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第二部:新婚編
1:恋色ハネムーン
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「クロの世界では新婚旅行ってのがあるんだろ?」
「え。あ、あるには、あるけど……。突然どうしたの」
ルトラの体温に包まれながらうとうとしていたところにそんな問いかけを投げられて、思わずどもってしまった。
……魔王の弟であるルトラの嫁になって、体感として数ヶ月。魔王城の一室に住み始めてから、だいぶここの生活にも慣れてきた。ルトラもオークさんも優しいし、えっちは恥ずかしいけど気持ちいいし、魔王の嫁になった灰島くんとも仲良くなれたと思う。というか、灰島くんが魔王について一方的に愚痴ってくることが多い。聞いている身としては惚気でしかないんだけど、これを言ったら睨まれそうだから大人しく黙ってる。
「ずっと城に篭ってんのも退屈だろうと思ってな。視察がてら、諸国漫遊といこうじゃねぇか」
「……それ、視察がメインなんじゃ……?僕が着いていってもいいやつ?」
「いーんだよ。寧ろクロがいないと意味ねぇし。お前の友達が居るとこを巡ろうと思ってるんだが、どうだ?」
「友達……」
クラスメイトではあるけど、友達ではないと思う。僕が一方的にそう感じていたとしても、きっと向こうは地味な根暗としか思ってないはずだ。
仲が良かったわけでもない僕がいきなり行ったところで、微妙なリアクションをされるのがオチだろう。
……でも、正直、国の外には行ってみたいし、ルトラとの旅行にも惹かれている。コミュニケーションが下手なだけで、引きこもりってわけじゃないから、気になるものは気になるんだ。
「……多分、歓迎はされないと思うけど……、行ってみたいな」
「はぁ?されるに決まってんだろ」
まあ、ルトラは魔王の弟だからなぁ。僕と違って歓迎されるに決まってる。そのことは言葉には出さずに、曖昧に笑っておいた。
──そうして、準備もそこそこに。
諸国漫遊で視察で新婚旅行な二人旅が、始まることになった。
*****
少し前に、魔界の地図を見せてもらったことがある。
どうやら、僕達が住んでいる魔の国を中心に、獣の国、海の国、森の国が周りを囲んでいるらしい。頭上に浮かんでいるのは空の国だ。どこに住んでも問題はないみたいだけど、皆住みやすい所に定住するから、結果として主に同じ種族が集まってるということをルトラが教えてくれた。
魔の国、と一言で言っても、その土地は広大だ。行ったことがない場所がほとんどだから、まずは魔の国を巡ることにした。国同士は魔法陣ゲートで行き来出来るみたいだけど、国内に関してはルトラが僕を抱えて飛んでくれるから、なんとも快適な空の旅だ。
姫抱きされるのは恥ずかしいけど、空を飛べるのは正直わくわくする。僕を落とさないようにしっかり支えてくれる腕のおかげで、安心して眼下の風景を楽しむことが出来た。
城下町の屋根は色とりどりで、ツートンカラーになっているものが多い。眺めていても『魔』って感じは全然しない。
「魔界の家って、想像していたよりカラフルだね」
「まあ、目立つのが好きな奴が多いからな。あとは、伴侶の好きな色を屋根に塗る奴も多いんだぜ」
「そ、そうなんだ」
なるほど。だから二色の屋根が多いんだな……。
「ルトラの好きな色は?」
なんとなく気になって聞いてみると、風に煽られて見えた青い瞳に、甘やかに貫かれた。
「クロ」
「へっ、あ、え?」
「俺は『クロ』が好きだ」
「そ、れって……」
色のことなのか、僕のことなのか。
どちらにしても胸がきゅうっと苦しくなって、逃げるように顔を埋めた。頭上からくすくすとからかうような笑みが降ってくる。なんだか悔しくなって、「僕は青が好き」ともごもごしながら返してみた。
返事は「そうかよ」と素っ気いものだったけど、その声音は砂糖のように甘かった。
「え。あ、あるには、あるけど……。突然どうしたの」
ルトラの体温に包まれながらうとうとしていたところにそんな問いかけを投げられて、思わずどもってしまった。
……魔王の弟であるルトラの嫁になって、体感として数ヶ月。魔王城の一室に住み始めてから、だいぶここの生活にも慣れてきた。ルトラもオークさんも優しいし、えっちは恥ずかしいけど気持ちいいし、魔王の嫁になった灰島くんとも仲良くなれたと思う。というか、灰島くんが魔王について一方的に愚痴ってくることが多い。聞いている身としては惚気でしかないんだけど、これを言ったら睨まれそうだから大人しく黙ってる。
「ずっと城に篭ってんのも退屈だろうと思ってな。視察がてら、諸国漫遊といこうじゃねぇか」
「……それ、視察がメインなんじゃ……?僕が着いていってもいいやつ?」
「いーんだよ。寧ろクロがいないと意味ねぇし。お前の友達が居るとこを巡ろうと思ってるんだが、どうだ?」
「友達……」
クラスメイトではあるけど、友達ではないと思う。僕が一方的にそう感じていたとしても、きっと向こうは地味な根暗としか思ってないはずだ。
仲が良かったわけでもない僕がいきなり行ったところで、微妙なリアクションをされるのがオチだろう。
……でも、正直、国の外には行ってみたいし、ルトラとの旅行にも惹かれている。コミュニケーションが下手なだけで、引きこもりってわけじゃないから、気になるものは気になるんだ。
「……多分、歓迎はされないと思うけど……、行ってみたいな」
「はぁ?されるに決まってんだろ」
まあ、ルトラは魔王の弟だからなぁ。僕と違って歓迎されるに決まってる。そのことは言葉には出さずに、曖昧に笑っておいた。
──そうして、準備もそこそこに。
諸国漫遊で視察で新婚旅行な二人旅が、始まることになった。
*****
少し前に、魔界の地図を見せてもらったことがある。
どうやら、僕達が住んでいる魔の国を中心に、獣の国、海の国、森の国が周りを囲んでいるらしい。頭上に浮かんでいるのは空の国だ。どこに住んでも問題はないみたいだけど、皆住みやすい所に定住するから、結果として主に同じ種族が集まってるということをルトラが教えてくれた。
魔の国、と一言で言っても、その土地は広大だ。行ったことがない場所がほとんどだから、まずは魔の国を巡ることにした。国同士は魔法陣ゲートで行き来出来るみたいだけど、国内に関してはルトラが僕を抱えて飛んでくれるから、なんとも快適な空の旅だ。
姫抱きされるのは恥ずかしいけど、空を飛べるのは正直わくわくする。僕を落とさないようにしっかり支えてくれる腕のおかげで、安心して眼下の風景を楽しむことが出来た。
城下町の屋根は色とりどりで、ツートンカラーになっているものが多い。眺めていても『魔』って感じは全然しない。
「魔界の家って、想像していたよりカラフルだね」
「まあ、目立つのが好きな奴が多いからな。あとは、伴侶の好きな色を屋根に塗る奴も多いんだぜ」
「そ、そうなんだ」
なるほど。だから二色の屋根が多いんだな……。
「ルトラの好きな色は?」
なんとなく気になって聞いてみると、風に煽られて見えた青い瞳に、甘やかに貫かれた。
「クロ」
「へっ、あ、え?」
「俺は『クロ』が好きだ」
「そ、れって……」
色のことなのか、僕のことなのか。
どちらにしても胸がきゅうっと苦しくなって、逃げるように顔を埋めた。頭上からくすくすとからかうような笑みが降ってくる。なんだか悔しくなって、「僕は青が好き」ともごもごしながら返してみた。
返事は「そうかよ」と素っ気いものだったけど、その声音は砂糖のように甘かった。
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