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俺Tueee!出来るゲームの世界に転移したんだが、周りも俺Tueee!だらけで俺Tueee!しまくった結果、転移した先が修羅の世界になりそう
襲撃の顛末と今後の行く先を……
しおりを挟む俺たちは向かって来ていた奴らを迎え討つために町の外へ向かった。人数では負けている状況ではあるが、負けるわけにはいかない。それに鉱山組に連絡を取ったから、そいつらが戻ってくれば状況は一転するだろう。
……まあ、そう思っていた俺にもあったよ。テンプレみたいな展開だが、テンプレになるってことはそれだけ起きやすい、思いつきやすいってことな訳だ。
何が言いたいかって言うと、相手が爆弾使ってきやがった! 鉱山に行ったメンバーが戻って来るまで防衛していればいいと、日和った考えだったのがいけなかったのか、俺たちは大打撃を受け、メンバーの大半を失ってしまった。その中にはラーブリットもいる。
俺たちが少しでも町の生活に貢献しようと生産活動に勤しんでいた間に、あいつらは他の拠点を攻めるための生産活動に勤しんでいたという事なのだろう。
しかも、拠点を奪うことを目的とせず、何も考えずに壊すことを選んだらしい。爆弾を使ってきたのが良い証拠である。
要は奴ら、死ねば諸共、の精神でここへ向かって来ていたのだ。
爆発の際に出た火の粉で火の手が上がる。
辛うじて周囲に生えていた木々は、爆風で薙ぎ倒され、燃えている。ただでさえ町の周辺で少なくなっていた樹々は、完全に無くなってしまった。
町から炎が上がっている。
どうやら、奴らは俺たちが迎撃した方向だけでなく、他の方向からも攻めて来ていたらしい。住民には危険だから地下施設へ避難するように指示を出しているが、果たしてどうか。少なくとも俺たちが使っていた拠点施設は壊滅しているだろう。もしかしたら、残っていた木材に火を付けられたのかもしれない。
もう夕暮れ時を過ぎたというのに周囲が明るい。
鉱山に向かったメンバーは全員戻ってきた。やはり、鉱山襲撃は陽動だったという事だろう。
俺たちが迎撃した奴らは、鉱山に向かったメンバーが戻ってきたことで全滅させることが出来たが、まだ町を攻めている奴らを倒さなければならない。
ああ、これはもう拠点の復興は無理だろう。
町にはあの強いギルド長が残っているのだが、この分だと負けてしまったのかもしれない。元よりこの世界には爆弾はない。それを使われればいかに強くともどうにもならない、という事か。
ともかく、避難している住民を助けるためにも、早く攻めて来た奴らを駆除しなければならないだろう。そして、少しでも多くの住民とメンバーを生かさなければ今後の生活が危うくなる。
そうして、俺と生き残ったメンバーは町に戻り、町を襲撃していた奴らを倒して行った。
時が流れた。
あの襲撃で生き残った住民は半数ほどだった。住民の避難場所を複数に分散させたことで全滅を免れることが出来たのだ。メンバーは3割程が死んだ。こちらの被害が少ないように思うが、少なくとも俺たちは生産活動に向いていない。生き残ったとしても今後の生活には役に立たない奴が多いのだ。だから被害の割合が逆だったらと思わずにはいられない。
それに、襲撃はあれだけではなかった。この町への襲撃はなかったが、他の場所の拠点を構えている奴らの生き残りが流れてきたのだ。そいつらの話しでわかったことだが、どうやら至る所に居る俺たちの同類、要は転移者が各所で暴れまわっているらしい。しかも、この辺りではそういうのはないようだが、一部の地域では血で血を洗うような抗争に発展している所もあるらしい。
ここに来て何故とそう思うが、生活が立ち行かなくなって切羽詰まった上での犯行なのかもしれない。単純に愉快犯の可能性も否定できないが。
元の世界でも、そう言った理由で犯行に及ぶ奴らはいた。まあ、ただの快楽的犯行の方が目立っていたから、あまり印象に残っていないけどな。
正直、今後どうしていいか悩む。そもそもメンバーを先導していたラーブリットが死んでしまったことで、誰が上に立つかで大いに揉めたのだ。
中には自分の好きなようにしたいがために上に立とうとした奴もいたが、そいつは元から他のメンバーからの印象も悪かったことも在り、速攻で排除された。
後はもう、責任の押し付け合いだ。
それで結果的に俺が上に立つことになったのだが、指示に従わないメンバーが多かった。中には一人で活動した方が楽だと言って町を出た奴もいた。別にそうするのは構わないのだが、少し寂しいと感じてしまう。
それと、ギルド長はやはり死んでしまっていた。住民を守るために真っ先に戦いに赴いたらしいが、見たこともない攻撃に巻き込まれて、戦い半ば亡くなったらしい。出来れば生き残っていて欲しいと思っていたが、その行動で助かった住民も多く居るわけだ。責めることは出来ない。
住民の中に先導する者が居なくなってしまい、人数も減ったことで、そちらも俺が上に立つことになってしまった。
責任が重すぎる。一人で100人以上の人間の生活を見なければならないというのは荷が重すぎる。
正直逃げ出したい。しかし、そうも言っていられない。
そもそも、ここに拠点を作ったのは俺たちだ。俺たちはこの町に多くの利を与えはしたが、それと今回の被害は別問題だ。
だからこそ、俺は壊滅的な被害を受けてしまったこの町をどうにかしたい。まあ、本音を言えば、生き残りの中にあの受付嬢が居て頼まれた、というのがあるんだが。
まあ、出来るだけ頑張るつもりだ。
この世界が今後どうなるかはわからない。
少なくとも周辺の生態系は壊滅してしまっているし、はっきり言って元の環境に戻すのは無理か、相当な時間が掛かるだろう。
まず間違いなく、元に戻るのは俺たちが死んでさらに先の世代まで時間は必要だ。
今更、こんなことを想うのは遅すぎることだが、いくら強かろうが技術があろうが、周囲の事を考えずに行動をするのは先が見えていなさ過ぎた。ゲームの世界なのだから、何をしても良い、ということは無いのだ。
ここは確かにゲームの世界に似ている世界だが、現実に存在する場所なのだ。そんな場所でゲームをするように生物や物を取りまくった結果がこれだ。
今後は先を見て行動する必要があるだろう。出来れば順調に元の生活に戻り、安穏を得られればいいのだが。
さて、とりあえず、まだ復興が済んでいないエリアに行って、状況を確認しなければな。
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