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俺Tueee!出来るゲームの世界に転移したんだが、周りも俺Tueee!だらけで俺Tueee!しまくった結果、転移した先が修羅の世界になりそう
急展開
しおりを挟む活動拠点の建物の近くには多くの木材が積まれていた。これでも鉱石を安全に置く場所を作るために使用したのだが、それでも伐採して来た木材の1割程度も使うことは無かった。さすがに伐採しすぎたかもしれない。
しかし、どうしたものか。木材は沢山残っているが販売する先もないし、何かを作るにしても何を作ればいいのかわからない。
一応食べ物は、活動拠点の近くで家畜を飼い、野菜を栽培しているため、活動拠点のある町に住まう人々を賄うことは出来ている。しかし、十分に足りているか、と言われればそれはNOである。
「とりあえず、今後の計画としては、鉱山から出来るだけ鉱石を取ってくること。あれは放っておいても増える訳じゃないから、他の奴らに見つかる前に俺たちが確保しておくべきだ」
「そうだな。ああ、すまんが、提案がある」
「なんだ?」
「周辺の森を伐採した関係で町周辺の土地が余っているから、開拓して家畜や野菜を育てる場所を作るのはどうか、という提案だ。正直、最近はやることが無くてダレているメンバーが多いだろ? だったら、今後の事を考えて、食料の生産量を増やしたいんだ」
俺がそう提案すると一部のメンバーは嫌そうな表情をしたが、ラーブリットは顔を少し俯かせ少し考えているような仕草をした後、顔を少し上げて頷いた。
「そうだな。確かに今後のためを考えれば食料を増やした方が良いのは確かだ。今のままだと、獲物を外で狩ってきたり、取って来たりするのは今後さらに難しくなってくるだろう。すでに食料になる野生動物は、周辺どころか半日歩いたところまで行っても見つからない状態だからな」
既に町で消費されている食料は、この街で生産されている食料が大半だ。一応、野草などはまだ外から入って来ているがそれも減りつつあるため、最終的にはこの町で食べられる食料はこの街で生産された物だけになるだろう。
「開拓を進めて食料を生産するための場所を増やすことにしよう。最初の開拓は俺たちが、その後の生産は町の者たちを雇い入れることにするか」
「それが良いだろう。俺たちは生産する事には向いていないからな」
これで食料の増産についての俺の提案は可決された。これからは俺が主導して開拓を進めることになる。
「おい! 大変だ! ラーブリット!!」
外部で警戒に当たっていたメンバーの一人が、会議をしていた部屋に焦った表情をして飛び込んで来た。
「どうした!?」
入ってきたメンバーの焦った表情をみて、俺も含め、会議に参加していたメンバーが椅子から即座に立ち上がった。
「鉱山で採掘を進めていたメンバーから火急の連絡が入った! レベスの連中が鉱山に攻めて来たらしい! しかもこっちのメンバーはほぼ壊滅したようだ!」
そのメンバーの話を聞いて俺たちに緊張が走った。
いままで、他の活動拠点の連中との抗争は精々どつき合い程度だった。たまに死んでしまう奴もいたが、そう言う奴は大抵当たり所が悪かったなどの不幸な結果でしかなかったのだ。
それがほぼ鉱山に居たメンバーが壊滅したという知らせで、どつき合い程度の抗争ではなくなってしまったことをここに居るメンバーは悟ったのだ。
こうして、俺たちのこの世界での生活は急展開を迎えることになる。
鉱山が襲撃されたと聞いたことでメンバーの半数近くが鉱山の防衛に行ったが、どう考えても間に合わないだろう。
しかし、今まで鉱山に手を出してこなかった奴らが、ここに来て攻めて来たという事は、あちらの生活が相当切羽詰まっている状況なのか、もしくは何か意図があって攻めて来た可能性がある。
ぶっちゃけ言って鉱山を獲得しても設備が無ければ殆ど意味はない。鉱石を外部に売るという方法もあるが、既に武器の需要は殆どないし日用品を作るにしても一長一短で出来るものではない。
俺が何を言いたいかと言うと、鉱山襲撃は陽動であり、本当の狙いはこの町の可能性があるという事だ。
だから、あいつらが狙っているのは鉱山そのものではなく、それを活用するために必要な人材、の可能性があるのだ。俺たちも、鉱山から採掘して来た鉱石を十全に使えるようになるまでそこそこ時間が掛かったし、ここの住民が技術を獲得するまでに結構な時間も金も掛かった。
まあ、要するに、時間も金もかかる人材を他から奪ってしまえば楽なのだ。そうすれば時間もいらないし金も掛からない。
金に目がくらみ多少頭の回る奴なら、鉱山を奪うよりも人材を奪った方が良いと思うのはあり得ない話ではない。しかも、この拠点を奪えば技術を使うための施設も手に入るのだ。
その可能性を考えた俺は鉱山には向かわず、拠点の防衛のために町に残っている。
「お前の予想が当たらないことを俺は願っている」
「俺だって当たって欲しいわけではない」
鉱山には行かず、俺の予想を聞いてこの場に残ったラーブリットが緊張した面持ちで話しかけてくる。
今までの事を思い起こせば最悪の事態を想定するのは必要な事だ。前はダンジョンを根こそぎ消滅させられた。獲物の奪い合いだって起きている。なら次はその対象が人に移るのも時間の問題なのだ。
それに、状況次第では俺たちも攻める側になる可能性だってある。今はまだどうにかなっているが、どう考えても今やっている産業はずっと続けることは出来ないのだ。
それでまあ、嫌な予想は当たるものなんだよな。
「ラーブリット! ここに向かって来ている集団が見えた! しかも見る限り全員武装してやがる!」
「数はどれくらいだ!」
周囲を警戒するために高台で待機していたメンバーが声を上げた。それに対してラーブリットは詳細な情報を言うように伝える。
「数? 少し待て確認する! ……すまん! 正確な数は遠くてわからない。しかし、少なくとも数十人規模だ!」
「わかった! くそっ、さすがにその数はここに居るメンバーだけでは対処できない。どうする……!」
ここへ迫ってきている数を聞いてラーブリットがさらに焦り始める。
「とりあえず、鉱山に向かったメンバーを呼び戻せ。あと、この場で受けるのは町に被害が出るから、そいつらを迎え撃つよう俺たちは出来るだけ町から離れた位置で戦った方が良いだろう」
「っそうだな」
俺の言葉を聞いてラーブリットは連絡を担当しているメンバーの元へ走って行った。俺はここへ向かって来ている連中を迎え撃つために、武器や防具の準備を進めて行った。
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