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それから暫く時間も経ち、なんとなく事情聴取から解放されそうな雰囲気になる。
バレないように静かに帰り支度をしていると
「うわ、なんかあの道、すげぇ混んでる」
「え、どれどれ?うわ、本当だ」
中山さんが窓の外に視線を向け、ポツリと呟いた。それにつられるように悠真も視線をやる。
俺も一応チラッと横目に確認した。
確かに、今いる二階からも確認できるくらいの結構な人混み。しかも不運な事にそこは、俺が普段大学の行き来で使っている道だった。あれでは通れそうにない。
仕方ないから、遠回りになるけど違う道を通って帰ろう。それで少しでも気持ちを落ち着かせて、結に謝ろう。
「じゃあ俺、帰ります」
「あ、じゃーな!!」
俺がそう言うと、中山さんは窓の外を見たまま、片手を振って返事をした。悠真もこちらを見ずに「じゃあね」とだけ言ってくれた。
2人とも俺が帰るのを気にする様子もなく、なんだ杞憂だったな、と1人自嘲した。
でもそれだけ、あの道が彼らの興味を引いている、というわけで。角度的に少し反射して見えなかったけど、何かあったんだろうか。
そんな事を考えつつ、俺は近くの階段から下の階へ下りていった。
「・・・あ、救急車だ」
「え、じゃあ事故?物騒だな!!」
「本当ですね。」
悠真と中山さんがこんな会話をしていたとは会話はつゆ知らず。
バレないように静かに帰り支度をしていると
「うわ、なんかあの道、すげぇ混んでる」
「え、どれどれ?うわ、本当だ」
中山さんが窓の外に視線を向け、ポツリと呟いた。それにつられるように悠真も視線をやる。
俺も一応チラッと横目に確認した。
確かに、今いる二階からも確認できるくらいの結構な人混み。しかも不運な事にそこは、俺が普段大学の行き来で使っている道だった。あれでは通れそうにない。
仕方ないから、遠回りになるけど違う道を通って帰ろう。それで少しでも気持ちを落ち着かせて、結に謝ろう。
「じゃあ俺、帰ります」
「あ、じゃーな!!」
俺がそう言うと、中山さんは窓の外を見たまま、片手を振って返事をした。悠真もこちらを見ずに「じゃあね」とだけ言ってくれた。
2人とも俺が帰るのを気にする様子もなく、なんだ杞憂だったな、と1人自嘲した。
でもそれだけ、あの道が彼らの興味を引いている、というわけで。角度的に少し反射して見えなかったけど、何かあったんだろうか。
そんな事を考えつつ、俺は近くの階段から下の階へ下りていった。
「・・・あ、救急車だ」
「え、じゃあ事故?物騒だな!!」
「本当ですね。」
悠真と中山さんがこんな会話をしていたとは会話はつゆ知らず。
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