まんぞくできない多々良君〜たのしい羞恥物語〜

桜羽根ねね

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②僕と我慢と羞恥デート

3.まにあわない!(自慰)

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 碌に観ることが出来なかった映画がエンドロールを迎え、僕達は揃って劇場を後にした。
 トイレに行ってくるという狩屋を見送って、柱にもたれ掛かりながら数時間ぶりにスマホの電源を入れるも、メールは一通も届いていなかった。

『許可が出るまでトイレに行くのは認めません。もし許可を出す前に漏らしたら、罰を与えます』

 昨日受信した「ご主人様」からのメールの文面が鮮やかに蘇る。許可が出ていないのに、漏らしてしまった。しかも恋人の口の中に。これはもう相当酷い罰を与えられてもおかしくない。

 許可メールはまだ届いていないけど、もう終わってしまったことだ。

 漏らした経緯を簡潔に綴って「ご主人様」に送信する。外出していることはわざと書かなかったから、きっと「ご主人様」は僕が家の中にいると思うはずだ。

 一体僕はどんな罰を与えられるんだろう。また犬のようにマーキングをさせられるのか、それとも潮を噴くまで延々とちんこを弄らされるのか……。

 その答えは、予想以上に早く届いた。

「(っ!こんなに早いなんて珍しいな……)」

 逸る気持ちを抑えてメールを開く。そこに書いてあった罰を目で追っていく内に、興奮で身体が熱くなっていくのが分かった。

『我慢出来ずに子供のようにお漏らしをした挙げ句、恋人に飲ませた変態なあなたには、どうやら厳しい躾が必要なようですね。今から恋人の前でオナニーをしなさい。10分以内に射精し、精液塗れになったちんこを撮影して添付しなさい。10分を過ぎた場合、更にペナルティとして以前話されていた後輩達の前で盛大に漏らしてもらいます』

 オナニーを、恋人の前で。
 しかもここは家じゃないから、10分以内となると必然的に屋外でしないといけなくなってしまう。

 そして制限時間を過ぎたら……、後輩……相川と笹部の前で、お漏らし。

 どっ……どどどうしよう……!どうすればいいんだ!?
 いきなり狩屋に「オナニーを見てほしい」なんて言えないし、でもやらなかったら後輩の前で痴態を晒さなきゃいけない、し。

 ……どうしよう。
 戸惑っているはずなのに、こんな状況なのに、身体が熱い。触りたい、イきたい、……狩屋に、見られたい。
 「ご主人様」からの指令は絶対こなさないと。外出の件を伝えなかった僕の自業自得なのだから、たとえ野外でも……やらないと、駄目だ。

 ころころと変わる感情が、僕の理性を簡単に溶かしていってしまう。それこそトイレに連れ込めば、近くのホテルに迎えば、といった考えにすら至らないくらいに。

「お待たせ~、多々良ちゃん。……多々良ちゃん?顔真っ赤だけど大丈夫?」
「かっ……、狩屋……!」

 駄目だ、もう、我慢できない。

 目先の欲望に忠実な身体は、狩屋の問いに頷くよりも早く、その手を引っ付かんで走り出していた。
 ごめん、本当に。折角のデートなのに。

 こんな変態が恋人で、ごめんな、狩屋。


*****


 連れていかれた路地裏で唐突に自慰を始めた恋人を、彼は驚愕の表情を張り付けて眺めていた。

 ごめん、我慢出来なくて、嫌いにならないで、と涙をぽろぽろ零しながらも、自身を昂ぶらせる手は止まらない。

 周りに気付かれないよう必死に声を抑えてカウパーをだらだら滴らせる恋人は、淫猥で淫乱で今すぐ食らいつくしたくなってしまう。
 言葉では謝っているが、その涙の膜が張った瞳には明らかに恍惚とした熱が浮かんでいる。きっと、この辱められることが好きな恋人は、自分が罵るのを待っていることだろう。
 「淫乱」と吐いて自らの膝で痛いくらいに性器を刺激してやってもいいが……今はまだ、その時ではない。

「……おしっこ飲まれて勃っちゃった?……折角だし、手伝ってあげる」
「っふ、あ、……や、やだ、狩屋ぁ♡きたな……ぃ、からぁ……っ♡」
「なに今更なこと言ってんの」

 恋人……多々良の手をそっと外させ、自らの手で熱く濡れた芯を握り込む。そのまま上下に緩く扱く度に、ぬちゃ♡ちゅぷ♡と竿を伝う先走りが淫靡な水音を響かせた。

「んっ……♡かり、や、はやく……っ、イきた……ぁ、っ♡♡」
「わかってる。声抑えといてね」
「……ん……ぅっ♡」

 素直に左手で口を塞ぐ多々良を愛おしげに見つめ、彼は手の動きを早めていく。だが、敏感な箇所に強い刺激を与えることはなく、ねっとりといやらしく追い詰めていった。

 嬌声を噛み殺しながらビュルッと白濁を吐き出した後、「ご主人様」から提示された10分が過ぎてしまったことに多々良が気付いたのは、それから数分後のことだったが。

 そうなるよう「ご主人様」が仕向けたということに気付くことは、出来なかった。

 平行線のようで交わっている二人の戯れは、少しずつ深みへと突き進んでいく。

 その終わりが見えた時、可愛く淫らな恋人がどう乱れてくれるのか──……、「楽しみだ」と目を細めた狩屋は、手に散った白濁にれろりと赤い舌を這わせた。



【僕と我慢と羞恥デート】

(恋人は、とても可愛い変態ちゃん)
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