俺は何処にでもいる冒険者なのだが、転生者と名乗る馬鹿に遭遇した。俺は最強だ? その程度で最強は無いだろうよ などのファンタジー短編集

にがりの少なかった豆腐

文字の大きさ
72 / 79
俺Tueee!出来るゲームの世界に転移したんだが、周りも俺Tueee!だらけで俺Tueee!しまくった結果、転移した先が修羅の世界になりそう

近くの町に着いたんだが…

しおりを挟む
 
 デスバイパーを倒してから1時間ほど南に移動したところでようやく町に着くことが出来た。

 町の光景はやはりあのソシャゲで見たものと一緒であった。それを確認した俺はよりゲームの世界に転移したのだと実感することが出来た。

「さて、じゃあまずはギルドに登録しないとな。じゃないと生活するためのお金が稼げない」

 ここがゲームの中ではなく、しっかりとした世界であるならモンスターを倒すたびにお金が出に入ることは無い。実際にここに来るまでに熊なり蛇なりを倒してきたが、お金を手に入れたことは一切なかった。

 という事は、しっかり仕事をしないとお金を稼ぐことは出来ない。仕事の内容が簡単だったとしても、仕事の依頼を受けられるような立場でない限り、仕事は受けられないしお金も稼げない。

 だから、仕事の依頼を受けるためにも、依頼の斡旋をしているギルドに登録することは必要だ。



 そうしてギルドに到着した訳なんだが、目の前の光景に俺は困惑を隠せないでいた。

「おら! 早く登録させろってんだよ。愚図が!」
「俺らを何だと思ってんだぁ? 俺らはなぁ、てめぇらなんかが束になって掛かって来ても余裕で殺せるぐらいに、Tueeeんだよ!」

 俺の目の前、ギルドの受付の前にはデカいハンマーと大剣を背負った筋骨隆々の男が2人、ギルドの受付嬢に絡んでいた。

「ああ、お前も俺らが貰ってやろうかぁ? この世界なら俺らより強いやつは居ねぇ。俺らの所に来れば守ってもやるぜぇ。ま、当然対価は貰うがなぁ!」
「ギャハハハハッ!」

 おわぁ、完全に破落戸のそれじゃないか。いや、それよりもあの武器、課金武器だったよな。課金しないと手に入らないとは言っても、この世界に存在しているはずだから有っても変ではないかもしれないが、あの男たちの言動って。

 目の前の光景を見て、俺の中にある可能性が1つ浮かんだ。

 それはこの世界に転移したプレイヤーは俺だけではない可能性だ。
 ハンマーを背負った男の言動に『この世界なら…』とあったことからして、俺と同じ転移者の可能性が非常に高い。

 普通、この世界で生まれた者がそのような発言をする訳もない。だから、俺が予想した可能性はかなり高いだろう。

「ほら、来いよ!」
「早くしろぉ? ちんたらやってたら俺ら、何するかわからんぞぉ」
「や、やめてください」

 うーん、さすがに止めた方が良いよな? 後で絡まれる可能性が高いけど見逃すのもなぁ。後味悪くなるし。

「うちのギルド職員に手を出すのは止めて貰えないだろうか」
「なうぐぅ!?」
「おごご…」

 俺が止めに入るよりも前に、細身の男が受付嬢に絡んでいた2人組の間にいつの間にかに現れ、2人組の肩に腕を回し首筋に何かを突き立てた。

「な、何だおまえは?」
「いでぇ…」

 どうやら細身の男は既に2人組に攻撃を加えているようで、よく見ると2人組の男の首筋から赤い血が流れているのが見えた。そこからして細身の男が持っている物はナイフか暗器の一種だろう。

 アサシン系か。“The power to end the world”でプレイヤーが選択できない種類の職業だな。という事は、根っからのこの世界の住民だろう。

「俺はこのギルドを管理している者だ。それよりもそれ以上動くなよ? 動いた場合手加減は出来ないからな」
「そんな知うご…ぁ?」

 細身の男、ギルドを管理しているという事はおそらくはギルド長の言葉を無視して動いたハンマーを背負った男が、ギルド長に何かをされたのか力なく床に倒れ込んだ。

「え?」
「だから動くなと言ったんだ」

 床に倒れた男はそれ以降ピクリとも動くことは無かった。もしかしなくても死んで…

「ひっ、ひひぃい!?」

 俺と同じく倒れた男が死んだことに気付いた大剣を背負った男は酷くおびえた様子で身を震わせた。

「お前もこうなりたいか?」
「いや、いやいやいや! 嫌だ」
「なら、言うべきことは分かるな?」
「もうしない! もうしないから放してくれ!」

 めっちゃ怯えているな。まあ、死ぬどころか自分たちを殺せるような奴が出て来るとは一切想像していなかった状況で、あっさり仲間が殺されたらああもなるか。

「そうかろう。さっさとここから出ていけ」
「は、はひぃぃ!」

 そうして大剣を背負った男は、ギルド長の拘束から解放されたら一目散に俺の横を通り過ぎてギルドから出て行った。


 
 あの後、俺は何事も無くギルドに登録した。
 まあ、若干どころではないくらい受付嬢に怯えられたが、既に起きたことを消すことは俺にはどうにもできないので、これ以上怯えさせないように終始笑顔で登録をした。

 その結果なのかどうかはわからないが、あの受付嬢とは仲良くなることが出来た。ちょろいな受付嬢。
 まあ、吊り橋効果があった気がしないでもないが、俺にとって不都合ではないので気にしないで行こう。


 さて、それでギルドに登録して1カ月経った訳だが、とりあえずギルドにあった討伐依頼を片っ端から受けてみた。当然苦戦などすることは無く、あっさり依頼を達成することが出来て、お金も沢山手に入れることが出来た。

 少なくとも今後依頼を受けなくても半年は過ごせる金額を稼ぐことに成功したのだが、やはりと言うか、まあ当然ではあるが討伐系の依頼が無くなった。残っているのは手伝いなどの簡単なものや、お使い系の依頼しかない。
 これを受けることもできはするが、こういった物は貧しい子供や怪我が理由で戦えなくなった者が受けるような物であり、俺が受けるのはあまりよろしくない。

「さて、どうするか」

 別の町に移動してそこで依頼を受けることもできるんだけど、あれ以降何度か俺と同じ転移者的な存在を見ているんだよな。中には話した奴も居るし、知り合いになったやつも居るんだよ。
 だから、高確率で他の町にも転移者は居るだろうし、俺と同じように依頼を消化しすぎて受けられる依頼が無くなっているギルドも存在するはず。

 だったらどうしたらいいか。安定的にお金を稼ぐなら町の有力者に付いて護衛をやるなどの方法はある。ただ、残念ながら俺がここに来てから獲得した信頼度では有力者に会うことは難しいし、護衛なんてもっての他だろう。

「どうしたもんかなぁ」
「お? ひっさー」
「ん? ああ、ラーメンどんぶり特盛じゃん」
「いや、フルネームで呼ばないでくれよ。ラーブリットて略してくれ」
「えぇ、いやだよ」
「おーん? 喧嘩でも売ってんのかぁ?」

 ラーメンどんぶり特盛は、俺がギルドに登録して直ぐにあった同じ転移者だ。ギルド登録するときに“The power to end the world”のアバターネームをそのまま登録してしまったから本名もそれになってしまった馬鹿なやつだ。まあ、本人もネタとして使っていたらしいからそこまで気にしていないようだけどな。
 嫌がったのは略さないと長いからという理由だから、何だかんだいってもこの名前を気に入っているのかもしれない。

「そんで、声を掛けて来たってことは何か用でもあったのか?」
「いや、たまたま見かけたからなんだが…あぁいや。そういやあれについて話した方が良いか」
「ん?」

 あれって何だ? 話した方が良いってことは俺にも影響が出る何かをやるってことだよな?

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。 その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。 『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』 昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。 領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。 一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位 転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

二十年仕えた王女が私を敵に売った。それでも守ることにした

セッシー
ファンタジー
二十年間、王女殿下の護衛騎士として仕えた。その殿下が、私を敵に売った。 牢の中で事実を知り、一分考えて——逃げることにした。殿下の目的を、まだ果たしていないから。 裏切りの真相を確かめるため、一人王都へ戻る護衛騎士の話。

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

処理中です...