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第二章
―少しだけ変化した新しい日常・四―
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「お、なになに、何話してんのさ」
そうして話に一段落が着いた頃、見慣れた女子生徒が、二人に話しかけてきた。
亜沙美である。
「えっとね、今週末に、妻沼公園にいくんだけど」
「へぇ、あそこか……」と亜沙美、「いいよな、妻沼公園、桜今見頃だろうし」
「うん、そうなの」
すると、亜沙美は、適当なその辺の椅子を引っ張り出して、香穂の机に向けて座った。
「そういえば、あさみん、二人は?」
いつも大抵三人一緒にいる亜沙美たちであり、であれば当然一人しかいないこの状況は、菜奈花としても気になる所であった。
「あぁ、いや、ウチの学校って部活強制じゃん?」
「あぁ、うん」
その事は菜奈花も知っており、頷きと共に返した。
「ウチはバスケにしたけど、あの二人は苦手っしょ、運動」
「確かに、そうでしたね」
今度は香穂が相槌を入れた。
「だから、どこか良い、名前だけの部とか無いかなーってなって」と亜沙美、「それで、文芸部を見つけて、今その軽い集まり?みたいなの言ってるらしい」
「文芸部?」
菜奈花が聞き返すと、何故か得意げに亜沙美が、
「そう、文芸部……!数多ある文化部の中でも相当なマイナーで、加えて活動は金曜日のみ!この学校における、幽霊部員の名前置き場として、一部の生徒の間では人気なのだ!」
背後にババーン、だの、ドドーン、だのといった効果音が見えそうなほどの、ドヤ顔であった。
菜奈花が苦笑のような、微妙な反応を見せていると、
「いいか、この学校では、部活には絶対入らないといけないという、ちょーろぐでないルールがある。そうなれば、ある者は当然、こう思うだろう」と亜沙美、「つまり、面倒くさい、と!」
「ま、まあ……わからなくも無いけどさぁ」
「だろう?」
では香穂はどうかと言うと、いつものように、絶えず微笑みを見せていた。
しかしそれを気にすることなく、亜沙美は続ける。
「文芸部、活動内容は読書レビュー、あるいは自作小説の鑑賞会。だがその実、行けばただの雑談であり、中には漫研のない中学に置いて居場所を見つけたのか、イラストやら漫画やらを書くものもいる……らしい」
「美術部でいいんじゃ……」
菜奈花の冷静な返しに、しかし亜沙美は気にせずに続ける。
「週一とか抜かしておいて、その実やりたい放題な文芸部は、特別棟空き教室を根城としながらも、内部派閥は幾数多!文芸部を称して教室に居座り続けたり、寄り道を常習するらしい」
「要するに、名前だけの自由な部活、という事ですね」
掻い摘んで言えば、結局はそういうことになるのだろう。
「ちなみに、文芸部って何人くらいいるの?」
「あぁ、えりりんの言う所では、各学年最初は三十人以上、そうして半年過ぎると五十人以上まで増える、そうだ」
「もう、部活動強制の意味は無いね……」
「あぁ、全くひでーなしルールよぉ」
とはいえ、菜奈花も香穂も、それぞれキチンとした部活を選択しているわけで、であればあまり縁のない話には違いなかった。
「あぁ、で、何の話だっけ?」
一人で盛り上がった亜沙美のせいで本題からは逸れてしまったのを、本人は今になってようやく思い出したらしい。
「えっと、週末妻沼公園に行くって話」
菜奈花が冷静に返すと、亜沙美も「あぁ、そうだったそうだった」と何度も頷いた。
「誰と行くんだ?」
「えっと……」
菜奈花はあまり家族の事を話したがらないようで、香穂以外には叔母さんの話も全くしてこなかった。その為、こうして不意に聞かれると困ったもので、であれば当然言葉に詰まってしまう。
しかしそこは香穂も慣れっこらしく、機転を利かせて、
「私とですよ」
菜奈花は心中密かに香穂に感謝を告げたあとで、
「そ、そう!香穂ちゃんと行くの!」
亜沙美は疑うことなく、「ふぅん」と相槌すると、
「なんだ、またななとかほっちでデートか」
「そんなんじゃないよ、花見」
「二人で花見とか完全にデートっしょ」
しかし香穂は微笑むと、
「違うかどうかは置いておくとして、私たちは楽しむだけですよ」
「そ、そう!」
「ふぅん……」と亜沙美、「ま、楽しんでこいよな」
結局、その直後で恵利と詩香がやってきて、亜沙美は椅子を戻すなり、また三人で教室を出て行ってしまった。
「ありがと、香穂ちゃん」
先程は心中で伝えた思いを、今度は口に出して伝える菜奈花に、香穂は、
「いいんですよ。それより、楽しんできてくださいね」
そう微笑むばかりで、それっきり、昼休みの終了を告げる軽い電子音のチャイムが鳴り響いた。
そうすると、菜奈花はスマホの電源を落とし、またカバンに滑らせるようにして入れると、椅子を戻して、次の授業の用意に取り掛かる。
香穂も同じで、次の授業の用意を机の上に広げるなり、後は雑談することなく、二人それぞれが教科書を広げ、適当に読み始めるのである。
一方、予鈴がなると数分の後に、喧騒は蚊帳の外から教室内へと帰還を果たし、それが元の姿でもあるかのように、それが教室内を支配する。
菜奈花がそっと窓の外に目をやれば、真南より西に傾いた太陽を純白の白雲が覆い隠しており、であれば日差しは僅かに力を失っていた。
しかしすぐさま教科書へと目線を落とせば、けれど内容は頭を通り過ぎ、思いは今週末へと馳せていた。
そうして話に一段落が着いた頃、見慣れた女子生徒が、二人に話しかけてきた。
亜沙美である。
「えっとね、今週末に、妻沼公園にいくんだけど」
「へぇ、あそこか……」と亜沙美、「いいよな、妻沼公園、桜今見頃だろうし」
「うん、そうなの」
すると、亜沙美は、適当なその辺の椅子を引っ張り出して、香穂の机に向けて座った。
「そういえば、あさみん、二人は?」
いつも大抵三人一緒にいる亜沙美たちであり、であれば当然一人しかいないこの状況は、菜奈花としても気になる所であった。
「あぁ、いや、ウチの学校って部活強制じゃん?」
「あぁ、うん」
その事は菜奈花も知っており、頷きと共に返した。
「ウチはバスケにしたけど、あの二人は苦手っしょ、運動」
「確かに、そうでしたね」
今度は香穂が相槌を入れた。
「だから、どこか良い、名前だけの部とか無いかなーってなって」と亜沙美、「それで、文芸部を見つけて、今その軽い集まり?みたいなの言ってるらしい」
「文芸部?」
菜奈花が聞き返すと、何故か得意げに亜沙美が、
「そう、文芸部……!数多ある文化部の中でも相当なマイナーで、加えて活動は金曜日のみ!この学校における、幽霊部員の名前置き場として、一部の生徒の間では人気なのだ!」
背後にババーン、だの、ドドーン、だのといった効果音が見えそうなほどの、ドヤ顔であった。
菜奈花が苦笑のような、微妙な反応を見せていると、
「いいか、この学校では、部活には絶対入らないといけないという、ちょーろぐでないルールがある。そうなれば、ある者は当然、こう思うだろう」と亜沙美、「つまり、面倒くさい、と!」
「ま、まあ……わからなくも無いけどさぁ」
「だろう?」
では香穂はどうかと言うと、いつものように、絶えず微笑みを見せていた。
しかしそれを気にすることなく、亜沙美は続ける。
「文芸部、活動内容は読書レビュー、あるいは自作小説の鑑賞会。だがその実、行けばただの雑談であり、中には漫研のない中学に置いて居場所を見つけたのか、イラストやら漫画やらを書くものもいる……らしい」
「美術部でいいんじゃ……」
菜奈花の冷静な返しに、しかし亜沙美は気にせずに続ける。
「週一とか抜かしておいて、その実やりたい放題な文芸部は、特別棟空き教室を根城としながらも、内部派閥は幾数多!文芸部を称して教室に居座り続けたり、寄り道を常習するらしい」
「要するに、名前だけの自由な部活、という事ですね」
掻い摘んで言えば、結局はそういうことになるのだろう。
「ちなみに、文芸部って何人くらいいるの?」
「あぁ、えりりんの言う所では、各学年最初は三十人以上、そうして半年過ぎると五十人以上まで増える、そうだ」
「もう、部活動強制の意味は無いね……」
「あぁ、全くひでーなしルールよぉ」
とはいえ、菜奈花も香穂も、それぞれキチンとした部活を選択しているわけで、であればあまり縁のない話には違いなかった。
「あぁ、で、何の話だっけ?」
一人で盛り上がった亜沙美のせいで本題からは逸れてしまったのを、本人は今になってようやく思い出したらしい。
「えっと、週末妻沼公園に行くって話」
菜奈花が冷静に返すと、亜沙美も「あぁ、そうだったそうだった」と何度も頷いた。
「誰と行くんだ?」
「えっと……」
菜奈花はあまり家族の事を話したがらないようで、香穂以外には叔母さんの話も全くしてこなかった。その為、こうして不意に聞かれると困ったもので、であれば当然言葉に詰まってしまう。
しかしそこは香穂も慣れっこらしく、機転を利かせて、
「私とですよ」
菜奈花は心中密かに香穂に感謝を告げたあとで、
「そ、そう!香穂ちゃんと行くの!」
亜沙美は疑うことなく、「ふぅん」と相槌すると、
「なんだ、またななとかほっちでデートか」
「そんなんじゃないよ、花見」
「二人で花見とか完全にデートっしょ」
しかし香穂は微笑むと、
「違うかどうかは置いておくとして、私たちは楽しむだけですよ」
「そ、そう!」
「ふぅん……」と亜沙美、「ま、楽しんでこいよな」
結局、その直後で恵利と詩香がやってきて、亜沙美は椅子を戻すなり、また三人で教室を出て行ってしまった。
「ありがと、香穂ちゃん」
先程は心中で伝えた思いを、今度は口に出して伝える菜奈花に、香穂は、
「いいんですよ。それより、楽しんできてくださいね」
そう微笑むばかりで、それっきり、昼休みの終了を告げる軽い電子音のチャイムが鳴り響いた。
そうすると、菜奈花はスマホの電源を落とし、またカバンに滑らせるようにして入れると、椅子を戻して、次の授業の用意に取り掛かる。
香穂も同じで、次の授業の用意を机の上に広げるなり、後は雑談することなく、二人それぞれが教科書を広げ、適当に読み始めるのである。
一方、予鈴がなると数分の後に、喧騒は蚊帳の外から教室内へと帰還を果たし、それが元の姿でもあるかのように、それが教室内を支配する。
菜奈花がそっと窓の外に目をやれば、真南より西に傾いた太陽を純白の白雲が覆い隠しており、であれば日差しは僅かに力を失っていた。
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