現実逃避のために逃げ込んだVRMMOの世界で、私はかわいいテイムモンスターたちに囲まれてゲームの世界を堪能する

にがりの少なかった豆腐

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次なる場所へ行こう

これはちょっと

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 蜘蛛を倒した後に出てきた宝箱の中身は予想通り魔石(小)だけ。
 正直別の物にして欲しいところだけど、今のところ魔石が手に入るのはダンジョンでゲートキーパーやボスを倒すか、スライムを倒す以外には無いので私以外のプレイヤーにとっては問題ないのかもしれない。

 宝箱の中身を回収したので、転移陣を使用し次の階層に進む。


 3層目は1、2層目と同じ森。しかし、若干薄暗く湿っぽい。

 ……訂正。さすがにこれは自分を誤魔化せない。これは同じ森じゃない。
 目の前に広がっている光景は確かに森なんだけど、樹々が全体的に白みがかっている。これは葉の白い樹が生えているわけではなくて、別の理由で白くなっているのだ。

 樹が白く見えている理由は、蜘蛛の巣。そう、蜘蛛の巣。しかもちょっと先に卵のうらしき白い球体が見えている。
 もう面倒なことになる気配しかしない。

「モンスターハウス再び」
「…です」

 幸いと言うべきか、ゴブリンの時とは違い、おそらく出て来るのはスモールスパイダーだけという点。そうだとすれば攻撃パターンは1種類のみのはずだから、対処はしやすいはず。
 なんだけど、これ、人によっては発狂物になると思うんだよね。私もあまり好きではないし。

「先に進むのならあれをどうにかしないといけないんだよね」
「なのです」

 いやだなぁ。いっその事、火魔術でも取得して焼き払ってみる? レベルが上がったからスキル取得可能欄が1枠空いているし、取れないこともないんだよね。まあ、今取ったところでスキルレベルが低くて使い物にならないだろうけど。ああ、なるほど? もしかしたらこの階層が湿っぽい理由は火魔術対策かも。
 さすがに楽はさせてくれないか。

「シュラちゃん。危なくなったら声を上げてね。死んじゃいやだからね」
「です」

 まあ、最悪シュラが死にそうになったら、私が先に死にに行くけどね。

 私が先に死ぬと言うのは、テイムモンスは死んだらそれまでだけど、テイムモンスターの主が先に死んだ場合、プレイヤーがリスポーンポイントで復活すると同時に、テイムモンスもそこに転送されるからだ。それを利用してテイムモンスの死を回避する小技的なやつだね。一応攻略情報にのってる。あまりやっているテイマーは少ないみたいだけど。

 自分から死にに行くのはあまり進められることではないのだけど、死んだら終わりのテイムモンスターの死を回避できるから、結構有用な手段ではあるんだよね。

「さて、じゃあ行こうか」
「っです!」

 私の掛け声でシュラが蜘蛛の卵のうと思われるものに向かって跳ねていった。お饅頭みたいなフォルムでピョンピョン跳ねている姿はかわいいのだけど、嬉々として敵に向かって行っているのところを見るにもしかしなくてもシュラは戦闘狂か何かなのかもしれない。

「です!」

 卵のうがまだ何の反応もしない内にシュラの攻撃がヒットした。ダメージが入ったような様子はないけれど、その拍子に卵のうの一部が裂け、中からスモールスパイダーが次々と出てき始めた。

 うわぁ、ちょっと気持ち悪い。スモールスパイダーも1匹1匹見れば結構デフォルメされた見た目だからかわいくおもえるんだけど、さすがに数十匹とか百匹を超えるような数がぞわぞわと言うかわさわさと出てくれば、そんな感想は出てくるはずもない。

 ゲームの中だから鳥肌が立つことは無いけど、リアルの体で鳥肌が立ってるかもこれ。

 蜘蛛の子を散らすように、周囲にスモールスパイダーが散っていく……いや、本来ならそうなっていたんだと思う。ただ、卵のうの近くにシュラが居て、出てくる端から次々と倒していっているんだよね。
 わらわら出てくるんだけど、1匹自体は弱いから攻撃すれば1撃で倒せるし、シュラは体の一部を鞭状にしているから1振りで数匹いっぺんに倒せているんだよね。何匹かはそれから逃れて私の方に向かってくるんだけど、それだってライトボール1発で倒せるから、苦戦も何もない。

 そうして、処理作業のごとく出てくるスモールスパイダーを倒していき、10分もしない内に新しくスモールスパイダーが出てくることはなくなった。

「お疲れ様。シュラちゃん」
「です!」

 戻ってきたシュラを労いながら、周囲を見渡す。

 あれだけの数をそれなりの時間をかけて倒していたんだけど、他のモンスターは全然出てこなかった。この階層には他の種類のモンスターは居ないのかもしれない。

 それと、モンスターハウスをクリアしたにも関わらず報酬らしき影もない。ゴブリンダンジョンも最初は黒曜石が報酬だと思っていたけど、あれ以降モンハウをクリアした後に何も出て来なかったから、ここでも無いのかもしれない。

 しかしイケシルバーからこのダンジョンのメインはプレンテだと聞いていたんだけど、それとは違って蜘蛛ばかり出て来るんだよね。もしかして別のダンジョンに来てしまったのかな? でも、近くに似たようなダンジョンがあるとは思えないけど。

 情報に関してイケシルバーが嘘を吐くとは思えないから、嘘を伝えられたってことはないだろうけど、どういうことなんだろう。
 まあ、その辺はダンジョンを出た後にでも聞いてみればいいかな。

 うん。子蜘蛛も倒したし、ボスの場所まで進もう。
 正直、蜘蛛の巣が張り巡らされた樹々の中を進むのは気が進まないけど、ボスと戦わないとダンジョンはクリアした事にはならないから進まないとね。

「シュラちゃん行くよー」
「……なのです」
「ん? どうしたの?」

 シュラに声を掛けたのだけど、その場から動こうとしない。後ろに居るはずのシュラを確認すると戦闘態勢を維持したまま、森の一点を見つめていた。

「です! です!」

 シュラが体の一部を伸ばして見つめている先を指し示した。

「ん?」

 何かあるんだろうかとその先にある森の中を確認してみると、そこから何かが勢いよく飛び出してきた。

「シュァァァアアー!!」

 森の中から飛び出してきたのは、今まで出て来た蜘蛛よりも1回りどころか2回り近く大きな蜘蛛だった。
 それは森の中から出て来て早々、私たちに向かって前足を上げて威嚇の姿勢を見せている。もしかしたらさっき倒したスモールスパイダーの親に当たる存在なのかもしれない。

「…あー、なるほど、連続戦闘だったのね。完全に戦いは終わってなかったと」
「です」
「ありがとう。シュラちゃん」

 あのまま進んでいたらあの蜘蛛に奇襲されていたかもしてないから、シュラが気づいてくれていて助かった。

 しかし、大きい蜘蛛だねぇ。まあ、リアルの蜘蛛をそのまま巨大化させた感じよりも、マイルドに巨大化させた見た目なのでそこまで気持ち悪い感じは無いんだけど、嫌な人は嫌だろうな、と思える程度には虫っぽさは残っている。

 ただ、スモールスパイダー軍団と一緒に戦うことにならなかったからそこまで苦戦はしないと思うんだよね。あれと一緒だったら、かなり危ないことになっていたかもしれないし。

 そう思ったところで、蜘蛛は威嚇を止め、こちらに向かって高速で移動し始めた。

 大きい分、移動する際の脚の動きが見えやすくなっていてちょっと不快な感じの見た目だけど、直線的な動きなら対処は簡単……あ、そうでもなさそう。

 何とかなりそう、そう思ったところで蜘蛛は不規則に飛び跳ねながら距離を詰めてきた。

 うわぁ。超面倒な動きを始めたんだけど。ぴょんぴょん不規則に跳ねられると、いくら弾速が早いライトショットでも当てるのが難しい。ライトボールもさすがに避けられちゃうよね。

 これどうしたらいいんだろう。とりあえず相手の情報は手に入れないと駄目かな。


[(ダンジョンボス)ビッグスパイダー LV:18 属性:毒]
 HP:1450
 MP:440
 総合攻撃力:106
 総合防御力:96
 スキル:体当たり・跳躍・毒牙・不明


 咄嗟に看破した結果、このような情報を獲得した。

 ふーん、ダンジョンマスターじゃなくてダンジョンボスなんだ。

 ダンジョンボスと出ている以上、この蜘蛛を倒せばクリアになるんだろうけど、あのホブゴブリンと違ってダンジョンボスになっているのはなんでだろう? ……いや、戦っている最中にあれこれ考えるのは危ないね。

「シュラちゃん! こいつは毒攻撃持ちだから気を付けて。なるべく攻撃は食らわないように!」
「なのです!」

 総合攻撃力だけを見れば、1・2層のゲートキーパーだったフォレストモスよりも低いんけど、総合防御力は上だし毒属性攻撃を持っている以上、厄介な相手に変わりはない。
 
 
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