いちゃらぶ×ぶざまえろ♡らぶざま短編集

錬金釜くんは横暴錬金術師から逃げ出したい

その④【終】

＊＊＊＊＊


　俺はその日以降も『惚れさせて懐柔作戦』を成功させるべく身を費やしていった。

　調合されている時にキスをねだれば、体勢がちんぐり返しから正常位に変わって何度もキスされるようになったし。
　ぎゅっと抱き着きたいとねだれば、簡単に魔法の拘束を解いてくれた。がつがつと使われていたのが嘘のように、ねちっこく優しくされて。気が付けば、錬金をする時はベッドの上、互いに抱き締めあうキスハメスタイルが定番になっていた。

「ん、あぁ、ぎもち、い♡アウロッド、もっと♡好き好きしで、ぇ♡♡」
「ほんっと、調合の時は素直で可愛いな、釜ちゃん。ま、いつもの生意気なとこも可愛いけど」

　あーあ、馬鹿なアウロッド。俺の演技にすっかり騙されてやがる。俺がベロキスや乳首弄られるだけで甘イキ出来るようになったのも、可愛い可愛いって何度も囁かれるだけでうれションするようになったのも、重なる身体から伝わる激しい心臓の鼓動も、全部演技なのにな。
　そう、演技。演技じゃねぇと、困る。

「っは……、オレも好きだよ、カリマ」
「～～～～～～ッッ♡♡♡」

　初めて名前で呼ばれて、嬉しイキしたのも、絶対、絶対、演技なんだからな！

　……それより、やっとここまできた、こいつは俺に惚れたんだ。首輪を外させて、俺はとんずらを……、こいつの元から、離れて……。

「（くそ、あんなに望んでたのに。どうして、身体が寂しいって疼くんだよ……！）」
「はー、カリマが悪いんだからな？オレの愛はやばいくらい重いって自覚があっから、一目惚れしたお前のことを物だと思い込んでそれ以上好きにならないようにしたってのに。錬金じゃなくても抱くし、一生家から出すつもりもねぇから。愛してる、カリマ」
「へ、ぇ……、え？」

　ぽう、と首輪が温かくなって、俺は隷属の首輪が変化したことを悟った。これは、指輪よりも大きくて重い婚姻の証。逆らえないどころかずっと傍に居ないと衰弱してしまう、呪いのようなもので。

「ア、アウ、ロッド、お、俺……」

　怒らねぇと。勝手にこんな首輪に変えやがって、俺の意思を無視するな、俺はずっとお前を騙していたんだ、って。

「ぅ、うれし……♡俺も、すき、あいしてる、だいしゅき……っ♡♡」

　それなのに。
　俺の口から溢れたのは喜色に満ちた弾んだ声だった。

　……ああ、くそ。いつの間にか、騙してたはずの俺の方が、負けちまってたんだな。