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第三章
―School In The Night.3―
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この教室にいるのは、菜奈花、弘、燈葵の他にもいる。これまで姿を現してはいなかったルニ、サラマンダー、じいさん――三人の妖精である。
菜奈花たちが一息つくべく椅子に腰掛けた直後、それぞれがそれぞれのオーナーのポケットからひょっこり飛び出しては、どういう理屈か宙に浮いて会話を先導する。
「それで、せめて戦力の確認くらいはしといたらいいと思うな」とルニ、「それに、一人は初めましてなんでしょう、オーナーとしては」
「それは……そうね」
菜奈花は頷くと、いつもやるように、椅子を九十度に転回して、そのまま後ろの席に向き直るような形を取った。いつもと違うのは、体を向けるのは真後ろだが、首は左に振っている。
詰まるとこと、それぞれが座って席は、まず菜奈花が一番前の中央列左、そして弘がその真後ろ、燈葵は彼の左隣の席である。ちなみに教室の机は横六列、縦七列である。
「そうじゃな、こんびねーしょんは大事じゃからなぁ?」
「それもそうだ」と燈葵がじいさんに相槌をすると、「改めて、彩冬燈葵、第四オーナー。こっちはノームのじいさん。手持ちのカードは大アルカナが『死神』と『吊るされた男』、小アルカナがペンタクルの小姓以下4枚とワンドの7、それからソードの7」
すると弘も続けて、「第二オーナー、紅葉弘。こっちはサラマンダー」と、顎で宙に浮いているトカゲを指す。「手持ちは『教皇』、『戦車』、小アルカナはワンドの小姓、騎士、女王、王の四枚とワンドのとソードの7だ」
最後に、菜奈花が「えっと」と続けた。
「桜之宮菜奈花、第一オーナー……。こっちはルニ、頭にツルニチニチソウの花冠をしているからルニ」
と、言葉の続きを待つより早く、ルニが続けた。
「手持ちは『正義』、『魔術師』、『魔術師』。小さいのはソードの騎士からの四枚に、カップとペンタクルの2と、4だよ」
「それで」と燈葵が切り出した「効果も逐一説明するべきかな?」
「最低限のは必要だろう」弘がうなづいた。
「なら、私から」と菜奈花、「えっと、『正義』は小アルカナが使えなくなる代わりに、剣で切った魔術を無効化する……でいいんだよね?」
「正確には無効化、というよりも魔力への再変換ってのが正しいかな」
「どういうこと?」
ルニは頷くと、菜奈花の方に体を向けながら説明を続けた。
「まず、魔力には二つあるの。体の外にある魔力と、内にある魔力と」
「初耳だな」弘がそういうと、燈葵も「僕もだね」と相槌を交わした。
一方のサラマンダーは「言ってませんもの」と答え、菜奈花の視界には少しむっとした弘の顔が映った。
「説明を続けるね?」とルニは前置きしてから、「まず細かい理論を抜きに説明すると、魔法にせよ魔術にせよ、内的魔力を使わないと魔法陣はその力を発揮しないの。魔法陣の役割は、内的魔力を使って魔力全般を望む効力に変換することだとされている」
「僕には何が何だかさっぱりだけど、要するに魔法にも魔術にも、独自の理論があるっていうことかな?」
「まあ正解」とルニは一度燈葵に振り返り、また菜奈花に向き直ると「で話を戻すと、『正義』が作り出す剣も、それ自体は魔術による魔力の変換……簡単に言えば魔力の塊なわけ」
菜奈花はどこか他人事のような表情で目の間で説明するルニを見ていた。
「で、『正義』の剣の持つ力は、魔力の再変換なの。魔力ってのは空気みたいなもので、見えないし、魔力操作の方法を知らなければ感じることもできない。さらに言えば現実に干渉すらできない。けど変換された魔力は干渉できる。逆に言えば、再度元の形に変換してあげれば、干渉ができなくなって魔力は霧散する、ってこと」
「なるほど?」と菜奈花は相槌こそ返すが、実際にきちんと理解しているかは不明であるが、「じゃあ実際は無効化っていうより、消しているって言った方が正しいの?」
「まあニュアンスの問題だね」
すると、黙って聞いていたじいさんが口を挟んだ。「たーだし、なんでもかんでも消せるわけじゃーないんじゃな、これが」
「どういうことかな?」やはりパートナー同士の方が会話がしやすいのか、真っ先に聞き返したのは燈葵だった。
「かんたんじゃよ、『正義』の剣は、生命体は消せないってことじゃ」
「どうして?」今度は菜奈花が聞き返した。
「言ったでしょう?魔力を再変換するって」とルニが続けた。菜奈花が頷くと、ルニは説明を続けて、「魔力を変換するには、内的魔力が必要。逆に言えば、内的魔力を持たない存在は変換ができない。つまり、魔法が使えないの」
「えーと……?」
菜奈花が首を傾げると、ルニは嘆息してから続けた。
「内的魔力をもつから陣を展開する事も、起動させることもできる。私は古い知識しか持ってないから外的魔力と内的魔力の違いなんてものはしらないけれど、でも少なくとも生命体はホムンクルスにせよ魔法生命体にせよ、陣を行使する事が出来た。いえ、できている。私だってそうだし、アルカナだってそう」とルニ、「要するに外的魔力を内的魔力に変換しているということで、ならそこには確実に外と内を分け隔てる壁が確かに存在するという理屈になる」
「その壁があるから、消せないと?」
燈葵がそうきくと、ルニは「そういう事」と満足げに腕を組んだ。
「なんか、ルニの説明が悪いから難しく感じるだけな気がしてきた」と一方の菜奈花は嘆息を見せるが、ルニは知らん顔を見せた。
菜奈花たちが一息つくべく椅子に腰掛けた直後、それぞれがそれぞれのオーナーのポケットからひょっこり飛び出しては、どういう理屈か宙に浮いて会話を先導する。
「それで、せめて戦力の確認くらいはしといたらいいと思うな」とルニ、「それに、一人は初めましてなんでしょう、オーナーとしては」
「それは……そうね」
菜奈花は頷くと、いつもやるように、椅子を九十度に転回して、そのまま後ろの席に向き直るような形を取った。いつもと違うのは、体を向けるのは真後ろだが、首は左に振っている。
詰まるとこと、それぞれが座って席は、まず菜奈花が一番前の中央列左、そして弘がその真後ろ、燈葵は彼の左隣の席である。ちなみに教室の机は横六列、縦七列である。
「そうじゃな、こんびねーしょんは大事じゃからなぁ?」
「それもそうだ」と燈葵がじいさんに相槌をすると、「改めて、彩冬燈葵、第四オーナー。こっちはノームのじいさん。手持ちのカードは大アルカナが『死神』と『吊るされた男』、小アルカナがペンタクルの小姓以下4枚とワンドの7、それからソードの7」
すると弘も続けて、「第二オーナー、紅葉弘。こっちはサラマンダー」と、顎で宙に浮いているトカゲを指す。「手持ちは『教皇』、『戦車』、小アルカナはワンドの小姓、騎士、女王、王の四枚とワンドのとソードの7だ」
最後に、菜奈花が「えっと」と続けた。
「桜之宮菜奈花、第一オーナー……。こっちはルニ、頭にツルニチニチソウの花冠をしているからルニ」
と、言葉の続きを待つより早く、ルニが続けた。
「手持ちは『正義』、『魔術師』、『魔術師』。小さいのはソードの騎士からの四枚に、カップとペンタクルの2と、4だよ」
「それで」と燈葵が切り出した「効果も逐一説明するべきかな?」
「最低限のは必要だろう」弘がうなづいた。
「なら、私から」と菜奈花、「えっと、『正義』は小アルカナが使えなくなる代わりに、剣で切った魔術を無効化する……でいいんだよね?」
「正確には無効化、というよりも魔力への再変換ってのが正しいかな」
「どういうこと?」
ルニは頷くと、菜奈花の方に体を向けながら説明を続けた。
「まず、魔力には二つあるの。体の外にある魔力と、内にある魔力と」
「初耳だな」弘がそういうと、燈葵も「僕もだね」と相槌を交わした。
一方のサラマンダーは「言ってませんもの」と答え、菜奈花の視界には少しむっとした弘の顔が映った。
「説明を続けるね?」とルニは前置きしてから、「まず細かい理論を抜きに説明すると、魔法にせよ魔術にせよ、内的魔力を使わないと魔法陣はその力を発揮しないの。魔法陣の役割は、内的魔力を使って魔力全般を望む効力に変換することだとされている」
「僕には何が何だかさっぱりだけど、要するに魔法にも魔術にも、独自の理論があるっていうことかな?」
「まあ正解」とルニは一度燈葵に振り返り、また菜奈花に向き直ると「で話を戻すと、『正義』が作り出す剣も、それ自体は魔術による魔力の変換……簡単に言えば魔力の塊なわけ」
菜奈花はどこか他人事のような表情で目の間で説明するルニを見ていた。
「で、『正義』の剣の持つ力は、魔力の再変換なの。魔力ってのは空気みたいなもので、見えないし、魔力操作の方法を知らなければ感じることもできない。さらに言えば現実に干渉すらできない。けど変換された魔力は干渉できる。逆に言えば、再度元の形に変換してあげれば、干渉ができなくなって魔力は霧散する、ってこと」
「なるほど?」と菜奈花は相槌こそ返すが、実際にきちんと理解しているかは不明であるが、「じゃあ実際は無効化っていうより、消しているって言った方が正しいの?」
「まあニュアンスの問題だね」
すると、黙って聞いていたじいさんが口を挟んだ。「たーだし、なんでもかんでも消せるわけじゃーないんじゃな、これが」
「どういうことかな?」やはりパートナー同士の方が会話がしやすいのか、真っ先に聞き返したのは燈葵だった。
「かんたんじゃよ、『正義』の剣は、生命体は消せないってことじゃ」
「どうして?」今度は菜奈花が聞き返した。
「言ったでしょう?魔力を再変換するって」とルニが続けた。菜奈花が頷くと、ルニは説明を続けて、「魔力を変換するには、内的魔力が必要。逆に言えば、内的魔力を持たない存在は変換ができない。つまり、魔法が使えないの」
「えーと……?」
菜奈花が首を傾げると、ルニは嘆息してから続けた。
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「その壁があるから、消せないと?」
燈葵がそうきくと、ルニは「そういう事」と満足げに腕を組んだ。
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そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
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