俺は何処にでもいる冒険者なのだが、転生者と名乗る馬鹿に遭遇した。俺は最強だ? その程度で最強は無いだろうよ などのファンタジー短編集

にがりの少なかった豆腐

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俺Tueee!出来るゲームの世界に転移したんだが、周りも俺Tueee!だらけで俺Tueee!しまくった結果、転移した先が修羅の世界になりそう

ラーメンどんぶり特盛の提案

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「ここに限った事じゃないんだが、ギルドに出されている依頼で俺らが受けられる奴が殆ど無くなっているだろ」
「そうだな」

 ここに限ったことではない、というラーブリットの言葉からして、予想通り他の町のギルドも同じように討伐系の依頼が無くなっている状態なんだな。

「そうなっちまうと俺らは金が稼げねぇ。直ぐにどうこうなる訳でもねぇが、このまま行くと貧乏一直線だ。だからな…」
「ふむ」
「いっそ、その辺に居る魔物を狩って、素材を剥ぎ取りそれを売って生計を立てようと思った訳だよ」
「ああ、なるほどな。確かに戦いばかりの俺らに向いているお金の稼ぎ方だな」
「だろ?」

 俺ら、転移者にとってこの世界に居る生物は弱いし倒し易い存在だ。だから、その生物の素材を手に入れて、それを商品として売り出せばお金を稼ぐことが出来る。
 特にこの世界の住民で、魔物や大きな生物に勝てるような存在は少数だ。しかも、魔物の素材は市場では高値で取引されることがあるらしいから、やり方次第ではぼろ稼ぎも可能。

「それで俺は他の奴も集めて、事業としてやろうと思っているんだが、お前も参加するか? と言うか、同じことをするなら参加してくれねぇと困る。競合とかされたらたまったもんじゃねぇし、これ以上増えても困る」
「既に競合相手が居るのか」
「ああ、つっても他の場所だがな。この辺には居ないさ」

 なるほどなぁ。確かにラーブリットの提案は俺には都合がいい。序でに町に近付いてくる生物も減るから、町の安全にも貢献できる…か。

「わかった。俺も参加しよう」
「ああ、よかったよ」

 若干、ラーメンどんぶり特盛という名前を自分に付けた奴の提案だけあって不安があるが、聞く限り変なことはしなさそうだし、逆にラーメンどんぶり特盛に相手を嵌めるような策略が出来るとは思えない。

「参加するが、直ぐに何かやらないといけないような事はあるか?」
「いや、今は無いな。少なくとも拠点は必要だし、それの確保と商売をするための手続きは必要だろう。手続き自体は問題なく進んでいるから、問題はないと思うけどな」
「そうか」

 まあ、そうだよな。事前の準備は必要だ。いきなり始めて、実は駄目でしたじゃあ、俺以外の参加者も暴動を起こすだろう。提案しておいてそんなんじゃあなぁ。

「今から素材を集めていてもいいか?」
「それは大丈夫だ。と言うか、他の奴はもう集め始めているからな」
「おっけ。じゃあ行ってくる」
「おお。なるべく素材は綺麗な状態で頼むな」
「わかってんよ」

 そうして俺はラーブリットと別れ、素材を集めるために町の周囲にある森の中に入る事にした。

 
 あの提案を受け入れて1年、ラーブリットが提案してきた事業は順調に業績を伸ばし成長していた。

 最初、取って来た素材はあまり売れなかったが、徐々に売れ始め取って来た量が多かったことも在って、1カ月もすると素材の値段が落ち始めた。しかし、それでも俺たちが大量に素材を集めて来るのもあって、売上自体はそう減ることは無かった。そかも、値段が落ちたことで買い手が増えより販売数が増え、売上自体は増加した。

 暫くして、この世界出身の職人が俺たちの周りに集まり始め、素材の販売だけでなくそれを元に作り出した商品も販売するようになっていた。

 当然ながら、他の町で同じようなことをしている奴らの妨害もあったが、人数差もあり問題なく、その妨害を排除することも出来ている。




 そして事業が始まって1年が経ったところであるも問題が生まれ始めた。

 それまで順調だった素材を集めることが難しくなってきたのだ。だが、理由は分かっている。
 それは、俺たちが何も考えずに生物を狩り続けたからだ。

 この世界はゲームの中ではない。ゲームの中なら倒した生物はゲームシステムによって勝手にリポップするが、今いる世界は現実だ。いや、現実感は未だに薄いが現実には変わらない。

 要は、倒した生物はこの世界で生きている以上、生まれ成長し、生殖するといったサイクルが存在し、生物の数が増えている訳だ。
 だが、俺たちはそのサイクル無視と言うか、それがあることを忘れ気付かずに乱獲してしまった結果、新しく生物が生まれる数が減り素材の確保が難しくなったという訳だ。

 自業自得、ではあるんだが、仕方がないでこの事業を終わらせることは出来ない。

 この事業に関わっている人が多いと言うのもあるが、この事業が始まってから俺ら転移者の中から結婚した奴がちらほら現れた。まあ、お金を沢山稼いでいるから、町の女性からしたら優良物件だったという事だ。それで、その中から既に子供がいる奴も出て来ている。

 序でに俺は結婚はしていないがギルドのあの受付嬢といい感じの仲にはなっている。今後どうなるかはまだ未定だけどな。

 それで、家庭を持って子供も出来た中で失業はよろしくは無いだろう。それで、失業しないためにはどうすべきかを話し合っているのだが。

「他の町の周りも似たような状況になっているようだな」
「だろうな。あいつらも競って同じことをしている以上、そう変わることは無いだろうよ」
「それで、どうするんだ?」
「今のところ、多少遠出すればいいだけだが、他の奴らも同じことをしているのだから近い内に、それも出来なくなるぞ?」
「ああ、そうだな。しかも、最近妨害が激しくなってきているしな。どうにかしなければ衝突は避けられないだろう」

 どうしたものかなぁ。他の奴も良い代案がある訳でもなさそうだし…、うん?

「あ」
「何だ。なんかいい案が浮かんだか?」
「そういや、この世界ってダンジョンがあったよな?」
「はっ! 確かにあった!」
「ただ、ここはゲームではなく現実だから、実際に見に行かないとダンジョンがどうなっているかはわからないな。無い可能性もある」
「確かに」

 そうなんだよな。“The power to end the world”にあったダンジョンって、コンテンツというよりも混雑防止が主な役割だったし、無い可能性が高そうだ。

「まずは確認してくるぞ。確かここから行ける範囲だと3つくらいあったよな?」
「だな。とりあえず、1か所に付き2人で確認してくる形で良いな。残りはいつも通り素材集めで」
「了解」

 そうして、俺たちは新たに素材を集められる可能性があるダンジョンの捜索を始めた。


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