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5.帰ってきた皇帝と混乱した宮内
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凛灯と張麗華の二人を侍女に任せたあと冬麗は再び白羽の居る宮に戻ってきていた。
「そこの方、此処に人を寄せないようにするように伝えて来て」
「冬麗様、!かしこまりました。」
白羽のいる宮に戻ってきて一番最初に冬麗が行ったのは部屋に自身や侍女以外の人物、つまり野次馬が入らないように侍女に命じることであった。
「白羽様、失礼致します。」
侍女に人を寄せないように伝えた後は、白羽の元に戻り白羽の来ていた服を白羽が一番美しく見える服に変える為白羽の体を濡らした布で拭いた後、冬麗が一人で着替えさせていた。
冬麗が白羽を着替えさせ終わり、化粧をしようとした頃、侍女に近づけさせないように命じたはずの人の気配を宮の近くで感じた。
冬麗は急いで手にしていたブラシを机の上に置き、白羽の体を布で隠してから宮の外に通じる扉に手をかけた
「何者です!ここは白羽様の…」
懐剣を持ち人の気配が感じられる方に体を向けたとき冬麗の体は固まり、発されていた言葉も消えた
何故なら目の前に居るはずのない方がいたからである。
そう、皇帝である蒼矢がそこに立っていたのだ。
「!!申し訳ありません。大変失礼な事を…」
そう言って頭を深く下げた冬麗に向かって蒼矢はただ一言「良い…顔をあげよ」とだけ告げた。
蒼矢の言葉を聞いた冬麗は顔を上げ、見た目の前の光景に思わず一つの疑問を抱き、その疑問を口に出した。
「失礼ながらお聞きします…玄斗やお付の者は何方に…」
「置いてきた。それより白羽を呼んでくれ、玄斗が白羽の訃告を俺に告げたのだ。俺は直ぐに嘘の訃告を告げたものを罪にかければならん、」
冬麗の疑問に「置いてきた」と、だけ答え白羽を自身の前に連れてくるように命じた蒼矢。
冬麗は蒼矢が思っていることが直ぐに分かった。
が、凛灯と張麗華と同じように真実を告げるのは出来なかった。
いつも静かに未来を見つめている蒼矢の目が迷子になった子供のように揺れていたからだ。
考え込んだ冬麗は、一言蒼矢に
「白羽様は眠っておられます、蒼矢様が来られたとわかれば目を覚ますかもしれません。どうぞ中に…」
と伝えた後、玄斗を呼ぶためだと言ってその場を離れた。
冬麗は白羽が、もう一度目を覚ますことはないと分かっていた、だが、それ以外の蒼矢に掛ける言葉が冬麗には見つからなかったのだ。
きっとそれは蒼矢もわかっていたことであろう。ただ、「目を覚ますわけがない」と言わなかったのは蒼矢も冬麗と同じようなことを考えていたからに他ならない。
「…っ、玄斗様方を、迎える準備をしなければ。」
冬麗はそう言って、目から溢れ出てくる水滴を服の袖で強く拭って前を向き門のもとに向かって走った。
____________________
一方白羽の部屋では、蒼矢は白羽が寝かされたベットの枕元に腰掛け、ゆっくり冬麗が掛けたであろう布を取っていた。
「…白羽、起きてくれ…俺に白羽の嘘の訃告が来たんだ。……なぁ、白羽…起きて嘘だと言っていつものように笑ってくれないのか?………起きてくれ、起きるのだ、白羽っ!」
蒼矢は思わず白羽の体を掴んで強く揺すった。
だが、当たり前のように白羽は目を開けることも蒼矢の言葉に返事をすることもなかった。
「いつまでも眠ったままでは誕生日祝いを渡せないではないか、白羽に似合いそうなものをたくさん買ってきたんだ。それと白羽は甘いものが好きだろう?白羽との茶会用に珍しい茶菓子を手に入れたんだ茶は白羽が入れてくれお前が入れたものが一番口に会うんだ、玄斗は茶を入れるのが下手でな…今度教えてやってくれ。…なぁ、白羽頼むから起きてくれ…」
最初は白羽に向かって明るく話していた蒼矢だが、次第にだんだん頭が下がっていき、ついに蒼矢の目から涙が落ちた。
その涙の雫は白羽の頬に落ち、いくつもの涙痕を残した。
そこに玄斗を連れて、冬麗が帰ってきた。
「蒼矢様!」そう言って蒼矢に声をかけてきた玄斗に蒼矢は白羽の方を向いたまま命令を出した。
「玄斗、白羽の式はお前に任せた。冬麗、後宮の管理と他の4夫人への説明をしておけ。俺は戻る」
「っ!?蒼矢様今を…」蒼矢の言ったことが信じられず声を荒げた玄斗、玄斗の肩に冬麗は手を置き、首を横に降った後、蒼矢に向かって深く頭を下げた。
蒼矢は混乱している己の部下とこちらに頭を下げている妻の部下を一瞥してから自身の部屋に戻った。
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いつも読んでくださっている読者様には感謝しかありません( ;∀;)
ところで明日、主ちゃん学年登校日という忌々しい日なんですよね……うぅっ…行きたくない…
「そこの方、此処に人を寄せないようにするように伝えて来て」
「冬麗様、!かしこまりました。」
白羽のいる宮に戻ってきて一番最初に冬麗が行ったのは部屋に自身や侍女以外の人物、つまり野次馬が入らないように侍女に命じることであった。
「白羽様、失礼致します。」
侍女に人を寄せないように伝えた後は、白羽の元に戻り白羽の来ていた服を白羽が一番美しく見える服に変える為白羽の体を濡らした布で拭いた後、冬麗が一人で着替えさせていた。
冬麗が白羽を着替えさせ終わり、化粧をしようとした頃、侍女に近づけさせないように命じたはずの人の気配を宮の近くで感じた。
冬麗は急いで手にしていたブラシを机の上に置き、白羽の体を布で隠してから宮の外に通じる扉に手をかけた
「何者です!ここは白羽様の…」
懐剣を持ち人の気配が感じられる方に体を向けたとき冬麗の体は固まり、発されていた言葉も消えた
何故なら目の前に居るはずのない方がいたからである。
そう、皇帝である蒼矢がそこに立っていたのだ。
「!!申し訳ありません。大変失礼な事を…」
そう言って頭を深く下げた冬麗に向かって蒼矢はただ一言「良い…顔をあげよ」とだけ告げた。
蒼矢の言葉を聞いた冬麗は顔を上げ、見た目の前の光景に思わず一つの疑問を抱き、その疑問を口に出した。
「失礼ながらお聞きします…玄斗やお付の者は何方に…」
「置いてきた。それより白羽を呼んでくれ、玄斗が白羽の訃告を俺に告げたのだ。俺は直ぐに嘘の訃告を告げたものを罪にかければならん、」
冬麗の疑問に「置いてきた」と、だけ答え白羽を自身の前に連れてくるように命じた蒼矢。
冬麗は蒼矢が思っていることが直ぐに分かった。
が、凛灯と張麗華と同じように真実を告げるのは出来なかった。
いつも静かに未来を見つめている蒼矢の目が迷子になった子供のように揺れていたからだ。
考え込んだ冬麗は、一言蒼矢に
「白羽様は眠っておられます、蒼矢様が来られたとわかれば目を覚ますかもしれません。どうぞ中に…」
と伝えた後、玄斗を呼ぶためだと言ってその場を離れた。
冬麗は白羽が、もう一度目を覚ますことはないと分かっていた、だが、それ以外の蒼矢に掛ける言葉が冬麗には見つからなかったのだ。
きっとそれは蒼矢もわかっていたことであろう。ただ、「目を覚ますわけがない」と言わなかったのは蒼矢も冬麗と同じようなことを考えていたからに他ならない。
「…っ、玄斗様方を、迎える準備をしなければ。」
冬麗はそう言って、目から溢れ出てくる水滴を服の袖で強く拭って前を向き門のもとに向かって走った。
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「…白羽、起きてくれ…俺に白羽の嘘の訃告が来たんだ。……なぁ、白羽…起きて嘘だと言っていつものように笑ってくれないのか?………起きてくれ、起きるのだ、白羽っ!」
蒼矢は思わず白羽の体を掴んで強く揺すった。
だが、当たり前のように白羽は目を開けることも蒼矢の言葉に返事をすることもなかった。
「いつまでも眠ったままでは誕生日祝いを渡せないではないか、白羽に似合いそうなものをたくさん買ってきたんだ。それと白羽は甘いものが好きだろう?白羽との茶会用に珍しい茶菓子を手に入れたんだ茶は白羽が入れてくれお前が入れたものが一番口に会うんだ、玄斗は茶を入れるのが下手でな…今度教えてやってくれ。…なぁ、白羽頼むから起きてくれ…」
最初は白羽に向かって明るく話していた蒼矢だが、次第にだんだん頭が下がっていき、ついに蒼矢の目から涙が落ちた。
その涙の雫は白羽の頬に落ち、いくつもの涙痕を残した。
そこに玄斗を連れて、冬麗が帰ってきた。
「蒼矢様!」そう言って蒼矢に声をかけてきた玄斗に蒼矢は白羽の方を向いたまま命令を出した。
「玄斗、白羽の式はお前に任せた。冬麗、後宮の管理と他の4夫人への説明をしておけ。俺は戻る」
「っ!?蒼矢様今を…」蒼矢の言ったことが信じられず声を荒げた玄斗、玄斗の肩に冬麗は手を置き、首を横に降った後、蒼矢に向かって深く頭を下げた。
蒼矢は混乱している己の部下とこちらに頭を下げている妻の部下を一瞥してから自身の部屋に戻った。
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