(完結)婚約破棄ですか…いいでしょう!! おい国王! 聞いていましたね! 契約通り自由にさせてもらいます!!

にがりの少なかった豆腐

文字の大きさ
23 / 66
貴方と共に歩むには

王家の印章 前

しおりを挟む
 
 つばぜり合いしていた剣を弾き返し、ロイドはより私と騎士の間に身を入れる。

 守ってもらっているという状況に心躍るものの、ここまで騎士が置荒れている原因の一部に私が居るのは確かなので、純粋に喜ぶのは憚られる。

「おい! 丸腰の女性に対して剣を振るうのは駄目だろう!」
「知るかよ! どうせ平民なんだろう。なら死んでも問題ない!!」

 必要以上に煽った私がいけないのだけど、何の躊躇いもなく剣を振るうのは問題よね。しかも、これを見ていた他の騎士も止めるような素振りは一切ないし、これだと全体的に騎士の質は低そうね。
 それに一部の騎士に至っては見て見ぬふりをしているから、そもそも見回りをしていても意味があるのかどうかも怪しいところよね。

「ロイド。別に受けてくれなくても良かったのだけど」
「え!? いや、そうだったとしてもさすがに何もしないのは問題があるよね!?」

 あーまあ、それもそうね。見た目的には騎士に襲われている女だから、結果的に問題なくても何もしないのは良く見えないわよいね。特にここはギルドの前とは言え、他の人も行き来しているのわけだし。

「おい! これは何の騒ぎだ!」

 この馬鹿騎士が剣を抜いてから野次馬に来ていた住民も悲鳴を上げて逃げて行っているのよね。たぶん普段からこういうことをしているということなのだろうけど、その悲鳴が聞こえたのか、それともこの馬鹿騎士の声が聞こえたからなのか、ギルド長がギルドの中から出て来た。
 いや、別に私たちには何の問題もないのだけどね。

「ああ! 何だよ、てめぇは!」
「私は傭兵ギルドのギルド長をしている者だ」
「関係ない奴は出てくんじゃねぇよ!」

 いや、ギルドの目の前で揉めているのだから、おそらく関係者の括りには入ると思うわよ? 少なくともギルドの中に出入りし辛くなっているだろうから。

「それで、ロイド、レイア。これはどういう事だ?」
「無視してんじゃねぇよ!!」

 ギルド長は早々に馬鹿騎士では話にならないと判断したのか、荒ぶっている馬鹿騎士を一瞥した後は無視して私たちに声を掛けて来た。

「簡単に言うと、ギルドを出たところでロイドがこの騎士に絡まれた。そして言い合いになって、と言った感じかしら」
「なるほど、またか」

 明らかに呆れた表情でギルド長がそう声を漏らした。どうやらこういった騒動は初めてではないようね。ギルド長の表情からして、この騎士、というよりも騎士団自体結構問題を起こすことが多いのかもしれない。

「すいません。こいつはもう引っ張っていきますので」

 いつの間にか近づいて来ていた別の騎士が馬鹿騎士の鎧の端を掴んでこれ以上、こちらに来られない様に制止していた。
 鎧についている装飾が他の騎士とは違うから、この隊の隊長なのかしら。それに、今までの態度とは違ってすぐに対処してきたということは、おそらくギルド長が侯爵であることを知っているんでしょうね。 
 ただ、ギルド長が出てくるまでは馬鹿騎士を咎めることなく静観していたのだから、この騎士も立場が上の存在がいなければ、平民なんてどうでもいいと思っているのよね。

「どうしてですか隊長、やめてください! このまま平民に馬鹿にされたまま引き下がるのは貴族として問題が!」
「どう言うことだ?」

 馬鹿騎士の言葉を聞いてギルド長が私の方を向いた。

「まあ、こちらを馬鹿にした物言いをしてきたので、やり返しただけです」
「あぁ……そうか」

 む、ギルド長が頭を抱えているような気配がするわ。実際には眉をひそめただけだけれど、あからさまに声色が変わったわね。

「貴族に対してあの言葉は問題がある。故にこの平民に対しての罰が必要です。ですからギルド長、この平民に対して我々が行うことは目をつむっていただけませんか?」

 今馬鹿騎士を押さえている隊長とは別の騎士が出てきてそうギルド長に進言した。それを聞いた隊長はそれ以上言うなといった感じの表情をしていた。

 えぇ……。馬鹿騎士を抑えている騎士は。そもそも、この国はもう貴族第一主義ではないのだから、平民に対してもそう簡単に処罰とかを与えることは出来ないと思うのだけど。

「それは出来ない。それを見逃すのは現王政に対する忠義を捨てると同義だ」
「ですが、このまま見逃すのは貴族の立場を悪くしてしまいます。今後の事を考えると見せしめは必要です」
「駄目だ」

 見せしめとか騎士が云うような事ではないと思うのだけど。

 本当に面倒臭いわね。元の国もそうだったけれど、やっぱり大半の貴族って未だに貴族第一主義の考えのままなのね。まあ、そその主義が貴族にとって優遇されているものだから、それが無くなるのが嫌だろうし、そう簡単に買われないのは理解できるけれどね。
 でも、国の方針が変わったのなら、それに従うのが貴族というものなのよね。

 あ、そう言えばあの契約の手続きの時に国王から渡されたものがあったわね。それを出せばたぶん直ぐに終わるでしょう。

「ギルド長、これを」

 そう言って私はギルド長に国王から預かったある物を差し出した。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

白い結婚なので無効にします。持参金は全額回収いたします

鷹 綾
恋愛
「白い結婚」であることを理由に、夫から離縁を突きつけられた公爵夫人エリシア。 だが彼女は泣かなかった。 なぜなら――その結婚は、最初から“成立していなかった”から。 教会法に基づき婚姻無効を申請。持参金を全額回収し、彼女が選んだ新たな居場所は修道院だった。 それは逃避ではない。 男の支配から離れ、国家の外側に立つという戦略的選択。 やがて彼女は修道院長として、教育制度の整備、女性領主の育成、商業と医療の再編に関わり、王と王妃を外から支える存在となる。 王冠を欲さず、しかし王冠に影響を与える――白の領域。 一方、かつての夫は地位を失い、制度の中で静かに贖罪の道を歩む。 これは、愛を巡る物語ではない。 「選ばなかった未来」を守り続けた一人の女性の物語。 白は弱さではない。 白は、均衡を保つ力。 白い結婚から始まる、静かなリーガル・リベンジと国家再編の物語。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

婚約破棄は了承済みですので、慰謝料だけ置いていってください

鍛高譚
恋愛
公爵令嬢アナスタシア・オルステッドは、第三王子アレンの婚約者だった。 しかし、アレンは没落貴族の令嬢カリーナと密かに関係を持っていたことが発覚し、彼女を愛していると宣言。アナスタシアとの婚約破棄を告げるが── 「わかりました。でも、それには及びません。すでに婚約は破棄されております」 なんとアナスタシアは、事前に国王へ婚約破棄を申し出ており、すでに了承されていたのだ。 さらに、慰謝料もしっかりと請求済み。 「どうぞご自由に、カリーナ様とご婚約なさってください。でも、慰謝料のお支払いはお忘れなく」 驚愕するアレンを後にし、悠々と去るアナスタシア。 ところが数カ月後、生活に困窮したアレンが、再び彼女のもとへ婚約のやり直しを申し出る。 「呆れたお方ですね。そんな都合のいい話、お受けするわけがないでしょう?」 かつての婚約者の末路に興味もなく、アナスタシアは公爵家の跡取りとして堂々と日々を過ごす。 しかし、王国には彼女を取り巻く新たな陰謀の影が忍び寄っていた。 暗躍する謎の勢力、消える手紙、そして不審な襲撃──。 そんな中、王国軍の若きエリート将校ガブリエルと出会い、アナスタシアは自らの運命に立ち向かう決意を固める。 「私はもう、誰かに振り回されるつもりはありません。この王国の未来も、私自身の未来も、私の手で切り拓きます」 婚約破棄を経て、さらに強く、賢くなった公爵令嬢の痛快ざまぁストーリー! 自らの誇りを貫き、王国を揺るがす陰謀を暴く彼女の華麗なる活躍をお楽しみください。

『婚約破棄?結構ですわ。白い結婚で優雅に返り咲きます』

鍛高譚
恋愛
伯爵令嬢アリエルは、幼い頃から決まっていた婚約者――王都屈指の名門・レオポルド侯爵家の嫡男マックスに、ある宴で突然“つまらない女”と蔑まれ、婚約を破棄されてしまう。 だが、それで終わる彼女ではない。むしろ“白い結婚”という形式だけの夫婦関係を逆手に取り、自由な生き方を選ぼうと決意するアリエル。ところが、元婚約者のマックスが闇商人との取引に手を染めているらしい噂が浮上し、いつしか王都全体を揺るがす陰謀が渦巻き始める。 さらに、近衛騎士団長補佐を務める冷徹な青年伯爵リヒトとの出会いが、アリエルの運命を大きく動かして――。 「貴族社会の窮屈さなんて、もうたくさん!」 破談から始まるざまぁ展開×白い結婚の爽快ファンタジー・ロマンス、開幕です。

【完結】悪役令嬢ですが、断罪した側が先に壊れました

あめとおと
恋愛
三日後、私は断罪される。 そう理解したうえで、悪役令嬢アリアンナは今日も王国のために働いていた。 平民出身のヒロインの「善意」、 王太子の「優しさ」、 そしてそれらが生み出す無数の歪み。 感情論で壊されていく現実を、誰にも知られず修正してきたのは――“悪役”と呼ばれる彼女だった。 やがて訪れる断罪。婚約破棄。国外追放。 それでも彼女は泣かず、縋らず、弁明もしない。 なぜなら、間違っていたつもりは一度もないから。 これは、 「断罪される側」が最後まで正しかった物語。 そして、悪役令嬢が舞台を降りた“その後”に始まる、静かで確かな人生の物語。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

「身分が違う」って言ったのはそっちでしょ?今さら泣いても遅いです

ほーみ
恋愛
 「お前のような平民と、未来を共にできるわけがない」  その言葉を最後に、彼は私を冷たく突き放した。  ──王都の学園で、私は彼と出会った。  彼の名はレオン・ハイゼル。王国の名門貴族家の嫡男であり、次期宰相候補とまで呼ばれる才子。  貧しい出自ながら奨学生として入学した私・リリアは、最初こそ彼に軽んじられていた。けれど成績で彼を追い抜き、共に課題をこなすうちに、いつしか惹かれ合うようになったのだ。

王命って何ですか? 虐げられ才女は理不尽な我慢をやめることにした

まるまる⭐️
恋愛
【第18回恋愛小説大賞において優秀賞を頂戴致しました。応援頂いた読者の皆様に心よりの感謝を申し上げます。本当にありがとうございました】 その日、貴族裁判所前には多くの貴族達が傍聴券を求め、所狭しと行列を作っていた。 貴族達にとって注目すべき裁判が開かれるからだ。 現国王の妹王女の嫁ぎ先である建国以来の名門侯爵家が、新興貴族である伯爵家から訴えを起こされたこの裁判。 人々の関心を集めないはずがない。 裁判の冒頭、証言台に立った伯爵家長女は涙ながらに訴えた。 「私には婚約者がいました…。 彼を愛していました。でも、私とその方の婚約は破棄され、私は意に沿わぬ男性の元へと嫁ぎ、侯爵夫人となったのです。 そう…。誰も覆す事の出来ない王命と言う理不尽な制度によって…。 ですが、理不尽な制度には理不尽な扱いが待っていました…」 裁判開始早々、王命を理不尽だと公衆の面前で公言した彼女。裁判での証言でなければ不敬罪に問われても可笑しくはない発言だ。 だが、彼女はそんな事は全て承知の上であえてこの言葉を発した。   彼女はこれより少し前、嫁ぎ先の侯爵家から彼女の有責で離縁されている。原因は彼女の不貞行為だ。彼女はそれを否定し、この裁判に於いて自身の無実を証明しようとしているのだ。 次々に積み重ねられていく証言に次第に追い込まれていく侯爵家。明らかになっていく真実を傍聴席の貴族達は息を飲んで見守る。 裁判の最後、彼女は傍聴席に向かって訴えかけた。 「王命って何ですか?」と。 ✳︎不定期更新、設定ゆるゆるです。

処理中です...