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第三章
―School In The Night.5―
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「まずは風一式、ソードの小姓から王まで。効果は順に、監視、暴風、カマイタチ、風の鷲ね」
「暴風から三枚はわかるけど、監視ってなんだい?ストーカー御用達かい?」
燈葵がそうはやすと、しかしルニは否定することなく「あながち間違ってもないよ」と返した。「効果はこれを付与された相手を、指輪で映像として見るっていうものだから」
「盗撮じゃん……」
これにはさすがに燈葵も引いていた。否、菜奈花だってそうである。どこか引きつった笑顔を見せている。唯一弘だけはポーカーフェイスを保っているが、菜奈花には同様に考えているものと見ていい気がした。
「ま、見れるだけで音は拾えないし、距離にも制限があるんだけどね。けど例えば人に付与すれば擬似的な視覚の共有になるし、壁に付与すれば定点カメラにもなる。この付与は人だけに限定されないからね」
そう得意げにいうルニだが、周囲三人の表情は明らかに軽蔑の目である。時代の違いなのだろうか、ルニにはそもそも盗撮というものを理解していない可能性すらある。
さすがに表情が微妙なことに気がついたらしのか、一度咳払いをした。
「まあ、使い道はそのうちくるね」
「来て欲しくないなぁ」
菜奈花はそうぼやくが、構わずルニは説明に戻る。菜奈花のその一言は、心のそこからのものであったらしく、言葉に間違いなく嘆息が、ひいては懇願のようなものすら感じ取れる。
「次はカップの2、これはさっき言ったように探索ね」と言うと、ルニはそのカードをゆっくり横に回してみせた。これは先から同じことであるが、大アルカナ小アルカナ問わず、宙に浮いているカードも、回転するカードも、等しく微弱な光源と化しているのである。回転をするとその微弱性が増すのだが、これが微妙に眩しいのか絵柄こそ三人は注視するが、やや目を防ぎみに見ていた。
「これは、発動位置を中心として、ものを探すっていう簡単な魔術で、探したいものをイメージすれば、それを魔力が教えてくれるっていうものなの。探し物には便利な魔法だね」
「でも、探しているものが複数存在する場合……例えばペンとか、同じ物が存在する場合ってのはどうなるの?」
「それが自分のものであれば、一度触れているからそれだけをみつけられるよ。他人の物は無理、該当するもの全部が反応するようになる」
「なんか……小アルカナって、微妙な性能ばっかりなんだね……」
燈葵はどこか苦笑気味であったが、特にルニも否定はしないらしく、「まあ使えないカードが多いのは事実だね」とあまつさえ肯定までする始末であった。「だから大アルカナにとっての配下カードがハズレだって場合は結構多い。助かるっちゃ助かるけど、なんか……ね」
そう言うルニの言葉の端々から哀れみを感じられるのは、菜奈花の気のせいではないのだろう。
「次はペンタクルの2、伝言」とさっきまで回していたカップの2を二人の方にむけて止め、今度はその隣のペンタクルの2を回して説明を始めた。「簡単に言えばテレパシーね、一方通行の連絡手段。ただし、距離制限はあるから気をつけるべし」
ルニはそう言うと、カードの回転をやめて別のカードの説明に移ろうとする。が、菜奈花は拍子抜けしたらしく、「え、それだけ?」と思わず口にした。
あえて否定する要素もないのか頷くと、また説明が再開された。この精霊、どうやら事細かい説明がだんだん面倒になってきたらしいな、と菜奈花は直感的に感じた。実際には菜奈花もどこか聞くことさえ面倒に感じているのだから、ある意味で意思疎通ができているとも言える。
「次はカップの4、倦怠感。気だるさを付与させるカードね、ぶっちゃけ大アルカナには対しては意味なし、といか効果なし」となげやりにルニ、「最後にペンタクルの4、取り寄せ。一度触れたものを手元に引き寄せるカードね。『恋愛』が最後に使ったのはこれだね」
「あぁ……あれは危なかった」
「えっと……改めてありがとね、紅葉くん」
弘が思わず呟くと、そういえば感謝を顕にしてはいなかったな、と今更ながらに菜奈花は言葉にした。
菜奈花の視線は弘に向かっていた。極めて素直で邪気のない感謝の言葉である、
だというのにどこか空気が気まずくなったような気がするのは、弘が「あぁ……」とろくに返事を返すでもなく、どこか上の空気味に、咄嗟に菜奈花から目をそらしたからであろうか。
「えーと……もしもし?」ルニは空気が微妙になったのを察したのか、弘の方を向くと嘆息した。「まあ、いいや……とりあえず私の方は終わり」
「お疲れ様」
そういう燈葵は、むしろどこか楽しそうでもあった。
菜奈花には弘の行動は確かに確認できていたが、その意図を、理由を知る縁はどこにもなかった。できることは、ただ頭に疑問符を浮かべ、首をかしげるのみである。
「暴風から三枚はわかるけど、監視ってなんだい?ストーカー御用達かい?」
燈葵がそうはやすと、しかしルニは否定することなく「あながち間違ってもないよ」と返した。「効果はこれを付与された相手を、指輪で映像として見るっていうものだから」
「盗撮じゃん……」
これにはさすがに燈葵も引いていた。否、菜奈花だってそうである。どこか引きつった笑顔を見せている。唯一弘だけはポーカーフェイスを保っているが、菜奈花には同様に考えているものと見ていい気がした。
「ま、見れるだけで音は拾えないし、距離にも制限があるんだけどね。けど例えば人に付与すれば擬似的な視覚の共有になるし、壁に付与すれば定点カメラにもなる。この付与は人だけに限定されないからね」
そう得意げにいうルニだが、周囲三人の表情は明らかに軽蔑の目である。時代の違いなのだろうか、ルニにはそもそも盗撮というものを理解していない可能性すらある。
さすがに表情が微妙なことに気がついたらしのか、一度咳払いをした。
「まあ、使い道はそのうちくるね」
「来て欲しくないなぁ」
菜奈花はそうぼやくが、構わずルニは説明に戻る。菜奈花のその一言は、心のそこからのものであったらしく、言葉に間違いなく嘆息が、ひいては懇願のようなものすら感じ取れる。
「次はカップの2、これはさっき言ったように探索ね」と言うと、ルニはそのカードをゆっくり横に回してみせた。これは先から同じことであるが、大アルカナ小アルカナ問わず、宙に浮いているカードも、回転するカードも、等しく微弱な光源と化しているのである。回転をするとその微弱性が増すのだが、これが微妙に眩しいのか絵柄こそ三人は注視するが、やや目を防ぎみに見ていた。
「これは、発動位置を中心として、ものを探すっていう簡単な魔術で、探したいものをイメージすれば、それを魔力が教えてくれるっていうものなの。探し物には便利な魔法だね」
「でも、探しているものが複数存在する場合……例えばペンとか、同じ物が存在する場合ってのはどうなるの?」
「それが自分のものであれば、一度触れているからそれだけをみつけられるよ。他人の物は無理、該当するもの全部が反応するようになる」
「なんか……小アルカナって、微妙な性能ばっかりなんだね……」
燈葵はどこか苦笑気味であったが、特にルニも否定はしないらしく、「まあ使えないカードが多いのは事実だね」とあまつさえ肯定までする始末であった。「だから大アルカナにとっての配下カードがハズレだって場合は結構多い。助かるっちゃ助かるけど、なんか……ね」
そう言うルニの言葉の端々から哀れみを感じられるのは、菜奈花の気のせいではないのだろう。
「次はペンタクルの2、伝言」とさっきまで回していたカップの2を二人の方にむけて止め、今度はその隣のペンタクルの2を回して説明を始めた。「簡単に言えばテレパシーね、一方通行の連絡手段。ただし、距離制限はあるから気をつけるべし」
ルニはそう言うと、カードの回転をやめて別のカードの説明に移ろうとする。が、菜奈花は拍子抜けしたらしく、「え、それだけ?」と思わず口にした。
あえて否定する要素もないのか頷くと、また説明が再開された。この精霊、どうやら事細かい説明がだんだん面倒になってきたらしいな、と菜奈花は直感的に感じた。実際には菜奈花もどこか聞くことさえ面倒に感じているのだから、ある意味で意思疎通ができているとも言える。
「次はカップの4、倦怠感。気だるさを付与させるカードね、ぶっちゃけ大アルカナには対しては意味なし、といか効果なし」となげやりにルニ、「最後にペンタクルの4、取り寄せ。一度触れたものを手元に引き寄せるカードね。『恋愛』が最後に使ったのはこれだね」
「あぁ……あれは危なかった」
「えっと……改めてありがとね、紅葉くん」
弘が思わず呟くと、そういえば感謝を顕にしてはいなかったな、と今更ながらに菜奈花は言葉にした。
菜奈花の視線は弘に向かっていた。極めて素直で邪気のない感謝の言葉である、
だというのにどこか空気が気まずくなったような気がするのは、弘が「あぁ……」とろくに返事を返すでもなく、どこか上の空気味に、咄嗟に菜奈花から目をそらしたからであろうか。
「えーと……もしもし?」ルニは空気が微妙になったのを察したのか、弘の方を向くと嘆息した。「まあ、いいや……とりあえず私の方は終わり」
「お疲れ様」
そういう燈葵は、むしろどこか楽しそうでもあった。
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