現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、私はかわいいテイムモンスターたちに囲まれてゲームの世界を堪能する

にがりの少なかった豆腐

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現実逃避にゲームは最適

レアスライム

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 結局、ウサギの特殊個体は見つからなかった。まあ、元から居るかどうかも分からなかったのだから仕方が無いか。

 そんなわけで保留していたレアスライムをテイムすることにしよう。

 手順は、攻撃して弱らせてテイムする。攻撃……するの? 10分程度だが抱えていたせいで若干どころか結構愛着が湧いているんだよねぇ。ひんやりして触り心地が良いし。この子に攻撃するのは気が引けると言うか、攻撃する前に1回テイムを使ってみようかな。
 ボールを投げてモンスターを捕まえるゲームだって、最初は弱らせなくても捕まえられるんだし、たぶんそこまで難しくないと思うんだよね。

 抱えたままテイムして失敗したら攻撃される可能性があるから、レアスライムを地面に下ろしてからテイムを使う。

「テイム」

 テイムスキルが発動すると同時にレアスライムに向かって淡い光が降り注ぐ。そして光が収まったんだけど、何の変化もない。これは……失敗?

 そんなことを考えたところで、ピコン、という音と同時にこのアナウンスが目の前に現れた。


『テイムが成功しました。テイムしたモンスターに名前を付けてください』


 あ、成功したみたい。と言うか、アナウンスが出るのが1テンポ遅いよ。失敗したかと思ったじゃん。

 そんなことを考えているとテイムが成功したからなのか、地面に置いたレアスライムが私の脚にすり寄ってきた。それに気づいた私はレアスライムを拾い上げて抱きかかえる。

 まあ、アナウンスに関してはいいか。それよりも名前を付けないとね。私はあんまりネーミングセンス無いんだけど、どうしよう。

 レアスライムだから……レアスラ、レスラ。そう言えばこの子に性別はあるのかな? いや、スライムに性別は無いか。スライム……スラ…シュラ? 
 うーん、他に名前も浮かばないし、シュラでいいかな。

 テイムモンスターの名前欄にシュラと入れて決定ボタンを押す。


『チュートリアル:テイムを使用する、が完了しました。次はスキル:育成について説明します。
 テイムしたモンスターは戦わせることでも成長させることは出来ますが、スキル:育成を使用する事でも成長させることが出来ます』

『スキル:育成を使用するには、モンスターから得られる素材が必要となります。スキル:育成を使用し、モンスターから得られる素材を選択することでその素材を経験値に変換し、テイムしたモンスターに与えることが出来ます』


 戦わせないでテイムモンスを強くすることが出来るのね。弱いモンスターでも死んじゃうリスクなしで、強くできるのは悪くないね。どういう理屈なのかはわからないけど、捕食してその力を取り込むとかそんな感じなのかな? 

 でもこれって、取引掲示板とかで買った素材でも可能ってことだよね? このゲームってリアルマネーを課金してゲーム内資金にもできるから相当簡単になると思うのだけど、大丈夫なのかな。あ、でも育成スキルだけで成長させるよりも、戦わせて成長させた方が強くなるような感じなのかも。


『では、スキル:育成を使用してみましょう。今回、スキル:育成で使用する素材はこちらで提供いたします』


 ピコンという音が鳴ると同時に、ウィンドウが目の前に表示されている。そこにはスライムジェルを手に入れました、というアナウンスが表示され、その下にはスライムジェルと思わしき画像が表示されている。説明文は簡潔に、スライムから取れる透明なジェル。とだけ書かれている。

 これってもしかして鑑定も取得した方が良いのかな? 素材をただ経験値に変えるだけならいいんだけど、確実に鑑定しないと見えないデータとかある系だよね? 鑑定でどこまで情報が見られるかはわからないけど、傾向くらいは分かるはずだし。

 うーん、まあ、鑑定は次にスキルが取得可能になった時に取ればいいっか。ちゃちゃっとチュートリアルを終わらせることにしよう。

 育成スキルを発動させる。すると目の前にウィンドウが表示され、使用する素材を選択するように指示がでて、使用可能素材欄には先ほど貰ったスライムジェルだけが表示されていた。
 それを選択して、スライムジェルを経験値に変換する。どのテイムモンスターに経験値を与えますかと、出たので唯一選択できるシュラを選択する。

 ぬう。レアスライムだからなのかLVは上がらなかったな。しかし、変換した経験値の量は表示されないのか。これだとどの素材の経験値が多いとかの判断ができないね。


『スキル:育成は、色々なモンスターから得られる素材を使うことが出来ます。色々な素材を使ってテイムしたモンスターを育ててみてください』


 これって、使う素材によってモンスターの成長が変わるって言っているようなものだよね。やっぱり鑑定も必要持っておいた方がいいっぽい。


『これで職業チュートリアルが終了になります。最後に注意点として、テイムで仲間にしたモンスターはプレイヤーとは異なり復活はしませんのでご注意ください』


 知ってます。これのせいでテイマーが不人気なのもね。というか、こういうのって最初に職業を選択するときに説明するものじゃないのかな。それとも、あの時職業の説明欄を見たら書いてあったのかなぁ。説明とかゲームを始める前に読み込んでいたから、見ていないんだよね。


『それではこれよりギルドに転送します。ギルドに着きましたら受付に立ち寄り、ギルドチュートリアルを進めてください』


 そうして私の体は平原からギルドへと転送された。

 
 ギルドに戻って来て、受付に行くと直ぐにギルドのチュートリアルが始まる。基本的に他のゲームと同じようにギルドの使い方や依頼に関する説明と受注方法、最後に取引掲示板の説明で終わった。

「これでチュートリアルは終わりとなります。このチュートリアルの中に出て来たものの説明などはヘルプに記載されていますので、再度確認したいことがありましたらそちらを参照してください。
 それと、チュートリアルが終わりましたのでギルドカードをお渡ししますね。
 では、ギルドを出ることでこのチュートリアルは完了となります。何か聞きたいことや、質問はございますか?」

 ギルドを出ないとチュートリアルは完了扱いにならないのね。うーん、聞きたいことかぁ。

「ギルドを出る前に依頼を受けることは出来ますか?」

 チュートリアル専用の空間だからこのギルドには私以外に数人しかいない状態だけど、チュートリアルを完了してまたギルドに入るとなると、おそらくギルドの中には他のプレイヤーも居るはず。
 多くのプレイヤーが居る中で依頼を受ける手続きをするのは時間が掛かる可能性があるから、ここで依頼が受けられるなら楽だと思うんだよね、出来るといいのだけど。

「Gランクの依頼なら可能です。手続きをしますか?」
「お願いします」
「現在、受注可能な依頼はこの3つになりますが、どうしますか?」

 受付嬢から提示された依頼はスライムとウサギの討伐依頼と薬草の採取依頼。あれ、これってもしかしてチュートリアル前でも受注可能だった依頼なのでは? 討伐依頼の相手はどちらもチュートリアルの平原で出て来たし、薬草に関しては採取できそうな草が生えていたのを見たような気もする。

 いや、今更か。今気付いたところでチュートリアル前に受けられたかどうかはわからないし、今受けられるなら受注してしまおう。

「3つとも受注でお願いします」
「わかりました。ミヨさんのギルドランクではこれ以上同時に依頼を受注できませんので注意してください。依頼の受注手続きが完了しました」
「ありがとうございます」

 そう言って受付嬢に頭を下げ、ギルドから出る。ギルドの出入り口を通り抜けると転送の時と同じように視界が一気に白くなり、周囲の光景が切り替わった。


『チュートリアルが完了しました。報酬として1000Fsとギルドポイントを獲得しました』


 これでチュートリアルは終わりと。よし! さあ、さっき受けた依頼をクリアするためにフィールドに出よ……

「お! そこの人。一緒にフィールドに……あー、テイマーかぁ、すまない。聞かなかったことにしてくれ」
「え?」
「雑魚は要らないんだ、それじゃ」

 いや、え? いきなり何! 自分から声かけておいてその返しはあり得ないでしょ!? それに最後の一言は余計だよね!?

「当たり屋?」

 テイマーが嫌われていることは知っていたけど、まさかこんな扱いを受けるとは思っていなかった。そもそも誘われたところで一緒にプレイするつもりなんて一切なかったんだけど、当たり屋に遭遇した気分ってこんな感じなのかな? いや勝手にいなくなったからそれとはもっと別ものか。

 何かもう楽しもうとしていた気分が台無しだよ。やることは変わらないけど、フィールドのモンスター倒しまくってこの気持ちを発散してこよう。

「ふっほほ。マナーの悪い方に当たりましたのぉ」
「ん?」

 なんか変なの出て来たんだけど、なにこの人? 全体的な印象としてはイケオジと言うかジェントル系なんだけど、初期装備だからちょっと滑稽な感じもする。

「おや、申し訳ない。警戒させてしまったかの」
「何か用です?」

 さっきの奴みたいな人ではない保証はどこにもないから警戒を強める。言動だけなら友好的な感じだけど、それだけでは内心はわからない。
 本当に危ない人って、外面がいい人も多いからね。

「警戒させてしまい、すまんの。少し話を伺いたいだけなのじゃが、いいかの?」
「……内容によります」

 うーむ。こちらに敵意がある感じでは無いし、騙そうとしている感じでもなさそう?

「そのアバターの種族について聞きたいのじゃが。おっと、そう言えば自己紹介がまだじゃったかな。儂はイケシルバーというのじゃが、まあ、頭上のネームを見ればわかる事じゃがの」

 プレイヤーネーム見た目そのまま系!? そういう人もいるって知っていたけど、初めて会ったよ。

「それで聞きたい理由についてじゃがの、今はまだ条件を満たしていない故無理じゃが、儂は他のメンバーと一緒に情報系クランを作る予定での、そこで種族の情報も…どうした?」

 失礼ではあるんだけど、ちょっとおかしくて笑いを堪えている私の顔をイケシルバーが覗き込んで来た。

 今顔を見せるのはやめてください、笑ってしまうますぅ。

 
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