UWWO ~無表情系引きこもり少女は暗躍する?~

にがりの少なかった豆腐

文字の大きさ
125 / 280
廃村の復興と素材を探して

37:ファルキン視点より2 前

しおりを挟む
 
 第3エリアの廃村を復興させるために活動していたのだが、満腹度を回復させるための料理や他のアイテムも尽きてきたので、第2エリアのセントリウスにあるギルドまで戻ってきている。

 ずっと第3エリアに留まって復興を進められれば良いのだが、あそこのセーフティーエリアは完全な物ではなく、簡易セーフティーエリアのためログアウトするためにもログアウト用のテントを用意する必要がある。

 あそこで活動するプレイヤー全員がマナーの良い者だけならテントなんて無くてもいいのだが、すでに何件かPKによる被害が出ているのでそうも言っていられない。

「料理と素材の調達は終わったか?」
「ええ、他のプレイヤーに影響がない程度に抑えているけど、十分調達できたわ。ただ、料理の方は少ないわね。素材系のアイテムが大半」
「まあ、それは仕方ないだろ。料理にバフが乗ることがわかっても、2次スキルの後半まで熟練度を上げないといけないのは、面倒だからな。そこまでスキルを育てるプレイヤーは少ないし、一度に作れる量がな」
「それにスキル持ちのプレイヤーには自分用以外は作らないってのも居るのよね」

 元から取得していた【調合】スキルでポーションを作りながら、エンカッセとプリネージャの会話を流し聞く。

 第3エリアで活動するに当り、あの廃村ではアイテムを購入できないため、無くなったアイテムの中で現地調達した素材で作れる物を作っている内に、大分生産系スキルの熟練度が上がっていた。

「エンカッセ、ちょっといいか?」
「なんだ?」

 予定していた数のポーションを作り終えたところで、少し急いだ様子のふとももがエンカッセに話しかけた。

「掲示板を確認していたんだが、どうやらセントリウスから東に行ったところでフィールドBOSSのワイバーンが出ているらしい」
「フィールドBOSS? 今までそんなの出ていたか?」

 気になる話題だったので速攻で生産アイテムをしまって会話に参加する。

「イベントの時以外に出たって報告は今までないみたいだ。掲示板だとおそらくアプデで追加されたのだろうって、推察されていた。俺もそうだと思うけど、どうする?」
「まあ、タイミング的にそうだろうな。しかし、どうする、とは?」
「今から参加しに行くかどうか」

 すでに戦闘は始まっているらしいから、おそらく今から行っても間に合わない可能性が高いな。しかもワイバーンだし。出来るなら参加したいところだが終わった後に着いてもなぁ。

 エンカッセとふとももの会話を聞きながらそんなことを考えていると、何か相談していることに気付いた残りのメンバーが集まって来た。今日は都合がつかずジュラルミーんが居ないが、代わりにリラがパーティーメンバーとしてここに居る。

「間に合うのか」
「かなり苦戦しているらしいから、おそらく間に合う」
「そうか。お前たちはどうする? 俺は行ってみても良いと思うが」

 話しの流れ的にもふとももは行ってみたい派だろう。ぎーんとプリネージャ、リラはどっちでもいいようだ。という事は、俺の判断で行くか行かないかが決まることになるのだな。

「うーん。今から行っても間に合う保証はないし」
「ああ、そうそう。今も掲示板で状況を追っているんだけど、今さっきアユちゃんらしきプレイヤーが――」
「よし行くぞ! ほら早く!」

 アユが戦っているなら俺が行かない道理はないよな。妹が戦っているのがわかっているなら兄である俺が参戦しないのはおかしいだろ。

 ぶっちゃけ、自分でも意味の分からない理論ではあるが、間に合うかは別にして気になってはいたからいいだろ。

「ファルキンのやる気が空回りしないと良いのだけど」

 プリネージャが何やら呟いているのが聞こえたが、それを無視して準備を進めて行く。
 そうして俺たちは急いで戦うための準備をしてギルドを出ると、セントリウスの街中を移動して東に向かった。



 途中、セントリウスにある噴水前に多くのプレイヤーが佇んでいることに気付いたが、おそらくフィールドBOSSにやられてリスポーンしたプレイヤーたちだろう。

 大半のプレイヤーは既にフィールドBOSSとの戦闘を諦めている様子だったが、その中の一部のプレイヤーは、俺たちがフィールドBOSSに挑みに行くことに気付いて、再度戦いに行くことにしたようだ。
 そのため、いつも通り6人で移動している状況から、30人近い集団で移動することになった。
 イベント中もフィールドBOSSが出て、大人数での戦闘はあったが、あの時はプレイヤー同士が敵であったからこうやって大人数での移動はこのゲームでは初めてだな。


 そして、1時間も掛からない内にフィールドBOSSが視認できる位置までに到着した。

「いや、デカくね?」
「イベントの時のワイバーンとサイズ、全然違うじゃん」

 初遭遇である俺たちは目の前に見えているワイバーンのサイズに驚き戸惑うが、既に遭遇しやられている他のプレイヤーは冷静に相手を観察している。

「現在戦闘中のプレイヤーは10人くらい……ですかね? 1人離れた位置に居るようですが」

 ワイバーンに近付きながら戦闘状況を確認していたリラが声を出す。それを聞いて俺は離れた位置に1人で居るプレイヤーをよく見る。
 あの場に1人でいるならそれがアユの可能性は高いはずだ。戦闘中に話しかけるつもりはないが、居るか居ないかの確認はしておきたい。

 そのプレイヤーのことを目を凝らして確認する。
 フードを被っているのはアユらしいが、他にも似たような恰好をしたプレイヤーは居る。うーん、背格好はアユっぽいけど遠い位置に居るから正確にわからない。
 よく見たらなんかフードの形が変だな。犬? いや、遠目だからあれだが犬にしては鋭い感じがする。もしかしてオオカミか?

 そう言えば、アユがこの前オオカミの頭部を手に入れたとか言っていたよな? あの時は処理に困るなんて言っていたけど、フードの強化にでも使った可能性はあるか。
 とりあえず、あれは暫定アユ、としておこう。

 一定の範囲内に入ったからかワイバーンと戦闘状態となった。

 戦闘状態となったことで一緒に行動していたプレイヤーたちから魔法が飛び出して行く。俺は先に攻撃せず【看破】を使ってワイバーンの状態を確認した。


[(フィールドBOSS)ワイバーン LV:30 Att:風・毒 WA:土]
 HP:3813 / 24800
 MP:874 / 2560
 スキル:突進 ブレス(風) 強襲 毒爪 ■
 状態:怒


 うわ、もうHP15%くらいしか残っていないじゃないか。結構ギリギリの到着じゃないか、これ。それに【看破】使ったのに完全にスキルが出てきてないってことは完全に格上だな。

【看破】を使ったことでワイバーンの状態がわかったので、俺も攻撃に参加する。

 どうしてオレンジNAMEのプレイヤーたちがこの場に居るのかが気になるが、とりあえずワイバーンに攻撃をしていく。

 オレンジNAMEのプレイヤーたちは後から来た俺たちの事を警戒しているのか、近付いてくることは無かったし、俺たちも同様に不用意に近づくことは無かった。

 1分程、ワイバーンに向けて攻撃を続けていたが、一向にワイバーンは痛がる素振りを見せていない。

 堅いなこのワイバーン。イベントの時はそれほど気にならなかったんだが、確かにあの時も魔術系のスキルよりも物理攻撃の方が効いていた印象があるな。

 出来れば地面に落としたいところだけど、降りて来る気配もないし、怯んだ感じもな……ん?

 どうやって下に落とすか、そう考えようとしたところで上空から爆発音が聞こえて来た。すぐに上を確認したのだが、視線を上に上げた瞬間、ワイバーンが落ちてきている光景が目に入ってきたのでそれどころではなくなった。

 咄嗟に飛び退き、辛うじてワイバーンの体が当たることは無かったが、丁度ワイバーンの真下に居たオレンジNAMEプレイヤーたちは避ける間もなくそのままワイバーンの体に押しつぶされポリゴンになって消えていった。

 どういう理由でオレンジNAMEになったかはわからないが、何と言うか同情したくなるような死に方だった。


―――――
すいません
長くなりすぎたので、前後で分割して投稿します
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―

Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。

三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。 何度も断罪を回避しようとしたのに! では、こんな国など出ていきます!

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!

ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」 ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。 「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」 そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。 (やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。 ※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました

饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。 わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。 しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。 末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。 そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。 それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は―― n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。 全15話。 ※カクヨムでも公開しています

側妃ですか!? ありがとうございます!!

Ryo-k
ファンタジー
『側妃制度』 それは陛下のためにある制度では決してなかった。 ではだれのためにあるのか…… 「――ありがとうございます!!」

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

処理中です...