ドキドキエロエロバーチャルすごろく

桜羽根ねね

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1「手を繋いでいてもいいか?」

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「本当にこれでバーチャル世界とやらを体験出来るのか……?」

 鼻辺りまですっぽり覆うヘッドギアを手にして、百瀬は訝しそうに尋ねる。
 ヘッドギアからは幾数ものコードが伸びており、それらは部屋に鎮座する巨大な機械へと繋がっていた。五十嵐がつらつらと機械の説明をしてくるが、プログラム系の専門用語はなかなかに難解だ。

「……つまり、それ被って寝てればあとは自動的に仮想空間を楽しめるってわけ」
「説明されてもいまいちよく分からなかったが……、お前が言うのならそうなのだろうな」
「百瀬は難しい話より、実際に体験した方が理解すんの早そうだもんな」
「む……、馬鹿にするな。プログラミングはさっぱりだが、他では負けんぞ」
「……つーか、ホントにいいのか?実験体になんのは俺だけでもいいのにさ」
「ふん、今更だな。お前が作った物を一番乗りで試させてもらうのを、ずっと楽しみにしていたのだぞ」
「……なら、別にいいけど」

 ほのかに頬を赤く染めた百瀬は、恋い慕う五十嵐に向かって緩く微笑む。高校生の頃からずっと温めているこの気持ちを伝えることはないだろうが、想うくらいは許してほしい。トリップ装置の被験者として名乗り出たのも、その一途な想いからだ。研究するジャンルは違えど、百瀬は今もなお五十嵐に恋慕の情を抱いていた。

「これを被ればいいのだな?」
「そ。顎下で紐を固定して……、後はそこの椅子に座ってもらえるか?」
「……なんだか仰々しい椅子だな」

 二つ並んだ肘掛け椅子を示されて、そんな感想がぽろりと零れた。
 柔らかくはあるが至る所に機械のチップが埋め込まれている椅子に座る間にも、五十嵐は着々と準備を進めていく。カタカタとレバーを操作し、パソコンに何かを打ち込む。それらの作業を全て終わらせ、小さなスイッチと百瀬が被っている物と同じヘッドギアを手に、彼の隣へと腰を下ろした。

「こっちに戻ってくる時は、ログアウトって言えば帰れる仕組みになってるから。……このスイッチを押したらすぐ夢の中だけど、準備はいいか?」
「う、うむ。……だが、その、五十嵐を信じていないわけではないのだが、……手を繋いでいてもいいか?」
「…………ははっ、何だよそれ。怖がりなとこもあんだな、ほら」

 しっかりヘッドギアを装着した五十嵐は、肘掛け部分に無造作に手を置いた。その上に手を重ね、きゅっと握ってくる百瀬が可愛くて仕方がない。
 ……言葉には出せないが、五十嵐もまた、百瀬に想いを寄せていた。このテストプレイを機にもっと仲が深まれば、という下心も持っている。

 想い合っているのになかなか交わらない気持ちを抱いたまま、

「……それじゃ、行くぞ」
「ああ」

 二人の意識は、深海に潜るようにゆっくりと落ちていった。
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