俺は何処にでもいる冒険者なのだが、転生者と名乗る馬鹿に遭遇した。俺は最強だ? その程度で最強は無いだろうよ などのファンタジー短編集

にがりの少なかった豆腐

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ハブられ勇者の付き人やってます 別の場所に旅立った屑王子の体が、いつの間にか魔王に乗っ取られているんだが、どう言うことなんだ?

王都の異変と聖女の行方

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 聖女一行は帰還を決めてから1月ほどかけてようやく祖国へと帰ることが出来た。一気に帰還していればもう少し期間を短くすることが出来たが、帰還する原因になった聖騎士の体調不良のことも在って、ゆっくりと無理が無い様な速度で移動していたのだ。

 それもあって、あれから何事もなく帰還出来たのだが、国の王都へ来てみれば何やら不穏な空気が辺り一帯に漂っているではないか。

「聖女様、これはどうやら拙い状況かもしれません」
「そのようですね」

 王都は薄黒い靄に覆われ、人の気配が薄い。国を出発した際の活気は一切感じることは出来ず、ただただ靄の中に静かな街並みがあるだけだ。

「住民の皆さんはどうしたのでしょうか。避難されていると良いのですけれど」
「その辺りは確認しないとわかりません」

 現状、王都の中に入っていないので中の状況は確認できない。しかし、安易に中に入るのは危険だ。

「これでは聖女様を街の中に入れるのは無理だ。先に中に入って安全かどうかの確認が必要だな」
「そうですが、誰が行きます?」
「聖女様を1人残していくことは出来ない。そして、私は聖騎士だろうが男を信用していない。あんなことも在ったからな」
「ですよねぇ。わかりました。我々が先に行って確認してまいります」
「お願いします」

 聖女が恭しく頭を下げる。それを見た聖騎士は表情を綻ばせた。どうあれ聖騎士にとって聖女はアイドルのような者なのだ。その聖女に声を掛けて貰えるだけでもやる気が満ちて来る者が多い。そして今までの道中、女性聖騎士を除く聖騎士たちは聖女と言葉を交わした回数は両手の指で足りる程度でしかなかった。

「ああ、待て。これを持って行け。何があるかわからんからな」
「聖水…良いのですか?」
「ああ、数が無いから1人1本だけだがな」
「いえ、持たせていただけるだけでありがたいです。では行ってきます」
「どうにもなりそうになければ直ぐに戻ってこい。その場合は近隣の町に避難する」
「了解です」

 そうして聖騎士4人は王都に向けて走り出した。



 2時間程が経った頃に2人の聖騎士が慌てた表情をしながら聖女の元に戻ってきた。

「中の状況は?」
「住民の方は見受けられませんでした。おそらく街の外に避難しているのだと思います。また、騎士団の方も確認してまいりましたが、そちらにも人影を確認することが出来ませんでした。もしかしたら住民の避難を手伝っていたのかもしれません」
「わかった。そっちはどうだった」
「教会の方を確認して来たのですが、正直絶望的だと思います。協会内部は荒らされ、聖騎士団の厩舎の方もいくつも争ったような形跡がありました。それで、見る限り生存者は…」
「なるほど。後2人の方はどうなっているのだ? まだ戻ってきていないのだが」
「すいません。街の中に入ってからは単独行動でしたので」
「…そうか」

 確認しに行った聖騎士の内2人がまだ帰ってきていない。それは街の中で何かがあったのか、単にまだ確認が終わっていないのか。少なくともこの2人からの報告からして、あまり良い状況ではないのは理解できた。

「今、街に入るのは危険だな。後1時間待って残りが戻ってこなかったとしても、一旦近隣の町に避難することにしよう」
「了解です」
「聖女様にもこれを伝えて、何だ!?」

 女性聖騎士が聖女にこの後の予定を伝えようと聖女が乗っている馬車の方を向くと、その馬車の下からいきなり黒い靄が表れた。

「聖女様!?」
「え? 何ご」

 外から呼ばれたことに気付いた聖女が馬車に現れている現象に気付いたが、その言葉を言い切る前にその靄によって馬車が破壊され、その破壊音によって聖女の声が聞こえなくなった。

「くそっ! 聖女様! 大丈夫ですか!?」
「どうなっているんだ!?」

 次第に黒い靄が薄くなっていく。そして完全に靄が無くなると、無残に破壊された馬車の残骸だけがそこに残っていた。聖女の姿は何処にも見当たらない。

「くっ! あの靄からして王都の異変に関りがあるだろう」
「と言うことは、聖女様は王都の方に連れていかれたのでしょうか?」
「最悪の事態を想定しなければならんが、その可能性は高い」
「では、私たちは」
「ああ、街の中に向かうぞ! おそらく聖女様が連れていかれたとしたら靄が一番濃い場所のはずだ! そこに向かう!」
「「了解!」」

 そうして聖女を攫われてしまった聖騎士たちは急いで王都の中に向かった。

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