ステラ☆オーナーズ〜星の魔法使い〜

霜山 蛍

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第一章

―不思議な不思議な新しい一日・七―

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「ごちそうさま」
 菜奈花が昼飯を食べ終わる頃、しかしルニは未だ半分程しか食べていなかった。
「ルニって食べるの遅いのね」
「そりゃあ、何せ小さいんだから仕方ないでしょ」
「一人前は多すぎたかな……」
 そう呟いた後で、壁掛け時計の方に目をやると、未だ一時半を軽く回った程度であった。
「そういやどこかでかけるの、菜奈花」
「ん、ちょっと買い物」

「――で、何処に行きたいのですか?」
 入学式の終わったあと、LHRロングホームルーム前の合間の時間に、香穂に後ろから声をかけられた。
 座席を右に九十度旋回したあとで菜奈花は、香穂の方を向いた。
「モールとか」
 とか、というのはつまり放課後の寄り道が本来の目的であり、特に寄りたいところが決まっているわけではない、というのは香穂にも理解していたのか、
「では今日はショッピングですね」
と特に気にする様子もなく菜奈花に合わせた。
「うん、新しい春物の服とか欲しいし」
 しかしキチンと目的もあるらしく、その事に香穂は微笑んだ。
「では、三時に菜奈花ちゃんの家に向かいますね」
「うん」

「モール」
「ふぅん。あ、晩御飯はお肉がいい」
 どさくさに紛れて晩ご飯をオーダーするルニに、しかし菜奈花は「はいはい」と至極適当に返した。
 ルニが食事を終える頃、時計の単身は二を回っていた。
「ごちそうさま」
「はーい」
「いつも自分で作ってるの?」
「んー」と菜奈花、「時間があれば大体」
「へぇ、だから妙に手馴れてるわけね」
「けど、基本的なものしかできないよ?」
「基本時なものでも、できれば十分でしょ」
 見ると、綺麗に完食されきった皿が、ルニの前にはあった。
「綺麗に食べたのね」
「美味しかったからね」
「それは良かった」
 ルニの前では今日一番かもしれなかった、その笑顔を漏らした菜奈花に、思わずルニはからかう様な視線を向けた。
「へぇ。菜奈花、そういう顔もするんだ」
「なによ、突然」
 皿を洗い始めながら声だけを返す菜奈花に、ルニは「いや」と続けた。
「私と話しているときはそんな顔してなかった気がしたからさ?」
「そりゃあそうでしょ。いきなりよくわかんないのが現れたら、そりゃあ……ねぇ?」
 「そうかもね」と同意を示した後でルニは、「そういえば」と話を切り出した。
「なに?」
「モール行くんでしょ?」とルニ、「何を買いに行くの?」
「春物の新しい服欲しいなって」
 するとルニはやれやれとダイニングテーブルの上にだらしなく横になった。
「菜奈花もやっぱり女の子だなぁ」
「どうしたの突然」と訝しむような声で菜奈花、「媚びたって夕食はリクエスト通りには行かないよ」
 皿を洗いながら、そう呟く菜奈花に、しかしルニは、「そうでもないかもよ?」と続けた。
「媚ってのは売っておけば、その内どっかで返ってくるものなの」
「そういうものなの?」
 洗い終わった皿を吹きながら聞き返す菜奈花にルニは、「ええ」とだけ返した。
「で、時間はいいの?」
「今何時?」
 あくまで目の前の事が優先なのか、拭き終えた食器を片付けながら聞く菜奈花にたいしてルニは素直に、「二時半」と答えた。
「じゃあまだ三十分くらいあるかな」
「出かけるなら指輪だけは持って行ってね」
 菜奈花はようやく事を終えたのか、先ほどまで食事で座っていたダイニングチェアーに腰掛けて、頬杖をついた。
「それ、朝も言ってたけど、具体的にどうしてなの?」
 するとルニは宙を飛び回りながら、「言ったでしょ」と話を続けた。
「それには力が宿っているの」
「うん」
「まず指輪があれば私や所持しているアルカナを手元に呼び寄せることができる」
 そこで一度ルニは軽い間を置き、「で」とさらに続けた。
「指輪があればさっき言ったように、気配を察知する事もできるってわけ」とルニ、「序でに、アルカナと接敵すれば結界も貼ってくれる」
「つまり、とりあえず持ってればいいって事?」
 ルニは頷いた。
「そゆこと。あ、勿論アルカナを使うときは指輪をしないといけないのは、忘れないでね」
「了解了解」
 そう言うと、菜奈花は椅子から立ち上がり、付けっぱなしのエプロンを脱いで畳み始めた。
「それじゃ、ちょっと準備してくるね」
 そう言うと、菜奈花はエプロンをしまった後で、バタバタと自室へと戻っていってしまった。
「――ま、その時になれば色々菜奈花にもわかるでしょ」
 ルニはダイニングテーブルの上に降り、右手を上向きで前につきだした。
 そのの上に置かれていた『正義ジャスティス』のアルカナを宙に浮かせると、同じようにして新たに五枚の一回り小さなカードがその周りを集会し始めた。
 突如現れたその五枚は、一見『正義』のアルカナから光に包まれて出てきたかのように見え、それらは未だ光に包まれていて、その姿を鮮明に捉えることは叶わなかった。

「まだ目覚めていないアルカナは、――後、二十枚」

 ルニのエメラルド色の瞳は、ただ宙に浮くそれらだけを映していた。
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