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第二章
vs.恋人.Ⅳ
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何が起こったのかは、すぐに理解できた。
要するに、偏斜的軌道を描いて見せた鎖、それが『恋愛』が躱しきれずに手の甲に命中した、ということである。
「いったああああ!」
菜奈花は思わず叫びを上げ、その左の手をブンブンと何度も、勢いよく払った。
「大丈夫?」
ルニが他人事のように心配を装う。
「そういう事は早く言ってよ!」
見れば、その手の甲は赤くなっていた。
「いやぁ、あまりにも自然な行動でさ?」
「全く……」
菜奈花が短く嘆息した。
右手で左の手の甲を摩ってるあたり、まだ痛むらしい。
「それで、改めてどうやって捕まる?」とルニ、「そっちの木偶の坊さんは、来たからにはあるんでしょうね?」
ルニが怒鳴るように弘に向けて言い放つと、けれど弘がかぶりを振った。
すぐに切り替えたらしい。
「あるにはあるが、フィードバックが邪魔だ」
「つっかえないなあ!」
思わずルニが叫んだ。
そうこうしていると、菜奈花を乗せた巨大鷲は弘の頭上までやってきて、静止した。
「俺の手持ちは『皇帝』と『戦車』だけだ。初期系統は火」と弘、「スペードの5をしてもいいが、それだと桜之宮がもたないだろ」
「私の手持ちは『正義』と『魔術師』」と菜奈花、「使える小アルカナだと、えーっと……」
ルニが即座に答える。
「初期系統は風、それ以外だと、ハートの2と、ダイヤの2?」
「どっちも微妙だね」
ルニの呟きに、菜奈花は思わず同意したらしく、嘆息した。
「せめて、地上まで移動してくれれば……」
菜奈花がそんな事を呟くが、当然そんな都合のいいことは起こってくれなさそうであった。
「その鷲で、捕まえられないのか?」
ふと、そんな事を言いだしたのは弘であった。
「この鷲で?」
菜奈花が問い返すと、弘は頷いた。
目線は相変わらず『恋愛』に向けたままだった。
菜奈花も視線を弘から『恋愛』に戻すと、彼は再び弓を構えていた。
「確かに、これは本質は風」とルニ、「やるなら一番適している、かな?」
「なら……、やってみよう!」
菜奈花の決断は、早かった。
巨大鷲目掛けて放たれた矢は、巨大鷲の右羽に当たる――が、しかしその片翼は柔らかい緑の風に姿を変え、そのまま矢は遥か後方、ズレの元まで閃光を描いて見せた。直後、射抜かれた片翼は再度翼を形作ると、何事もなかったかのようにその翼をはためかせて、強風を生み出した。
風は、柔らかく、透明な緑色であった。
「行くよ、ルニ!」
菜奈花はルニの返事も待たずに、その意思を持って、巨大鷲を一直線に『恋愛』の元まで突き進ませた。
「俺たちも行くぞ」
弘は弘で、再び『戦車』を呼び出し、自身は『教皇』を身に纏、その荷台の上で器用にバランスを取りながら、菜奈花の後を追った。
風を全身で受け、春の程よい暖かさが、一気に逆転する。
けれどそんな事に構っていられる余裕はなく、また必要も無い。
矢の一発一発、それぞれが打つのに時間がかかるらしく、回避は比較的容易な部類であった。とはいえ、何れも直撃すれば無事で済みそうも無く、目で追えるわけもなく、ならば半分お祈りのような状態になる。
それでも確実に距離は詰まっていき、菜奈花の集中力も増して行った。
最早そこに、今でさえあっても痛むであろう、手の甲の事など、菜奈花は忘れていた。
進む菜奈花とは真逆に、景色は逆走していく。
疾く、疾く、回避運動を交えながらも、けれど決して速度は一定であった。
「そんなもの、当たらないよ!」
威勢のいい菜奈花の後方には、少し遅れて弘の姿があった。
やがて――。
「捉えた!」
目と鼻の先まで、接近に成功した。
そうして菜奈花は、力いっぱい叫んだ。
「疾風の両翼よ、その一部を戒めの鎖とし、汝を捉えよ!」
その命令文を得て、今両の翼の先端が形を淡いものへと変わりゆく。
けれど番えた矢は的確に、菜奈花を捉えていた。
やがて柔らかい、透明な緑の風を描いたそれぞれの翼の先端は大きく広がり、そうして『恋愛』を捕縛しようと覆いかぶさる。
けれどそれを意にも返さぬような立ち姿のまま、『恋愛』は冷静に菜奈花の眉間を目掛けて、その矢を放った。
速度を失った巨大鷲は、どこが切れ目かも分からずに、ごく自然な様でその一部を風に変えていた。
即ち、速度に任せた回避を取ろうもそれは不可能であり、またその寸分の刻の間に咄嗟に回答を展開し得る事は、当然ながら不可能であった。
であるならば、最早人が反応し得る速度を遥かに超えた矢を、実に五ヤード程の距離でどうにかしなくてはならない。
けれど無常にも、矢は――解き放たれた。
「桜之宮!」
弘が、咄嗟に呼びかけるも、その名前を呼び終わった頃には、表情は唖然としていた。
「今です!」
「――うん!」
けれどサラマンダーは冷静であり、菜奈花もルニも、一瞬弘と同じような表情を見せはしたものの、即座に切り替えてみせた。
即ち、矢は菜奈花の前髪を掠め、後方へと閃光を描いていったのであった。
「これで、終わり!」
菜奈花は巨大鷲の背から、『恋愛』目掛けて頭から飛び降りた。
一連の動作の間と後に、風により完全に自由を失った『恋愛』は、目を閉じた。
それは諦めのようであり、諦観のようであり、けれどどこか――不敵だった。
「汝、我の――」
菜奈花が体制をそのままに、宙に魔法陣を描いたとき、ようやく気がついた。
風に縛られ、自由を失った彼の胸の前、そこで何かが光を放っていることに。
――小アルカナだ。
「菜奈花、後ろ!」
けれど菜奈花には最早どうすることもできなかった。
できることは、ただ一つ。
「――配下となれ!」
即ち、詠唱の継続。
けれど菜奈花の背後からは、確かに轟音けたたましく、一つの物体がものすごい速度で向かってきているのがわかった。
それが何なのかは分からずとも、そもそも菜奈花にはどうする事もできない。
ならば菜奈花に出来ることは、祈る事、ただそれだけであろうか。
菜奈花は口早に、その詠唱を完結させる言葉を放った。
(確かこのアルカナの名前は――)
「『恋愛』!」
それはどう転ぼうがこの戦闘の終焉、それを知らせるものであった。
要するに、偏斜的軌道を描いて見せた鎖、それが『恋愛』が躱しきれずに手の甲に命中した、ということである。
「いったああああ!」
菜奈花は思わず叫びを上げ、その左の手をブンブンと何度も、勢いよく払った。
「大丈夫?」
ルニが他人事のように心配を装う。
「そういう事は早く言ってよ!」
見れば、その手の甲は赤くなっていた。
「いやぁ、あまりにも自然な行動でさ?」
「全く……」
菜奈花が短く嘆息した。
右手で左の手の甲を摩ってるあたり、まだ痛むらしい。
「それで、改めてどうやって捕まる?」とルニ、「そっちの木偶の坊さんは、来たからにはあるんでしょうね?」
ルニが怒鳴るように弘に向けて言い放つと、けれど弘がかぶりを振った。
すぐに切り替えたらしい。
「あるにはあるが、フィードバックが邪魔だ」
「つっかえないなあ!」
思わずルニが叫んだ。
そうこうしていると、菜奈花を乗せた巨大鷲は弘の頭上までやってきて、静止した。
「俺の手持ちは『皇帝』と『戦車』だけだ。初期系統は火」と弘、「スペードの5をしてもいいが、それだと桜之宮がもたないだろ」
「私の手持ちは『正義』と『魔術師』」と菜奈花、「使える小アルカナだと、えーっと……」
ルニが即座に答える。
「初期系統は風、それ以外だと、ハートの2と、ダイヤの2?」
「どっちも微妙だね」
ルニの呟きに、菜奈花は思わず同意したらしく、嘆息した。
「せめて、地上まで移動してくれれば……」
菜奈花がそんな事を呟くが、当然そんな都合のいいことは起こってくれなさそうであった。
「その鷲で、捕まえられないのか?」
ふと、そんな事を言いだしたのは弘であった。
「この鷲で?」
菜奈花が問い返すと、弘は頷いた。
目線は相変わらず『恋愛』に向けたままだった。
菜奈花も視線を弘から『恋愛』に戻すと、彼は再び弓を構えていた。
「確かに、これは本質は風」とルニ、「やるなら一番適している、かな?」
「なら……、やってみよう!」
菜奈花の決断は、早かった。
巨大鷲目掛けて放たれた矢は、巨大鷲の右羽に当たる――が、しかしその片翼は柔らかい緑の風に姿を変え、そのまま矢は遥か後方、ズレの元まで閃光を描いて見せた。直後、射抜かれた片翼は再度翼を形作ると、何事もなかったかのようにその翼をはためかせて、強風を生み出した。
風は、柔らかく、透明な緑色であった。
「行くよ、ルニ!」
菜奈花はルニの返事も待たずに、その意思を持って、巨大鷲を一直線に『恋愛』の元まで突き進ませた。
「俺たちも行くぞ」
弘は弘で、再び『戦車』を呼び出し、自身は『教皇』を身に纏、その荷台の上で器用にバランスを取りながら、菜奈花の後を追った。
風を全身で受け、春の程よい暖かさが、一気に逆転する。
けれどそんな事に構っていられる余裕はなく、また必要も無い。
矢の一発一発、それぞれが打つのに時間がかかるらしく、回避は比較的容易な部類であった。とはいえ、何れも直撃すれば無事で済みそうも無く、目で追えるわけもなく、ならば半分お祈りのような状態になる。
それでも確実に距離は詰まっていき、菜奈花の集中力も増して行った。
最早そこに、今でさえあっても痛むであろう、手の甲の事など、菜奈花は忘れていた。
進む菜奈花とは真逆に、景色は逆走していく。
疾く、疾く、回避運動を交えながらも、けれど決して速度は一定であった。
「そんなもの、当たらないよ!」
威勢のいい菜奈花の後方には、少し遅れて弘の姿があった。
やがて――。
「捉えた!」
目と鼻の先まで、接近に成功した。
そうして菜奈花は、力いっぱい叫んだ。
「疾風の両翼よ、その一部を戒めの鎖とし、汝を捉えよ!」
その命令文を得て、今両の翼の先端が形を淡いものへと変わりゆく。
けれど番えた矢は的確に、菜奈花を捉えていた。
やがて柔らかい、透明な緑の風を描いたそれぞれの翼の先端は大きく広がり、そうして『恋愛』を捕縛しようと覆いかぶさる。
けれどそれを意にも返さぬような立ち姿のまま、『恋愛』は冷静に菜奈花の眉間を目掛けて、その矢を放った。
速度を失った巨大鷲は、どこが切れ目かも分からずに、ごく自然な様でその一部を風に変えていた。
即ち、速度に任せた回避を取ろうもそれは不可能であり、またその寸分の刻の間に咄嗟に回答を展開し得る事は、当然ながら不可能であった。
であるならば、最早人が反応し得る速度を遥かに超えた矢を、実に五ヤード程の距離でどうにかしなくてはならない。
けれど無常にも、矢は――解き放たれた。
「桜之宮!」
弘が、咄嗟に呼びかけるも、その名前を呼び終わった頃には、表情は唖然としていた。
「今です!」
「――うん!」
けれどサラマンダーは冷静であり、菜奈花もルニも、一瞬弘と同じような表情を見せはしたものの、即座に切り替えてみせた。
即ち、矢は菜奈花の前髪を掠め、後方へと閃光を描いていったのであった。
「これで、終わり!」
菜奈花は巨大鷲の背から、『恋愛』目掛けて頭から飛び降りた。
一連の動作の間と後に、風により完全に自由を失った『恋愛』は、目を閉じた。
それは諦めのようであり、諦観のようであり、けれどどこか――不敵だった。
「汝、我の――」
菜奈花が体制をそのままに、宙に魔法陣を描いたとき、ようやく気がついた。
風に縛られ、自由を失った彼の胸の前、そこで何かが光を放っていることに。
――小アルカナだ。
「菜奈花、後ろ!」
けれど菜奈花には最早どうすることもできなかった。
できることは、ただ一つ。
「――配下となれ!」
即ち、詠唱の継続。
けれど菜奈花の背後からは、確かに轟音けたたましく、一つの物体がものすごい速度で向かってきているのがわかった。
それが何なのかは分からずとも、そもそも菜奈花にはどうする事もできない。
ならば菜奈花に出来ることは、祈る事、ただそれだけであろうか。
菜奈花は口早に、その詠唱を完結させる言葉を放った。
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