(完結)婚約破棄ですか…いいでしょう!! おい国王! 聞いていましたね! 契約通り自由にさせてもらいます!!

にがりの少なかった豆腐

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エピローグ

これからも

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 私が辺境伯の爵位を授かってから、1月ほどが経ち、ようやく辺境伯の屋敷の整理も済んだので、私たちはそちらに生活の拠点を移している。

 キングウルフのあの子は森の中で待機してもらっている。名前の方は種族名と灰色の毛並みからハルフにした。
 本当なら屋敷の側まで連れてきたいところだけど、周囲のことを考えると森の中にいてもらったほうが都合が良いということでそうなった。まあ、森の近くに行って名前を呼べば来るのだから問題はないでしょう。いつかは屋敷まで連れてくるつもりだけど。

 前の辺境伯がいた際に屋敷に勤めていた使用人たちは、私が直接面接なり面談をして問題がなさそうな者だけを残した。さすがに新しい領主が私、というか若い女性だからと見下すような者を雇う理由はない。なので、そのような使用人にはさっさと退職していただいた。お金の無駄だしね。それに国王に推薦してもらった使用人たちが本当に優秀で驚く。何人かは私とロイドの教育係としてついているので、優秀でないと困るのだけど、本当にこんな人材どこから持ってきたのか。

 そんなこんなで、先程まで新しく辺境伯になったことを領民に知らせるための演説を行っていたのだけれど、本当に疲れた。いや、気疲れというか、精神的に辛かったというのが正しいかしらね。

「疲れたわ、ロイド」
「いや、疲れるのは最初から分かっていたことだろう?」
「そうだけど。視線がね」

 そんな弱音を吐きながらロイドに甘える。

 確かに、こんな娘がいきなり領主になりました、なんて言われてすんなり受け入れられる訳もないのだから当然なんだけど、演説している最中の疑惑の目が辛かった。まあ、その後のパフォーマンスで魔法を盛大に放ってからは、疑惑は多少改善されたようだったからよかったのだけど。これは今後の課題と言えるわね。

「まあ、それは今後の努力でどうにかすればいいんだよ。レイアにはそれをする力があるんだからさ」
「うん。ありがとう」

 慰めるように私の頭をロイドが撫でる。もう、これだけで疲れが吹き飛びそうだけど、やっぱりこれだけでは足りない。なので、今夜はもっとロイドに甘やかしてもらうことにしよう。

 とりあえず今後は領主として治めることになる領地の経営を進めて行かないといけない。当たり前だけど私には、領地経営の知識はないし、当然ロイドも持ってはいない。
 
 そのため、国王が推薦してくれた教育係に今色々と教えてもらっているところだ。

「ロイドの方にも教育係が付いているけど問題なさそう?」
「うん、まぁ。割とスパルタだけど問題はないな。結構わかりやすく教えてくれているし、さすがあの国王が紹介してくれた人って感じだ」
「それは良かったわ。いくら優秀だからって合わない教師に教えてもらっていると効率が悪いからね」
「多少、俺に合わせてくれていると思うよ? そういう意味でもかなり凄い人だと思う」
「あぁ、そういうのもあるかもしれないわね」

 おお、ロイドは高評価なのね。まあ、私の方もかなり良いとは思うのだけどねぇ。ただ、どうしてか毒が強いというか、言葉に棘があるのよね。別に元へ移民だとか若い女からだとかって、見下されている感じはないのだけど。もしかしたら国王が何処かから無理やり引き抜いて来たのかもしれないわね。それに、私ならこの程度なら問題ないと判断しているのかもしれないけれど。

「何にしろ、問題が無いようで良かったわ。最初の段階で躓くのは避けたかったからね」
「だな。ただ、こうも勉強漬けになると体が鈍るんだけど」
「それは、まぁ、仕方ないわね。ある程度の区切りが付いたら自由時間を作ってくれるらしいから、それまでの辛抱ね」
「了解」

 区切りが付いたらとは言われているけれど、一旦どこかで休みを作った方が良いかもしれないわね。私も碌に動けなくてモヤモヤした気持ちが溜まっているし、要望くらいは出しておいた方が良いかしらね。

 まあ、ロイドが一緒にしてくれるのなら私はどんな状況でも頑張れると思うから、いっそのこと勉強部屋を一緒にしてもらうのも良いかも? ……いえ、そうしたら集中できなくなるかもしれないわね。止めておきましょう。

 ともあれ、これからロイドとの生活を十分に楽しむために頑張っていきましょうか。

「ロイド」
「何かな?」
「貴方は今、幸せですか?」
「え? いきなり何?」
「私は幸せです。多少面倒な事はありますけれど、ロイドと一緒に居られるだけで幸せなのです。貴方はどうですか?」
「ああ、そう言うことか。そうだな、俺もレイアと居られれば幸せだ。確かに面倒なことになってはいるけど、それも含めてレイアと一緒に出来るのなら問題はないからね」
「良かったです」

 そう言って私はロイドを抱きしめる。それに合わせてロイドも優しく私を抱きしめてくれた。

 ああ、本当に幸せだわ。私の所為で苦労をさせてしまうと言うのは申し訳ないのだけれど、一緒にしてくれると言ってくれたのは本当に嬉しくて幸せだわ。

 これからも、ロイドと一緒に楽しくて幸せな生活が送れるように頑張っていきましょう。そして、これからも一緒に歩んでくださいね、ロイド。

 そう思い私は一層ロイドを強く抱きしめた。


ーーーーー
次の閑話を持って完結となります。
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