UWWO ~無表情系引きこもり少女は暗躍する?~

にがりの少なかった豆腐

文字の大きさ
153 / 276
新規プレイヤーとあれこれ

9:復元魔法

しおりを挟む
  
 この司書、笑顔だけどちょっと圧を感じるね。それだけ見てみたい、読んで見たいという事なのだろうけど。

 司書のその様子に若干引きながら私はインベントリからあの本を取り出した。


[知らない言語で書かれた本 Ra:Ep Qu:F Du:-/-]
 あなたの知らない言語で書かれた本。日記のような魔導書のような、書き方が不規則に変わっているためどのような本なのか書式だけでは判断できそうにない。何らかの保護魔法がかけられているようで完全に破損することは無いようだが、経年劣化が激しく真面に開くことが出来そうにない。この本を読むには復元魔法で読める状態に戻し、対応する言語を覚える必要がある。


 殆ど忘れていた説明を見る。そう言えば復元しないと読めないらしいけど、この司書に聞けばどうすればいいかわかるのかな。というか、これだと司書も読めないのでは?

「これですか。いや、凄く古い本……というわけではなさそうですが傷みが激しいですね。このままだと復元魔法を使わない限り読むことが出来ないでしょうね」
「復元魔法」

 ピンポイントでそれを言ってくれるの? 聞かないでも説明してくれるならありがたいけど。

「ああ、復元魔法なら私が使えますよ」

 まさかすぐにその単語が出て来るとは思っていなかったからオウム返ししてしまっただけなのに、どうやら司書は質問として受け取ってくれたようだ。

「そう……なのですか」

 これはまさか、自分で取得する必要がない? 所得する必要が無いのならSKPの節約になるからありがたいのだけど。

「【複製魔法】も復元魔法も司書としては必須技能ですから。むしろ使えなければ司書にはなれません」

 複製魔法とかまた知らないスキルが出て来たけど、話の流れからして復元魔法は使ってくれそうだね。

「それでアユさん。この本なのですが、復元魔法を使ってしまってもよろしいでしょうか」
「あ、はい」

 直してくるなら否はないです。ASが必要だとしても超高額でもない限りPKKで稼げているから問題ないし。

「じゃあ、ちょっと待っていてくださいね」

 そう言って司書の男性はまた奥の倉庫に向かった。本を持って行かなかったところからして、復元魔法をするために必要な道具を取りにいったのだろう。


「お待たせしました」

 司書の男性はすぐに戻って来た。手には2枚の板と何故か本が1冊。どうして本を持ってきたのだろう。説明書?

「では、始めますね」

 そう言うと司書の男性は持ってきた板の内、一枚をカウンターの上に置いた。その板は錬金板のような見た目の物で、その上へいくつかの素材と私が持っていた読めない本を置くと、すぐに板に魔力を通し始めたようだ。

 板が淡く光る。見た目や光方からして錬金板のようだけど、微妙に違う気もする。次第に光が強くなり本を包んで行く。そしていくらか経ったところで光が一気に収まった。

「ふぅ。これで復元は完了です。念のため鑑定はしておきますね。もし、見るだけで問題が起こるような本だったら大変ですから」

 ああ、見ただけで問題が起きるってことは、UWWOの中にも呪われている系のアイテムってあるか。となると、廃墟とかが多い第3エリアにそういったアイテムが多そうな気がするね。

「…………うん。問題ないようですね」

 司書の男性はそう言うと板の上から本を退かしカウンターの上に置いた。
 ああ、私も【鑑定】しておこう。


[古きヴァンパイアの日記 Ra:Ar Qu:A Du:-/-]
 ノーディレス帝国の常用語とヴァンパイア語を混ぜて書かれた日記。この日記には当時の想いが綴られている。『日記ではあるが一部に魔法陣が施され、読む資格のあるものにしか見えない部分が存在する(秘匿文)』復元魔法により状態は回復したが、元の状態が悪すぎたため保護魔法の効果は無くなってしまっている。
 秘匿情報:魔法書
 保有者:アユ(有資格者)


 え……っと?
 う、うん。とりあえず復元は問題なく終わっているね。

 ……いやいや待って。秘匿文ありのアイテム説明って何? Ra:Arって初めて見たよ!? それにArってことはartifactだからEpicの1個上のRa度? Ra:Epならいくつか見たことあるけどこれは完全に初めてだ。
 あといきなり魔法書ってなにさ。しかも有資格者って、どういうこと?

「あの、申し訳ないのですが」
「え、あ、はい」

 まさか魔導書だから回収されるとか、そういう流れ……いや、さっき問題ないって言っていたから違うよね。情報多くて頭の中パニックになるよ。

「出来ればこちらの本、【複製魔法】を使ってこちらの本に複写したいのですが、いいでしょうか?」

 司書の男性はそう言いながら先ほど持ってきた本と使わなかった方の板をカウンターの上に並べた。

「構わない、ですけどその板は?」
「あ、これは錬金板ですね。特殊な加工をして【複製魔法】に特化させたものです。先ほど使ったのは復元魔法に特化させた錬金板です」
「なるほど」

 特化させた生産装備か。プレイヤーには使えなさそうだ。

「許可もいただけたのでさっさと進めてしまいますね」

 司書の男性はささっと準備を進め、日記を複写していった。

「ありがとうございます。これで書庫になかった本がまた1冊増えることになりました。特にヴァンパイア語で書かれた本は数が少なくて貴重なんです。まあ、その分、解読出来る者も少ないのですけどね」
「はぁ」

 手元にない新しい本が手に入ったからなのか、複写してから妙にテンションが高い司書について行けず、修復してもらった感謝をしてからカウンターを離れた。

 この後、新しく手に入ったレシピで作れる物を一通り作る予定だったけどでも、先にこの本の内容を確認しないといけないよね。

 そういう事で私はまたギルド書庫内にある机の場所に戻った。



_____
本の内容は次回

司書が日記を複製した理由は他のヴァンパイア系プレイヤーに見せるためです。これにより、条件を満たしたヴァンパイアプレイヤーが訪れるとイベントが発生するようになりました。

Ar(artifact)はプレイヤーには作れないRa度になります。人工伝説級ということで過去の遺物とか、偉人が使用したことで変質したアイテムと言った形で使われるためのRa度になります。簡単に言えばRa度の低いイベントアイテム。いえ、Ar自体低くはないですけどね。他に対応するアイテムがGoなので低い扱いです。

復元魔法と【複製魔法】の違いはプレイヤーが取得できるか出来ないかです。【】付きのスキルは取得できる物。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。 ──────── 自筆です。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

もふもふで始めるのんびり寄り道生活 便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり
ファンタジー
【書籍化!】第17回ファンタジー小説大賞『癒し系ほっこり賞』受賞作です。 (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『もふもふで始めるVRMMO生活 ~寄り道しながらマイペースに楽しみます~』です) ようやくこの日がやってきた。自由度が最高と噂されてたフルダイブ型VRMMOのサービス開始日だよ。 最初の種族選択でガチャをしたらびっくり。希少種のもふもふが当たったみたい。 この幸運に全力で乗っかって、マイペースにゲームを楽しもう! ……もぐもぐ。この世界、ご飯美味しすぎでは? *** ゲーム生活をのんびり楽しむ話。 バトルもありますが、基本はスローライフ。 主人公は羽のあるうさぎになって、愛嬌を振りまきながら、あっちへこっちへフラフラと、異世界のようなゲーム世界を満喫します。 カクヨム様でも公開しております。

親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します

miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。 そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。 軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。 誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。 毎日22時投稿します。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...