67 / 70
第三章
―School In The Night.6―
しおりを挟む
「では次はこちらの二枚ですね」そういうと、サラマンダーも同様に弘のポケットからカードを取り出して、宙に浮かせてみせた。『皇帝』と、『戦車』である。
「皇帝は魔法の乗っ取り、戦車は……よくわからん」
「そうですね、ひとまずは『皇帝』から説明しましょうか」とサラマンダーもやはりどういう理屈か宙に浮いている。カードの絵柄は弘の横から斜めにして、二人に見えるような位置である。「『皇帝』は魔法の乗っ取り、それは間違ってはいません。なにせ相手の展開した魔法陣の情報を瞬時に改ざんするというものですから」
「てことはやっぱり距離は関係するの?」
菜奈花が聞くと、いままで黙っていたじいさんが口を開いた。
「あぁするとも。この手の魔法陣の展開位置が術者から離れている場合と術者の距離は、切っても切れんでな?」
「ですがこの場合の原理としては、相手の展開している魔法陣の内的魔力を、自分の内的魔力に改ざんするというものですから……実際的には展開する陣の起点は術者です」
「つまり、魔力改ざんをする為の魔法陣を展開して、既に展開してある別の魔法陣を乗っ取るってことか?随分と回りくどいな……」
「本来展開しきった魔法陣の情報を改ざんするのは至難の業ですから、多少回りくどくても仕方ないかと」とサラマンダー、「それと、乗っ取れるのは操作を放棄していない術で、かつ陣が露出している場合に限ります」
と、ここで「まったく」と燈葵が割って入った。「随分と勝手が悪いね。『正義』みたいに使いやすく、それでいてわかりやすくあって欲しいものだよ」
しかしこれには同意しかねるのか、「えっと」と菜奈花がさらに割って入る。
「実際には剣しか触れないから、思っているよりもその……」否定の論点は、わかりやすさについてではないらしい。
「まー小アルカナが使えないんじゃ、立派な剣もせいぜい投擲くらいでしか役に立たないってことね」
ルニのその言葉に燈葵はなるほどと納得の様子こそ見せるが、同時に嘆息もしていた。効果とは裏腹に、圧倒的に使えないとでも思ったのだろうか。
「で、操作を放棄している術って、具体的にどういうことだ?」
「簡単に言えば、誘導系、展開を維持する系統の術のことです。これは『皇帝』が乗っ取って術式の概要そのものを書き換えようとする際、魔法陣はたまらず崩壊するというという関係から成る事象です」
「それじゃ、ひょっとして『正義』よりも使いやすい打ち消しとして活用できるのかな?」
燈葵の中で完全に『正義』は扱いづらい役立たずという認識になったらしく、明らかに卑下した発言であった。菜奈花としては『正義』自体は最初のカードでもあるので愛着自体はあるのだろうが、いかんせんここまでの活躍ぶりを鑑みるに、殊更強く否定もできない、むしろ同意せざるを得ないという微妙な心境であった。
しかしこれはサラマンダーがかぶりを振って否定した。
「『皇帝』は乗っ取れるだけで、打ち消しはできません」
「なぜ?」燈葵が聞いた。
「『皇帝』の魔法陣を乗っ取るための魔法陣は、乗っ取るために相手の術式を安定させる、という副次効果があります。これが移動系、維持系の魔法だけを乗っ取れるという点につながるのです」
「それじゃあ、そういう系統以外は乗っ取れないのか?」弘がきいた。
「いえ、厳密には乗っ取り自体は可能です。ただその場合、乗っ取ったという事実だけができあがるのみで、術式には一切の影響が及ぼされません」とサラマンダー、「書き換えられる要素は、効果のプラスマイナス、それと誘導先だけなのです」
「だから、その二つ以外は……ってことか」と燈葵、「なんか、余計微妙なカードに思えてくるね」
「それについては首肯せざるを得ません。なにせ大アルカナの効力の殆どに対してが無効であり、かと言って小アルカナを乗っ取ろうにもシルフの言うとおりに機会がまず少ないのですから」
菜奈花は一瞬シルフと言われて、誰の事かと視線を巡らした。数秒後ルニが「アタシアタシ」というまでは、彼女の本来の名前――種族名を忘れていたのである。
燈葵の嫌味にしかし菜奈花は恩義を忘れてはいないらしく、「あの時魔法を誘導したのって、『皇帝』……だよね?」とちょっと申し訳なさそうに訪ねた。弘はバツが悪そうに、「あぁ」と短く返事を返した。表情は菜奈花からは俯いててよく見えない。「だったら微妙、なんて私は思わないよ」
菜奈花がそう言うと、燈葵もどこかばつが悪そうな表情を一瞬見せたと思うと思い出したように沈黙が教室内を襲った。
弘には、大方そうやってカードを卑下して、そんな使えないものは僕に渡すといい、とかなんとか言うんだろうな、と思っていた。否、恐らくこういう雰囲気にでもならなければ言うつもりだったのであろう、その証拠に彼はどこか不貞腐れたような表情を表情の下に描いていた。否、これは弘にしか読み取れない表情だろう、菜奈花からは彼は頬杖を付いてどこかイタズラっぽい表情を浮かべているだけしか見えないのだから。
「では、次は『戦車』ですね」と僅かな沈黙を破ったのはサラマンダーであった。オーナーが弘である事からか、沈黙には幾分の耐性があると菜奈花はみた。最もこの場合の沈黙とは別度合いだろうが、精霊に「空気を読む」、なんてのはできないのだろうとルニを一瞥した。事実、ルニは平然と宙で退屈そうにあぐらを書いて、あまつさえには欠伸までする始末であった。
「これは、これまででた大アルカナとは異なる性質を持っています」とサラマンダー、「大アルカナのもつ性質は、二つに分かれます。一つは『正義』、『皇帝』などのように、その効力を身に待とう憑依。そしてもう一つが『戦車』のように実体として外に効力を展開したり、或いは強力な効力を一瞬だけ呼び出したりする……それが召喚です」
「なるほど」と弘、「それで、どういう効果を持つんだ?」
「ありませんよ」
「え?」
この反応は、弘だけのものではなかった。この場にいた三人が同時にそう聞き返していたのである。それもそうであろう、ここまで複雑怪奇な説明を受けていたのに、いきなり特別な効果なんてありませんなんて言われれば、拍子抜けもする。
しかし当の妖精組は素知らぬ顔で、特にサラマンダーに至ってはそのまま反応を顧みずに、説明を続けようとする始末である。
「『戦車』は、白と黒の二頭の馬を生やした車輪付きの台座を召喚できるだけです。強いて特殊性をあげれば台座の耐久は随一ですから壁になるってのと、空を駆けるくらいなら造作もない、という点でしょうか」
そう淡々と話すサラマンダーに対して、三人の目は冷たい。これではただの移動手段でしかないではないかと。ましてや学校で使うにしては狭いだろうな、というのは一度見て、また使ってもいる菜奈花と弘の素直な感想であった。
「よし……次の説明、頼む」
弘は、どうやら匙を投げたらかった。
「皇帝は魔法の乗っ取り、戦車は……よくわからん」
「そうですね、ひとまずは『皇帝』から説明しましょうか」とサラマンダーもやはりどういう理屈か宙に浮いている。カードの絵柄は弘の横から斜めにして、二人に見えるような位置である。「『皇帝』は魔法の乗っ取り、それは間違ってはいません。なにせ相手の展開した魔法陣の情報を瞬時に改ざんするというものですから」
「てことはやっぱり距離は関係するの?」
菜奈花が聞くと、いままで黙っていたじいさんが口を開いた。
「あぁするとも。この手の魔法陣の展開位置が術者から離れている場合と術者の距離は、切っても切れんでな?」
「ですがこの場合の原理としては、相手の展開している魔法陣の内的魔力を、自分の内的魔力に改ざんするというものですから……実際的には展開する陣の起点は術者です」
「つまり、魔力改ざんをする為の魔法陣を展開して、既に展開してある別の魔法陣を乗っ取るってことか?随分と回りくどいな……」
「本来展開しきった魔法陣の情報を改ざんするのは至難の業ですから、多少回りくどくても仕方ないかと」とサラマンダー、「それと、乗っ取れるのは操作を放棄していない術で、かつ陣が露出している場合に限ります」
と、ここで「まったく」と燈葵が割って入った。「随分と勝手が悪いね。『正義』みたいに使いやすく、それでいてわかりやすくあって欲しいものだよ」
しかしこれには同意しかねるのか、「えっと」と菜奈花がさらに割って入る。
「実際には剣しか触れないから、思っているよりもその……」否定の論点は、わかりやすさについてではないらしい。
「まー小アルカナが使えないんじゃ、立派な剣もせいぜい投擲くらいでしか役に立たないってことね」
ルニのその言葉に燈葵はなるほどと納得の様子こそ見せるが、同時に嘆息もしていた。効果とは裏腹に、圧倒的に使えないとでも思ったのだろうか。
「で、操作を放棄している術って、具体的にどういうことだ?」
「簡単に言えば、誘導系、展開を維持する系統の術のことです。これは『皇帝』が乗っ取って術式の概要そのものを書き換えようとする際、魔法陣はたまらず崩壊するというという関係から成る事象です」
「それじゃ、ひょっとして『正義』よりも使いやすい打ち消しとして活用できるのかな?」
燈葵の中で完全に『正義』は扱いづらい役立たずという認識になったらしく、明らかに卑下した発言であった。菜奈花としては『正義』自体は最初のカードでもあるので愛着自体はあるのだろうが、いかんせんここまでの活躍ぶりを鑑みるに、殊更強く否定もできない、むしろ同意せざるを得ないという微妙な心境であった。
しかしこれはサラマンダーがかぶりを振って否定した。
「『皇帝』は乗っ取れるだけで、打ち消しはできません」
「なぜ?」燈葵が聞いた。
「『皇帝』の魔法陣を乗っ取るための魔法陣は、乗っ取るために相手の術式を安定させる、という副次効果があります。これが移動系、維持系の魔法だけを乗っ取れるという点につながるのです」
「それじゃあ、そういう系統以外は乗っ取れないのか?」弘がきいた。
「いえ、厳密には乗っ取り自体は可能です。ただその場合、乗っ取ったという事実だけができあがるのみで、術式には一切の影響が及ぼされません」とサラマンダー、「書き換えられる要素は、効果のプラスマイナス、それと誘導先だけなのです」
「だから、その二つ以外は……ってことか」と燈葵、「なんか、余計微妙なカードに思えてくるね」
「それについては首肯せざるを得ません。なにせ大アルカナの効力の殆どに対してが無効であり、かと言って小アルカナを乗っ取ろうにもシルフの言うとおりに機会がまず少ないのですから」
菜奈花は一瞬シルフと言われて、誰の事かと視線を巡らした。数秒後ルニが「アタシアタシ」というまでは、彼女の本来の名前――種族名を忘れていたのである。
燈葵の嫌味にしかし菜奈花は恩義を忘れてはいないらしく、「あの時魔法を誘導したのって、『皇帝』……だよね?」とちょっと申し訳なさそうに訪ねた。弘はバツが悪そうに、「あぁ」と短く返事を返した。表情は菜奈花からは俯いててよく見えない。「だったら微妙、なんて私は思わないよ」
菜奈花がそう言うと、燈葵もどこかばつが悪そうな表情を一瞬見せたと思うと思い出したように沈黙が教室内を襲った。
弘には、大方そうやってカードを卑下して、そんな使えないものは僕に渡すといい、とかなんとか言うんだろうな、と思っていた。否、恐らくこういう雰囲気にでもならなければ言うつもりだったのであろう、その証拠に彼はどこか不貞腐れたような表情を表情の下に描いていた。否、これは弘にしか読み取れない表情だろう、菜奈花からは彼は頬杖を付いてどこかイタズラっぽい表情を浮かべているだけしか見えないのだから。
「では、次は『戦車』ですね」と僅かな沈黙を破ったのはサラマンダーであった。オーナーが弘である事からか、沈黙には幾分の耐性があると菜奈花はみた。最もこの場合の沈黙とは別度合いだろうが、精霊に「空気を読む」、なんてのはできないのだろうとルニを一瞥した。事実、ルニは平然と宙で退屈そうにあぐらを書いて、あまつさえには欠伸までする始末であった。
「これは、これまででた大アルカナとは異なる性質を持っています」とサラマンダー、「大アルカナのもつ性質は、二つに分かれます。一つは『正義』、『皇帝』などのように、その効力を身に待とう憑依。そしてもう一つが『戦車』のように実体として外に効力を展開したり、或いは強力な効力を一瞬だけ呼び出したりする……それが召喚です」
「なるほど」と弘、「それで、どういう効果を持つんだ?」
「ありませんよ」
「え?」
この反応は、弘だけのものではなかった。この場にいた三人が同時にそう聞き返していたのである。それもそうであろう、ここまで複雑怪奇な説明を受けていたのに、いきなり特別な効果なんてありませんなんて言われれば、拍子抜けもする。
しかし当の妖精組は素知らぬ顔で、特にサラマンダーに至ってはそのまま反応を顧みずに、説明を続けようとする始末である。
「『戦車』は、白と黒の二頭の馬を生やした車輪付きの台座を召喚できるだけです。強いて特殊性をあげれば台座の耐久は随一ですから壁になるってのと、空を駆けるくらいなら造作もない、という点でしょうか」
そう淡々と話すサラマンダーに対して、三人の目は冷たい。これではただの移動手段でしかないではないかと。ましてや学校で使うにしては狭いだろうな、というのは一度見て、また使ってもいる菜奈花と弘の素直な感想であった。
「よし……次の説明、頼む」
弘は、どうやら匙を投げたらかった。
0
あなたにおすすめの小説
巻き込まれ異世界召喚、なぜか俺だけ竜皇女の推しになった
ノラクラ
ファンタジー
俺、霧島悠斗は筋金入りの陰キャ高校生。
学校が終わったら即帰宅して、ゲームライフを満喫するのが至福の時間――のはずだった。
だがある日の帰り道、玄関前で学園トップスターたちの修羅場に遭遇してしまう。
暴君・赤城獅童、王子様系イケメン・天条院義孝、清楚系美少女・柊奏、その親友・羽里友莉。
よりによって学園の顔ぶれが勢ぞろいして大口論!?
……陰キャ代表の俺に混ざる理由なんて一ミリもない。見なかったことにしてゲームしに帰りたい!
そう願った矢先――空気が変わり、街に巨大な魔法陣が出現。
赤城たちは光に呑まれ、異世界へと召喚されてしまった。
「お~、異世界召喚ね。ラノベあるあるだな」
そう、他人事のように見送った俺だったが……。
直後、俺の足元にも魔法陣が浮かび上がる。
「ちょ、待て待て待て! 俺は陰キャだぞ!? 勇者じゃないんだぞ!?」
――かくして、ゲームライフを愛する陰キャ高校生の異世界行きが始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる