妻は異世界人で異世界一位のギルドマスターで世紀末覇王!~けど、ドキドキするのは何故だろう~

寿明結未(旧・うどん五段)

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第四章 これからも世紀末覇者で心乙女な君と一緒に!

第56話 ドゲン・モナカの崩壊への快進撃

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 それからの【ドゲン・モナカ】は、ある意味快進撃を続けたと言っていいでしょう。
 使い物にならなくなった冒険者は、ギルドから叩きだして路上に投げ捨てられる。
 これは多くの住民と冒険者が目にして「あまりにも酷い」と口々に広がった。

 更に貴族に有利だと思われた元【ドッスコイ】の面々だが、文字が書けない、読めない、数字が分からないと言う三点セットで、精々読める人がいても片言だったりで、依頼主から「君たちはレディー・マッスルの面々と違って、読み書きも出来ない上に計算も出来ないのかね?」と苦言を言われ、依頼はキャンセルとなる事態が相次いだそうだ。
 これはマギラーニ宰相からの情報である。

 そして、ティティリー率いていた元「メンガンテン」は、まだ上手く動いている様だが、最近の気候変動の大きさから体を壊す冒険者が続出し、病気になった冒険者を次々とギルドから追い出し、前ほど手厚い保証も何もなくなっていたそうだ。

 追放に次ぐ追放。
 それでも世界第一位と言う事もあり、低レベルの冒険者達は入りたがっている様だが――。


「でも、直ぐ追放されるんだろう?」
「前入った奴、三日で追放だったってさ」
「は?」
「今は文字が読める奴じゃないと入れて貰えないんだと」
「なら俺達ダメじゃん」
「地道にやるしかねぇよ……」
「でも、追放された奴らは何処に行ったんだ?」
「さぁねぇ……。この国から消えたんじゃねーの?」
「寧ろ、【ドゲン・モナカ】に消されたとか……」
「「「ありえてコエェ」」」


 そんな話が冒険者の間でも広がり、件の世界第一位ギルドに入りたがる冒険者はめっきりと減っていった。
 減った人員を増やそうと躍起になる【ドゲン・モナカ】だったが、初心者である冒険者ですらその悪行を聞いて入る事を拒み、時折「助けてください!!」と、レディー・マッスルに駆け込んでくる冒険者も増えていった。

 此処迄3ヶ月。
 僅か3ヶ月での出来事だ。

 更に王室から「ドゲン・モナカは王室の依頼を受けるだけの素質無し」と断言され、王家からの依頼を受ける事は不可能となった。
 これは僕からの「冒険者は捨て駒」発言によるものである。

 だが、これにはドゲン・モナカは激怒し、冒険者ギルドに駆け込んで苦情を伝えたそうだが、冒険者ギルドは件のギルドの悪行及び悪評が余りにも酷い事で王家からも「君の選んだ世界第一ギルドとは、レディー・マッスルより大幅に劣るものを選んだのか?」と言われ、顔面蒼白になっていたのだ。

 此れ以上冒険者ギルドも【ドゲン・モナカ】に関わりたくないのが現状で、それでも日々文句を伝えてくるギルドに、冒険者ギルドはついに――クエストを発行する事を辞めた。

 冒険者ギルドが【ドゲン・モナカ】を切り捨てるのに更に1ヶ月。
 合計4ヶ月での出来事だった。




 その間、レディー・マッスルがしていた事と言えば、ドゲン・モナカから追放され、行く宛すら無くなった元ドゲン・モナカの冒険者を救い、体の破損等は無料で治していった事。
 ドゲン・モナカに帰りたいなら帰らせたが、殆どがレディー・マッスルに入り直し、勉強を施され、格の違いを見せつけた事。

 貴族からの依頼は一時的に無くなったが、王家からの依頼にその分集中できた為、格の違いを更に見せつける事が出来た。
 そして、ドゲン・モナカの冒険者の教育が殆ど間に合っていない事から、貴族たちがドゲン・モナカではなく、レディー・マッスルを懇意にするのに、そう時間は掛らなかったのもある。


 ここまでは読み通りなのだ。
 そこの段階にきてから、【レディー・マッスル】及び【ミセス・マッチョス】の冒険者として【提携】した事を大々的に発表。
 冒険者ギルドはこれ幸いにと、【世界第一位冒険者はレディー・マッスルとミセス・マッチョスである】と胸を張って宣言した事により、【ドゲン・モナカ】は世界第二位にランクを下げられる事となった。

 これに憤怒した【ドゲン・モナカ】だったが、流石にSランク冒険者が6人もいるこちらには勝てる筈もなく……。
 また悪評も広まりすぎていて、依頼を受ける事が出来ず規模は縮小していった。


 ――格の違いというのを見せつけられたのだ。
 ドゲン・モナカが次にどう出るだろうかと思っていると……。


「なに? 提携して欲しいと連絡が来たのか?」
「ああ、ドゲン・モナカも、ミセス・マッチョスのように提携して名を馳せたいと思っているらしい」
「だが、うちとは真逆の信条だろうに」
「うむ」


 そうなのだ。
 ミセス・マッチョスはレディー・マッスルと同じ信条を持ってくれているが、ドゲン・モナカは真逆の信条の持ち主なのだ。
 とてもじゃないが提携などできる筈がない。


「まず、冒険者を捨て駒だといって悪評を広めたドゲン・モナカとは提携出来ないと伝えてくれ」
「解っている。その上で話し合いが必要な今回、俺とマイケルが出る。マリリンは腹に子が居るからな。無茶はするな……」
「すまないな兄さん」


 そう――マリリンは現在妊娠してるのだ。
 まさか子宝の湯がここまで効果があるとは思わなかったが、マリリンは現在妊娠中で、動くに動けないのであった。
 此れには両親も喜んでいて、今からあれこれと用意しているらしい。
 無論、マリリンに何かあってはならないと医者が常駐している程の徹底ぶりだ。

 妊娠が分かったのはつい最近だが、それはもう沈みかけていたレディー・マッスルの面々はドゲン・モナカの事などこの際どうでもいいとばかりに祝いを行ったし、町中お祝いムードにもなった。

 また、国王であるムギーラ王からも祝いの言葉を告げられ、マリリンの妊娠はこの上なく幸福な事であると伝えられた程だった。


「では、マリリンの代わりに僕が出ましょう」
「そうしてくれルと助かる……」
「話し合いは今日の夜、ミセス・マッチョスも参加するらしい」
「では会議室で、ですね」
「厄介な事この上ないがな」


 ――こうして、今日の夜レディー・マッスルの会議室にて、ミセス・マッチョスも加わり、ドゲン・モナカとの会談となったのだが……。
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