魔王と使い魔の勇者調教計画

桜羽根ねね

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①ゆうしゃは つかまって しまった!

6.かたがきを ついかします

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「わ……っ!?」

 そのまま足を大きく開かされ、膝を立てた体勢で魔王の傍へとふわふわ移動していく。恥部がバーレットの目前の高さで晒されて、イって萎えたはずの陰茎が再び熱を持っていく。見られているだけで感じるだなんて、信じたくない、のに。

「その時は、後悔するほど酷い目に合わせるといい。例えば……」

 ぱちん、と魔王が指を鳴らすと、踊り場の上に三匹の魔物が現れた。オーガに、馬型の魔物、触手を持つ植物の魔物だ。

「オーガの瘤付きペニスで尻穴を埋められて腹を膨らませるか、馬特有の種付けで何回も中出しされてイき狂うか、触手に穴という穴を責められて快楽なしでは生きられない身体になるか……。どれを選ぶ?」
「ひっ……!?」

 いきり立った赤黒い性器を露わにして鼻息を荒くする魔物と、大量の触手をうねらせてくる魔物を前に、オレの身体は恐怖で強張った。どれを選んでも、地獄でしかない。

「い、いや……、いやだ……」
「選択の自由を与えているのだから有り難く思え」
「こんなの、ほんとに……こわれちゃう……っ」
「身体は壊れない……が、精神は壊れるかもしれんな。早く決めぬと全部選ばせるぞ」
「……っ!!」

 ……魔王の有無を言わせない冷たい声音と、眼前の凶器と、恐怖に満ち満ちた感情が、ぐちゃぐちゃないまぜになって。
 気がついた時には、オレは。

「え…………、あ……っ、み、みるな……っ、みるなぁっ!!」

 勃起しかけていた性器から、力なく失禁していた。ジョボジョボと溢れるそれが放物線を描いて床に水溜まりを作っていく。

 恐怖でおしっこを漏らすという失態を、この場にいる全員に、見られている。そう思って止めたくても、身体は震えるばかりで上手く力が入らない。

 しんと静まり返った部屋の中、オレの粗相の音だけが反響して……、死にたいくらい情けなくて視界が潤んでくる。

「っふ、う…………、も、やだぁ……!」

 恥も外聞もなくポロポロ涙を零してしまうのも、きっと魔法のせいだ。

 ……ようやく失禁が終わっても、嗚咽がなかなか止まらない。ぐすぐすと鼻を啜るオレの頬にひたりと温かい熱が触れたのは、ふわりと身体が下降した時だった。

「…………漏らすほど怖かったか?」
「っう……、あ……当たり前、だ……っ」
「少し冗談がすぎたな」

 ちゅ、と唇に触れた柔らかいモノが何なのか、分からない程馬鹿ではない。
 目尻に溜まった涙も舐め取られ、あやすように何度も唇を奪われる。魔王の癖に、ひどい奴の癖に、どうして口付けはこんなに優しいんだよ……。

 暫く軽いキスを繰り返していた魔王は、ふと思い出したかのようにぱちりと指を鳴らした。視界の端で、あの魔物達の姿がなくなったのが分かった。

「あやつらは我の配下ゆえ、人間に危害は与えぬ」
「そ……、んなの、信じられな、い……」
「嘘ではない。大体、人間の貴様を嫁にするというのに、何故同じ種族を滅ぼさないとならないんだ。まあ、野良の魔物には好戦的なモノも多いが。我の息がかかってる魔物は、見た目が怖くとも中身は無害そのものだ」
「………………」
「そうでないと、魔王と人間の婚儀を祝福するために集まるわけがないだろう?」

 これが嘘偽りない言葉だと、真剣な表情と声音が全てを語っていた。
 信じられない思いも強いが、もしこいつが悪逆非道の魔王なら、オレの懇願を無視して魔物達に襲わせていただろう。いや、寧ろ捕まえていた時点で人質にしたり殺したり……、とにかく何でも出来たはずだ。

「…………お前は」
「む?」
「お前は、オレを嫁にしたいのか?」
「は……?今更何を言っている。それ以外に何の理由があると?我は貴様を好いている。杖が選んだという理由もあるが……、貴様のことをずっと見ていて、自意識が高いところも、美形だと言いながら顔に傷を作ってまで人を助けていたところも、色々引っ括めて好きになった。……ああ、あと身体も我好みな上に、自慰をしている時の表情も」
「わあああぁ!も、もういい!……っ、そ、それなら!オレに変な魔法やこんな恥ずかしい格好をさせないで、オレを惚れさせる努力をしたらどうだ!?いきなり身体の自由を奪ってペット扱いする奴なんて、魔王じゃなくてもお断りだっ!」
「…………服従の魔法はとっくに切れていたが?」
「え」
「まあ、とはいっても貴様が漏らす前だが」
「っ……!いっ、いいから早く下ろせ!あと早急に服を用意しろ!」

 ようやく地に足をつけることが出来てほっとしながら、一番の要求を突きつける。
 尻はジンジン痛むし後ろはまだ疼くしで最悪だが、今はそれよりも身体を隠すのが先だ。

「ふむ。プラチア、何か適当に見繕っておけ」
「分かりました……けど、いいんですか、魔王様。魔法かけてないとアレクさん何するか分かんないですよ」
「問題ない。別の魔法をかけておく」
「なっ……!?お、お前、また碌でもない魔法、を、ん……っ!」

 不意に顎を掬われ、深く唇を食まれる。
 相手は魔王な上に男。普通に考えて気持ち悪いはずなのに、どうしてだか突き放せないのは、きっとこいつのキスがどこまでも優しくて柔らかいせいだ。

 無理矢理唇を割られることもなく、舌で表面をなぞりながらちゅうっと音を立てて吸い付いてくる。
 ただでさえ慣れてないキスでいっぱいいっぱいなのに、

「…………我に懸想をする魔法、効いてきたか?」

 口付けの合間にそんな悪戯めいたことを言ってくるものだから。

 相手は倒すべき魔王のはずなのに、オレをペット扱いするような奴なのに、不覚にも少しだけときめいてしまったのは、……きっと、この甘ったるい妙な空気のせいだ。

 そんな浮ついた想いは、使い魔が「アレクさんが着れそうな物、これしかなかったんで」と言って持ってきた際どい水着のような服を前に霧散したわけだが。

 ──結局、「魔王の婚約者」として魔王城に住み着くことになってしまったオレの気持ちがこれから先どう変動していくのか、それは勿論オレにすら分からない未来の話だ。
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