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貴方と共に歩むには
閑話 想定外の事態
しおりを挟むギルド長視点
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応接室から自分の執務室に戻ると私はすぐに執務机に腰掛け机に肘をつき頭を抱えた。ギルドの長としては、あまり褒められた姿勢ではないが今回ばかりは許して欲しい。
想定外の事態が起きた。
この国に所属している騎士がギルドに所属している傭兵に食って罹ったのだ。いや、騎士が傭兵に食って掛かったのはこれが初めてではないし、別にそのくらいであれば想定外の事態とは言えない。
想定外だったのは最近うちのギルドに登録しに来た者が隣国の王子の婚約者だったことだ。まあ、その婚約は既に破棄されているため、既に王子の婚約者ではなくなっているが。
最初に登録しに来た時からただ者ではないと思っていたが、まさかこんな面倒な存在とは想像していなかった。
当たり前のように魔法を使うことが出来、かつロイドの魔力の問題に気付いた上で治療を施す。そんなことが出来るほどの人物が他国のギルドに登録するとなれば何かしらの問題を抱えているだろうとは相違に想像できた。
が、そういった人物は稀に存在するので下手に突くと面倒なことになる、という経験則から二の足を踏んだことも否めない。
その上、あの元受付嬢の問題を先に処理している内にそのことについて記憶の片隅に追いやられ、今日まで来てしまった。あの時、面倒を承知で先に調べておけばよかったとの後悔の念が堪えない。
しかし、あの段階で他国の重要人物がギルドに来て傭兵の登録をすると誰が思えただろう。件の婚約破棄はあの日の数日前に行われたものなのだ。
そもそも、これまで公爵家の令嬢として育ってきた者がギルドに来て、しかも傭兵になるなんて誰が想像できる?
どうしてそんな人物が隣国であるこの国のギルドに登録してあたり前のように活動しているのか。あの印章を渡されているということは、あの娘が国を出ることを想定しての物だろう。だがしかし、今の状況についてあちらは把握しているのだろうか。
まさか勝手にこの国に来て傭兵の登録をしたのではないだろうな?
……いくら考えても、否定できる要素がない。むしろこれまでの様子を見ても、そういった許可を一々取るような者ではないだろう。
傭兵ギルドは犯罪者でなければ基本的に誰でも受け入れる方針だ。他の国から追い出された者や貴族でいられなくなった者など、様々な理由を持って登録してくる者を受け入れている。その理由についても犯罪でもなければ干渉するつもりもない。
しかし、さすがにあのような印象を持っている者に関しては話は別だ。
いや、追い出すつもりはない。しかし、何もしないというのもあり得ない。これでも私は貴族で、しかも国の暗部の長も務めている。無視は出来ない。
国家間の確認になるため、若干越権行為ではあるが、王宮の方へ確認の連絡をしておいた方が良いだろう。それで問題なければ、先ほどレイア殿と話した通り、今まで通りにギルド長として接していけばいい。
そう思いながら王宮へ向けての文書をしたためる。
「これを王宮へ」
呼び鈴を鳴らし、それに呼ばれた一番信頼している部下にその文書を預ける。
「了解しました」
部下はそう言って文書を受け取るとすぐに部屋から出て行った。あいつの脚であれば今日中に王宮内に届くはずだ。そこから返事となれば少々時間は掛かるだろうが、しっかり確認が取れればそれで問題はないのだ。
さて、この件はここまでにして、もう一つの問題についても考えなくてはならないな。まあ、こちらは大本に苦言を呈すだけでどうにかなるだろうし、そこまで気負う必要がないのがありがたいところだ。
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