常識改変あつめました

桜羽根ねね

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全裸ジム無料体験実施中!

前編

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美形インストラクター×むちむちが気になる平凡

無料体験に惹かれて訪れたジムで、なんだかおかしなことをされていく受けちゃんのお話。
だいぶ超特急なエロコメです。


☆☆☆☆☆


「す、すごい……」

 目の前にあるのは、圧倒されるほどの巨大な施設。この全てがまるっとジムの施設だというのだから、相当なお金が使われているに違いない。僕もきっと無料体験じゃなければ、こんな施設に来ることはなかっただろう。お金がそんなにあるわけでもないし……、実際に通うことはないだろうな。
 スタイリッシュな外観とは妙にミスマッチな、禅良ぜんらジムと書かれた看板の下をくぐって、恐る恐る中に入る。……エントランスが、高級ホテルみたいだ。行ったことはないけど。
 僕みたいな安月給には、場違いすぎる場所だな……。

 僕の他にもちらほら人がいるけれど、皆良い身体をしている。トレーニングウェア越しでも分かる筋肉が羨ましい。ヒョロっとしている癖に、最近尻や腹がぷよぷよしてきた気がする僕とは大違いだ。
 なるべく彼等の視界に入らないようにこそこそとしながら、受付のカウンターへと向かう。

「いらっしゃいませ。お客様は当ジムのご利用は初めてですか?」
「は、はい。その、広告で……、無料体験があると、知りまして」
「無料体験ですね。承知しました。あちらのエレベーターから無料体験専用フロアとなります5階にお上がりください」

 言われた通りに5階まで上がると、エレベーターが開いた先に、とんでもない美形が立っていた。どこかのモデルだと言われてもおかしくない整った顔に、引き締まった身体。身体に沿ったウェアからは割れた腹筋がよく分かる。少し癖がついた茶髪がまたかっこよくて、同じ男だと分かってもつい見蕩れてしまった。

「いらっしゃいませ。無料体験の方だね、こちらにどうぞ」
「はい……」

 慌てて邪念を振り払いつつ、その男の人についていく。まるでホテルの廊下のような長い通路の左右には、たくさんの扉があった。やっぱり、無料だから僕の他にもたくさんの人が来るんだろうな。……いざこうして来てみたものの、すぐにバテてしまったらどうしよう。

「ああ、そんなに緊張しないで。俺はインストラクターの藤野渉。今日一日、貴方の担当になるから、よろしくね」
「あ……、ぼ、僕も、藤野っていいます。藤野楓、です」
「へぇ、偶然だね。それなら名前で呼ぼうかな。楓さんはいくつ?」
「32です。先生はおいくつなんですか?」
「ん……、先生って呼ばれると照れるな。俺は28だから楓さんより年下だね。あ……、ついいつものように喋ってたけど、敬語にしないといけませんね」
「あっ、いえ……!先生なんですから、寧ろ使わなくて大丈夫です」
「そう?じゃあ楓さんも、リラックスして話してよ。俺のことも、先生じゃなくて渉でいいからさ」

 ……すごい、この美形とてもぐいぐいくる……!これがコミュ力ってものだろうか。僕もそんなに協調性がないわけではないけど……、初対面の相手に不快な気持ちを抱かせずフランクに接するってなかなか難しいと思う。

「じゃ……、じゃあ、渉さん……?あ、でも、いきなり言葉を崩すのは難しいので、口調はこのままで……」
「うん、楓さんのペースで構わないよ」

 にこっ、て擬音語が見えた気がする。かっこいい人なのに、笑顔はなんだか可愛く見えて……いやいや、年下とはいえ僕より背も高くてガタイもいい人に可愛いはないって。

「……ああ、話しているうちについたね。ここがトレーニングルームだよ。無料体験はインストラクターと1対1で、個室で行うんだ」
「な、なんだか豪勢ですね……」
「まずはしっかり知ってもらうところから始めたいからね。マンツーマンの方が何かと行き届くだろう?……さ、中にどうぞ」
「はい」

 促されるままに中に入ると、予想以上に広々とした間取りだった。床は一面マットが敷かれていて、壁は全面が鏡。いくつかのトレーニングの器具があるけど、その全てにシートが被せられていた。
 靴を脱いであがると、マットの中央に案内される。今から始まるのかと思うと、上手くこなせるかどうかドキドキしてしまう。
 そんな僕を安心させるように微笑んだ渉さんは、そのままの表情で口を開いた。
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