妻は異世界人で異世界一位のギルドマスターで世紀末覇王!~けど、ドキドキするのは何故だろう~

寿明結未(ことぶき・あゆみ)

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第二章 新天地、ムギーラ王国にて!!

第32話 王位継承最下位の、ダリュシアーンと

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 跡継ぎ問題とはどこでも火花になる問題のようで、マリリンたちの実家もそうだが、ムギーラ王国の国王の座すらそうだった。
 ダリュシアーンは王位継承者の序列は低いが、今のムギーラ王に近い考えを持ち、野心家ではない。

 他の王位継承者は野心家が多く、城であっても相談役である僕を軽視する者が多かった。

 それどころか、僕のやってきた政策改革を、さも自分の功績のように語る愚か者も多く、城の者たちは僕のしてきた改革と言うのを知っている為、話半分にしか聞いていない。

 そんな中で、ダリュシアーンは唯一「今の理想郷と言われるようになったムギーラ王国は、相談役であるカズマがいてこそ……。感謝さえすれど、悪く言う輩がいるのが恥ずかしい」と言ってのける相手でもあった。
 王位継承者の中では、僕が推すのはその低姿勢ながらも、しっかりと周りを見る目を持っているという事も大きかった。


「非公式出会うのは良いとして、別の王位継承者も黙ってはいないでしょうね」
「全く、ややこしい事だな」
「とはいえ、俺は王になるつもりはありませんし。相談役ならいくらでも」
「その、我を優先する為……だろう?」
「勿論です」


 そう笑顔で言ってのけた僕にマリリンは世紀末覇者の顔を赤らめつつ照れていた。


「国王になれば、第一に優先すべきは国民になります。俺は第一に優先すべきはマリリンであり続けたい」
「カ、カズマッ!」
「とはいえ、非公式でダリュシアーン様に会うのは楽しみですよ。俺が推しているという事は、序列が低かろうが、次期国王として期待しているという結果でもありますから、ムギーラ王も無碍には出来ないでしょう」


 そうなのだ。
 王位継承の序列が低かろうが、国の相談役か推しているというのは大きい。
 それだけで序列が変わってしまう大きなことでもあった。
 これは少々城で荒れそうだと溜息を吐きつつ、今後の諸々の対策も考えないとなと、僕は心で溜息を吐いた。


 そして、ある日城へ向かった際、ムギーラ王に呼ばれて向かった部屋にはダリュシアーンが待っており、深々と頭を下げた。
 マギラーニ宰相も立っており、どうやら伝えていた通り「非公式の会談」をすることになりそうだ。


「こうして話すのは初めてですね。初めましてカズマ、私の名はダリュシアーンと言う」
「初めましてダリュシアーン様」
「うむ、マギラーニ宰相がな。カズマがダリュシアーンを推しているという話を聞いて、王位継承で足の引っ張り合いをしている馬鹿どもが多い中、余りパッとしていなかったダリュシアーンを選んだ理由を聞きたくてのう」


 そう語るムギーラ王に、素直に「下町の様子までシッカリ見られているのはダリュシアーン様くらいでしょう?」と伝えると、ムギーラ王は小さく頷いた。

 その、下々にまで気に掛ける。少しでも、僅かな変化にも敏感に、そして身軽に様子を見に行く様は大事だと思ったことと、「貴族だけではなく、その貴族や国を支える国民を見る、と言うのはとても大きなことです」と伝えると、王は小さく頷いた。


「それもそうじゃな。他の王位継承者は自分の派閥を盤石なモノにする為に、貴族だけのパーティーを開いているばかりで情けない。国民あってのムギーラ王国と言う事を理解しておらんのだ」
「でしょうね、特にナラシュラン様はその気がとても強い」


 ナラシュランと言うのは、王継承第一位で貴族を中心に人気を得ている王位継承者だが、国民は税金を納めるだけの金蔓としか見ておらず……。
 ましてや【レディー・マッスル】から入る金をもっと増やそうと暗躍していることも有名で、カズマは好きでなかったし、浅慮な相手は疲れるとさえ思っていた。


「その点、ダリュシアーン様は貴族、国民とバランスがいい。上手くバランスを取ってうまく立ち回っていると思っています。俺としては好感度が高いですね」
「ふむ……カズマがそこまで言うのなら、ダリュシアーンにはこれから先、更にしっかりとした王位継承の勉強や体験をして貰わねばならないか? ダリュシアーン相手ならば、国の相談役はしてくれるのだろう?」
「恐らくは」


 絶対にするとは言わないのが僕である。
 その可能性はあるというだけでも全く違うのだが、ムギーラ王はダリュシアーンに向き合い「今後、ワシの隣に立ち、そしてワシの仕事を手伝うといい」と、まさに第一王位継承者と言う立場にこの場でしたのだ。
 無論、ダリュシアーンは驚いていたが――。


「今この国でカズマと言う相談役を失うのは何よりの痛手だ。他の継承者がダメだというのなら、少しでも可能性のあるダリュシアーンを、次の王位継承者に持っていくのは必然」
「それは私もそう思います。正式に王位継承者と言う通達を出しますか」
「うむ、カズマ殿もダリュシアーンを支えてやって欲しい」


 そう言うと、僕とほぼ同じ年であるダリュシアーンに向き合い、少々困惑気味だったが、覚悟を決めて「拝命致します」と最大の礼をしたダリュシアーンに、僕もまた、ダリュシアーンをシッカリと見極めようと決めたのだった。

 それから暫くして、ムギーラ王は「次期国王は、ダリュシアーンとする」と明確に伝えたことにより、城の中は更に混乱していく事となる。
 何故ならば――。
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