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俺Tueee!出来るゲームの世界に転移したんだが、周りも俺Tueee!だらけで俺Tueee!しまくった結果、転移した先が修羅の世界になりそう

俺Tueee!出来る世界に転移した

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 おかしいな。さっきまで、駅前広場でバスを待ちながらソシャゲをしていたんだが、一瞬視界が暗くなったと思ったらいきなり目の前に森が現れたんだが。

 いや、本当に何でだ?

 周りを見渡しても木ばかり。ビルなんてものは一切ない。それどころか人も居ない。

 もしや、ソシャゲしながら寝落ちでもしたか? 確かに昨夜は2時くらいまでソシャゲをしていたから、寝不足なのは否定できない。しかし、ソシャゲをしながら寝れるか?

 さっきまで俺がやっていたソシャゲはオートモードが無いやつなんだが、操作しながら寝れるほど飽きているゲームでもない。

 という事はだ、俺は寝落ちしていない可能性が高い。寝落ちしていないとは断言できないが、少なくともあの場で寝れるほど俺は図太くもないしな。

 いやー、まさか。まさかだぞ? もしかして、俺は異世界に転移したのか? 

 その手の話は割と好きだし、結構読んでもいる。もし本当にそうなのであれば、全身を以て喜びを表したいところだが、どうなんだろうな。

 少なくとも、ここは俺が知らない…いや、見覚えがある? どこで見て…あ、さっきまでやっていたソシャゲの世界にそっくり…かどうかはまだわからないけど、少なくとも同じような光景を見たことがあるな。

 しかし、もしあの世界に転移したとなれば問題がある、と言うか不安があるんだよ。

 あのソシャゲ、The power to end the world、翻訳すると、世界を終わらせる力、とか言うタイトルなんだが、ぶっちゅけ言うと課金すれば誰でも簡単に俺Tueee!出来る、爽快系ゲームなんだよな。

 そんな世界にさ、一般的な日本人が転移したらどうなると思うよ?

 俺は速攻死ぬと思う。確かに、ゲームとしては面白かったけどさ。実際に生身でそれを出来るかって聞かれれば、大半の奴は出来ないって思うだろう。実際、出来ないし。

 さて、どうするか。とりあえず、周りに人が居るかどうかを確認した方が良いよな? 少なくとも、これからどうすればいいのか、何処に行けばいいのかなんてさっぱりわからんし。

「おーおぉ?」

 あん? 今の誰の声だ? 明らかに俺の声ではない物が聞こえて来たんだが、もしかして近くに誰かが居るのか?

 しかし、周りを見渡しても誰もいない。聞き間違いか? そう判断して、もう1度声を出して周囲に人が居るかを確認する。

「誰かぁあ? ………あ、あー、テス…テステス。あいるびぃー…ばぁっく? …………え?」

 ……腕を伸ばし、掌を胸の前に持って来て少し動かす。
 今、俺の視界に入っているのは、俺の記憶にない太い腕と大きな手。そして、見覚えが無く、同時に見覚えがある服の裾が見えている。

「あ―――――ふぅん! …まじか」

どうやら俺はゲームのキャラクターの姿でこの世界に転移をしてきたようだ。



  
「ふんっ!」

 その掛け声とともに放たれた拳が、目の前に聳え立っていた樹を破壊し、その気は無常にも地面に倒れた。

 “The power to end the world”で使っていたアバターで転移していたことに気付いた俺は、いくつか気になった事を試していた。

 いくつか試した結果、今の俺の身体能力はゲームで使っていたアバターそのままの身体能力を持っているらしい。
 そして、俺が“The power to end the world”で使っていたアバターはパンチスタイルだった。それで、そのアバターで使えた技を全て試してみた結果、ゲームの中の動きがそのまま出来ることが証明された。
 これにより、俺が初めに感じた不安は払拭された。

 さすがに直径1メートル以上あるような樹を一撃でへし折るような身体能力を持った人間を瞬殺できるような生物は記憶上、ここには生息していない。と言うか、この世界に存在していない。

「うおぉぉおおっ!」

 近くにあった半ばまで地面に埋まっていた岩を力ずくで持ち上げる。明らかに人が持てるようなサイズではないし、重さでもないだろう岩でも、この体だと持ち上げることが出来るようだ。
 しかも重心もおかしなことになっているはずなのに、倒れることもなく持ち上げられるのはおかしい事ではあるが、まあ、この世界なりの法則という物があるのだろう。

「うらあっ!」

 持っていた岩をぶん投げる。うん。やっぱりおかしい。

 まあ、これなら直ぐに死ぬことは無いだろうし、とりあえず近くに人里があることを願って移動してみよう。



 移動中、出て来た生物を虐殺しながら進む。大体の生物はワンパンで爆散している。中には耐える生物はいるが、そういった奴は大体大柄な生物だ。まあ、熊とか、熊とか、熊とかだけどな。

「俺Tueee!出来る世界とか最高かよ! マジで、これなら人生イージーモードじゃね? 駆除の仕事受けたり、護衛の仕事受けたりし放題じゃん。しかも出て来る敵は雑魚だけとか、やっべぇな、おい!」

 気分は最高潮である。

 出て来る敵はワンパンで倒し、邪魔な樹はワンパンで薙ぎ倒し、俺の進む道を阻むものはなに一つ無い。

 まさに、俺が主役の世界と言っても過言ではないだろう。

「記憶だと、この辺りに町があったはずなんだが、見当たらないな」

 ゲームの世界はデータ量の影響で多少マップが縮められていたのかもしれない。記憶上あったはずの場所には町は無く、それ以前にまだ森が続いていた。

「ん? おっと!」

 目印となる物が無いか周囲を見回していると、樹の上から俺の頭上に向かって何か大きなものが落ちて来た。咄嗟にそれを躱し、落ちて来た物を確認する。
 すると先ほどまで俺が居た場所に、胴の太さが50センチ以上ありそうな巨大な蛇が蜷局を巻いて鎮座していた。

「デスバイパーか!」
「シュァー!」

 おそらく俺に気付いて頭上から襲うために落ちて来たのだろう。まあ、俺が躱したからただ地面に降りただけになったようだけどな。

「シュァー!!」

 デスバイパーが先手必勝と言わんばかりに、体を縮こませ、そこから勢いよく体を伸ばすことでミサイルのごとく、高速で俺に迫ってきた。しかし、この世界の俺はこの程度の攻撃であれば容易く躱すことが出来る。

「死ね! デスバイパー!」

 俺の繰り出した拳がデスバイパーの胴に当り、デスバイパーの体は爆発したようにはじけ飛ぶ。そして、そこを始点にデスバイパーの体が2つに分かれた。
 その衝撃、痛みによりデスバイパーは頭側の体をのた打ち回る。

「ふんっ!」

 いつまでも苦痛にのた打ち回っているのは可哀そうだと思い、一思いにデスバイパーの踏み潰し、絶命させた。

 やはり、この世界は俺にとってイージーモードであるようだな。

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