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知らない場所ですね

異常な体

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 殴った方、右の掌の感覚を確かめるためにグーパーしてみる。なんの違和感もなく動かすことができるので、本当に怪我はしていないようだ。

 あのサイズの樹を殴り倒していて、なんの影響も受けていないのはおかしいよな? 反作用とかどうなっているんだ? 
 いくらこの体の身体能力が高かったとしても、大木を殴ってなぎ倒しておいてなんの怪我もしなかったということは、この肉体の強度があの樹よりも高いということになる。しかも抵抗らしい抵抗もなく豆腐を殴ったかのように幹の中に拳がめり込んだということは、ちょっと強い程度ではないのは明らかだ。

 獣人ってこれが普通なのか? 生物の域を超えているような気がするが、ここは元の世界とは違う世界だ。そんな生物がいないと断言することはできない。それに人が獣人をあそこまで嫌悪しているのは、こういう強い肉体だからなのかもしれないとも思う。

 しかし、考え方によっては木材を手に入れる方法が手に入ったことになる。丸太をそのまま使うことになるので、家らしい家にはならないかもしれないが、おおざっぱなログハウスくらいにはなるだろう。

 それに当初の目的だった、現地の人にいろいろ教えてもらうのは完全に不可能になってしまったので、この森の中でひっそりと暮らしていくのもいいかもしれない。というか、それしか方法がなくなってしまったわけだが。

 もともと、1人でいるのも慣れているし、1人で生活するのであればそこまで大きな家は必要ないから楽はできる。
 懸念すべきは今後の食料についてだが、この森には何かしらの生物はいるようだし、それを頑張って狩ればいい。最悪、その辺にある植物を食べて飢えをしのげばいいのだ。

「何もしないわけにもいかないしなぁ」

 いろいろ考えるべきことはあるが、とりあえず今は移動し続けたことで疲れがたまっていてそこそこ眠い。できれば安全を確保してから寝たいところだが、残念ながらそれを確保するほどの余裕はない。

 それで、できる限り安全な場所をと、考えたところで木の上で休憩すればいいのだと思いついた。
 そんなわけで樹に登ってみる。幹に手をかけ爪をひっかけ体重をかけても問題ないかを確認する。力をかけたことで爪は幹にあっさり食い込んだ。どうやら皮膚だけではなく爪も相当硬いらしく、幹に爪が食い込むごとにミシミシと樹が悲鳴を上げていた。

 死ぬ前は一度も木登りをやったことのなかった俺ではあるが、この体の身体能力をもってすればそんなことは関係ないとばかりにあっさり登ることができた。

 そして休憩しやすそうな太い枝選びそれに腰を掛け、幹に背中を預けると俺はゆっくりと目を閉じた。




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 次話から新章です。タイトル通りちゃんと女の子が出てくるので安心してください。
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