現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、私はかわいいテイムモンスターたちに囲まれてゲームの世界を堪能する

にがりの少なかった豆腐

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え!?

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 飛び掛かって来たビッグスパイダーを躱す。それと同時に攻撃を入れようとしたんだけど、相手の脚が邪魔で体部分に攻撃を当てられない。

 ビッグスパイダーの脚はそれほど長いわけではないのだけど、1メートルを超える体格に見合った脚の長さを持っているので、不用意に近づくこともできない。

 一応光魔法をメインに攻撃をしているので、私の攻撃は当てられてはいるのだけど、基本的に近接攻撃が多いシュラの攻撃がなかなか当て難い状況。
 このまま足を重点的に攻撃していればもしかすると部位破壊が発生する可能性もあるけど、サイズ的に部位破壊ではなく怯ませるのが精々な気がする。それ以前にFSOに部位破壊というのがあるかは知らないのだけど。

 暫く、攻撃を躱しながらちまちまダメージを与えていたことで目が慣れて来た。
 ビッグスパイダーの移動速度は確かに速いんだけど、目で追えるし体当たりも躱せる範疇の速さでしかない。まあ、シュラはいまだに数発しか攻撃を当てることができていないのだけども。

 そもそもビッグスパイダーの一番厄介なところは速さじゃなくて、不規則に飛び跳ねているところなんだよね。そのせいで少しでも距離が開いていると、ほぼ確実にこちらの遠距離攻撃はかわされてしまう。
 なので、先ほどからちまちま攻撃していたように、相手の攻撃を躱した瞬間に近距離で。

「っ! ライトショット!」
「シャギッ!?」

 ライトショットが体に命中したことでビッグスパイダーが軽く怯んだ。
 ようやくクリーンヒットした。軽くとはいえライトショットで怯んだってことは、魔術系の攻撃に対する耐性が低いのかな? それとも攻撃自体に弱い?

「ぁり…っです!!」

 ビッグスパイダーが怯んだ隙を見逃さずシュラが攻撃した。 

 シュラの攻撃が蜘蛛に命中したことで与えたダメージは、総量の10%を少し超えるくらい。その攻撃を受けた後、すぐにビッグスパイダーが再び飛び跳ね始めたので、攻撃をして来たら直ぐに躱せるように構える。

 繰り返しのようにビッグスパイダーの攻撃を躱してライトショットを当てていく。
 時折、体当たりと同時に噛みつきて来るような動作をしているので、噛まれたらスキル欄にあった毒牙の効果で毒状態になるんだろうね。
 動きに慣れてきたけど、油断はできないね。

「ですぅっ!?」
「シュラちゃん!?」

 噛みつかれないようにしないと、そう考えていた時によりによってシュラが噛みつかれてしまった。

 ダメージ的にはそこまでではないようだけど、噛みつかれたことで一時的に動けなくなってしまったシュラに対し、ビッグスパイダーは拘束しようとしているのか体を揺らしながら体勢を替えている。

 これはまずい。最悪のパターンが頭をよぎり、咄嗟にシュラの元に駆け寄る。しかし、タイミング的にビッグスパイダーの方がシュラの元に辿り着くのが早そう。

「ライトショット!」
「シャギィッ!!」

 少しでも移動速度を落とすためにビッグスパイダーに攻撃を放つ。しかし、ライトショットが当たったにも拘らずビッグスパイダーは怯まかった。

「どいてっ!!」
「シャギュァッ!?」

 怯まなかったビッグスパイダー目掛けて走りの勢いそのままに体当たりをする。リアルだったらこんなことできないなぁ、と一瞬思いつつも攻撃は蜘蛛に当り、ビッグスパイダーは悲鳴を上げ、ひっくり返りのたうち始める。

「アンチポイズン! …ヒール!」

 のたうっているビッグスパイダーを一旦無視し、シュラに掛かっている状態異常を回復させた上でHPも回復させる。

「大丈夫? シュラちゃん!」
「だいじょ、なのです」

 毒は直したしHPも回復させたから大丈夫なはずだけど、確認のために声を掛ける。シュラは大丈夫だとアピールするように体を動かした。

「大丈夫そう…だね。それじゃあ、後はこの子を倒すだけだね」
「です!」

 よほど攻撃が効いたのかビッグスパイダーはまだのたうっている。そろそろ起き上がってきそうだけど、残りのHPは30%を下回っているので、ここから追い打ちを掛ければ起き上がる前には倒せそうだね。

 そしてビッグスパイダーが起き上がる前に、私がライトボールとライトショットを放ち、シュラが体の一部を小さめのハンマーに変えて攻撃したことでビッグスパイダーのHPが全損し、ポリゴンへと変わっていった。


『ダンジョンボスとの戦闘に勝利しました! この戦闘による報酬が支払われます。
 初めて新緑のダンジョンをクリアしました。
 ダンジョンクリア報酬が発生します。おめでとうございます。
 ダンジョンをクリアしたため、ダンジョン入口への転移陣の利用が可能になりました』


 シュラが噛まれた時は焦ったけど、それ以外は危ないところもなく戦えたね。苦戦したはしたんだけども。

「ヒール」

 まだ、完全に回復しきっていないシュラのHPを回復魔術で全快まで回復させる。その後に微妙に減っていた私のHPも回復させておく。

「です!」
「いや、シュラちゃん勝手に開けちゃダメだよ」

 ダンジョンをクリアしたことによって出て来た宝箱をシュラがまた勝手に開けた。前にダメって言ったのにどうして勝手に宝箱を開けちゃうのかなぁ。
 うーん、箱を開けるのが好きなのか、それとも別の理由があるの?

「なのです!」

 そしてシュラは中に入っていた魔石を取り出し、それを頭上に掲げた。何か誇らしげな表情をしているのが可愛い。
 あれ、そう言えば、フロアマップを全部埋めた時に出た宝箱を開けた後の反応は、もう少しおとなしかったような?

「うんうん、魔石だね。ありが…ん?」

 今までに手に入れた魔石より少し大きいかな。第2エリアのダンジョンボスだからその分報酬がいいとかそんな感じかも。
 そんなことを思いながらシュラから魔石を受け取ろうと手を差し出したんだけど、シュラは私が差し出した手と魔石を見比べるだけで、渡そうとしてくる気配がない。

 んん? 今まではあっさり渡してきていたのにここに来てなんで?

 シュラの行動を疑問に思っていると、シュラは持っていた魔石を自分の体に引き寄せ、渡したくないといった動きをした。

「…です」
「……もしかして、それが欲しいの?」
「なのです」

 私の言葉に頷いているので欲しいということなんだろうけど、うーん。
 何故欲しいのかはわからないけど、魔石(小)なら割と数があるし、使う予定もないからあげること自体に問題はない。ただ、今シュラが持っているのはそれよりサイズが大きいものなんだよね。多分中サイズの魔石だと思うんだけど。

 思い返せばマップを埋めきった時に出て来た宝箱はすぐに興味を失っていたんだよね。今まで手に入れていた小サイズの魔石も興味なさそうだったし、もしかしたらこのサイズの魔石が欲しくて宝箱を開けていたのかな。
 まあ、欲しがっているなら、あげちゃってもいいかな。どうせ魔石とかは消耗品だろうし、そのうち手に入るよね。

「どうして欲しがっているのかはわからないけど、欲しいならそれはシュラちゃんにあげよう」
「なのです!」

 シュラが嬉しそうな声を上げる。うん、可愛い。しかし、何をするつもりなの…いやちょっと待って。

「シュラちゃん、ストップ」
「です?」

 あげた魔石を口に運ぼうとしていたシュラを制止する。いや、何で食べようとしたの? パンとか食べ物を食べるのはわかっていたけど魔石も食べられるの? ああでも、スライムだから別に問題ない……のかも?

 シュラが魔石を食べたそうに私の様子を窺っているんだけど、どうしたらいいのこれ。
 シュラ自身が食べようとしているから、変な事にはならないと思うけど、止めないにしても先にステータスを確認しておこ。


『NAME:シュラ 種族:クリスタラスライム LV:31 属性:水
 HP:350 / 350 MP:185 / 185
 STR:213(92) INT:176 総合攻撃力:194
 VIT:168(8) MND:200 総合防御力:184
 AGI:205(45) DEX:116 
 スキル:ウォーター・体当たり・のしかかり・スライム魔法LV 5・回避・武器 』


 あ、いつの間にかレベルが30を超えている。ステータスの上がり方は今までと同じ感じで、スライム魔術が1レベル上がっているね。そういえばさっき初めて体をハンマー上にしていたけど、これのおかげで変えることが出来るようになったのかな。

「ごめんね。もう食べてもいいよ」
「です」

 そういうと同時にシュラが魔石を呑み込む。
 ちょっとだけペットに対して、待て、をしているような軽い違和感を覚えたけど、本来のテイムモンスターとテイマーの関係を思い起こせば、そこまで変ではないのかもしれない。この辺の感覚は人によって違うだろうけども。

 シュラが魔石を呑み込んでから変化らしい変化は現れていない。
 呑み込んだとはいえ、魔石だから消化? するには時間が掛かるってことなのかな。それとも変化が見えないだけで、既に変化済み?

「で…」
「ん?」
「でーすー!!」
「ぴえっ!?」

 パワーアーップ!みたいな感じでシュラが力強く声を上げて薄らと発光した。
 いきなりだったからちょっとびっくりしたけど、シュラの様子を観察した限り、悪影響は出ていないっぽい? とりあえず、シュラのステータスをもう一度確認しよう。


『NAME:シュラ 種族:クリスタラスライム LV:31 属性:水
 HP:350 / 350 MP:235 / 235
 STR:213(92) INT:176 総合攻撃力:194
 VIT:168(8) MND:200 総合防御力:184
 AGI:205(45) DEX:116 
 スキル:水魔術(初級)・体当たり・のしかかり・スライム魔法LV 5・回避・武器・言語 』


 若干変化している……ね。ステータスはMPが50増えて、他は変化なし。スキルにあったウォーターが水魔術(初級)に変化した? 追加された? のと、しれっと言語のスキルが生えているけど。これってもしかして今まで以上に話せるようになったりする感じ?

「何を見ているです? 見せて欲しいのです!」
「―――(驚愕)」

 シュラがすごく流暢に話してきたことで思考が一瞬フリーズする。

 いや、まってこれ何? さっきパワーアップって言ったけど、実はアップデートのだった!? しかもVerで言えば、一段階新しくなったとかじゃなくて、複数の過程を飛ばして最新Verになったとかそういうの。

「? 見せてくれないのです?」
「―あえっと、いや、見せるのは問題ないんだけど、先に残りの報酬をしまってからね」
「わかりましたなのです」

 物分かりがいいし、ちょっとウキウキしている様子が可愛いんだけど、それどころじゃない。いや本当に何これ。

 とりあえず、残りの報酬である素材などをインベントリにしまう。その後にシュラが見たがっていた自身のステータスが表示されているウィンドウを見ながら、ほーとかにゅーとか変な声を出しているんだけど、これって確実に知能も上がっているよね?

 ……後でイケシルバーに連絡を取って似たような事例があるかどうかの確認をしておこう。




ーーーーー

NAME:ミヨ
種族:ドラゴンレイス
職業:テイマー
ギルドランク:F (32 P)
LV20 +7
HP(ヒットポイント):705 / 705 +175
MP(マジックポイント):805 / 805 +175
SP(スタミナポイント):635 / 635 +105

STR:184(0)(69) +35
VIT:218(45)(58) +35
INT:255(33)(107) +35
MND:228(8)(105) +35
AGI:135(20)(23) +36(STP:15)
DEX:76(18)(0) +14
LUK:377(0)(300) +21
STP(ステータスポイント):70
※ステータス数値の次の()は装備による増加量、その次の()はスキルによる増加量。+はLVアップ時の上昇量、もしくはSTPによる増加量との合計

 スキル:12 / 14
光魔術 LV26 INT+78 MND+26
竜体 LV7 VIT+35 MND+35 
テイム LV20 テイム可能LV20+アバターLV(最大LV25)
育成 LV21 追加経験値量+21%
補助魔術 LV10 INT+20 MND+20
回復魔術 LV8 INT+8 MND+24
素手格闘 LV23 STR+69 VIT+23 AGI+23
幸運の流れ星 LV1 危機的状況に陥るなどの特殊な状況に居る場合、一定確率でその状況を打破する何かが起きる
激運 LV3 LUK+300
ドロップ率増加 LV11 ドロップアイテム増加21%
看破 LV21 看破可能LV21+アバターLV
鑑定 LV20 鑑定可能ランクD

 称号:見習いテイマー ダンジョンの初発見者 ダンジョン初クリア者 

 装備
武器:緑朴の水晶杖 INT+25 MND+8
頭:テイマーの耳飾り テイム成功率が微上昇する テイマー関係のスキル経験値の取得量が微上昇する
胴:調教師の服 VIT+15 MND+2
腕:細工の腕輪 DEX+18
腰:調教師の服 
脚:疾走の靴 AGI+20
アクセサリー 3/ 5:知恵の指輪 INT+8
増魔の髪飾り MP回復量微増 +0.5%
フォートレスリング VIT+30

 従魔(2 / 3):シュラ LV 31(クリスタラスライム) ぷらてあ LV 1(ヒューマプレンテ)

Fs:多少減ったがそれなりにある

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