピードで近付いてくる。
これだけゆっくり考えに浸れてるぐらいだ。走馬灯と言うには体が動かないというわけでもない。

ものは試し。槍の軌道上から横にずれる。柄の中間辺りを握って引っ張ると、鎧の男は呻き声を上げたようだった。その声もエコーが掛かってるように妙に伸びた。

「 うわ あぁ ああ …… …… 」

槍にくっついて男が寄ってきた。武器を離さなかったために、槍ごと引っ張られたらしい。
突進の勢いは衰えていない、というのが感覚で分かる。
だったら。

「せーの……」

握る場所を腕に変えて、肩を相手の胸に押し込む。思ったより相手の身長は小さく、結構きっちりと膝を屈めた。そのまま重心を前に掛ける。健康サンダルで踏み込んだ割には上等な姿勢だ。背後で男の浮く気配がする。

背負い投げじゃい!!

「ほっ!」

遠い遠い昔体育でやったぐらいのもんだったが結果は成功……したのか何なのか、勢い付きすぎて鎧がぶわっと浮いて空中でその体が逆さまになった。うおお何かよく分からんが出来たわ。体育教師タケ先サンキュー!けど生活指導すげー厳しかったのは結構根に持ってっから!

が、その時。
体が逆さになった鎧の男から、スポッと兜が外れた。

中から出てきた顔は推定14~5歳。柔らかそうにくるんとカールした栗色の髪、どこぞの子役かアイドルか?ってぐらい顔立ちは可愛い。見開いた眼は水色だった。
唖然と眺める俺の前で、ぴょこっとした犬耳が頭から飛び出る。

犬!?
いや、それより……っ
ガキじゃねーか!

考えるより早く、スライディングの要領で鎧の下に体を滑り込ませる。相手の頭を庇うように手を伸ばして抱いたが、その瞬間に体感スピードが元の速さに戻り……

ガシャンッ!

「ぐえっ」

腹と胸とにずっしりした衝撃を喰らって、俺はがくっと気絶した。
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