俺様はネコなのだ〜猫は異世界に行ってもネコ〜

わんこ

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本編

第7話 俺様の誘拐事件と大通りの渡り方

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「おはよう、みーちゃん。あら? また魚の頭だけ残して・・・」

茶色の女の人エヌエラがやって来た。
ギルドホールの真ん中に落ちていた魚の頭をつまみ上げて、俺様の頭の上に乗っけたのだ。

ぎゅっと眼を閉じて、俺様は考える。
どうして頭の上に乗せるのか。猫にはわからない深い意味があるのだろうか。それとも、これがお約束ってやつなのか?

「あら? みーちゃんの下にあるのは何ですか?」

茶色の女の人エヌエラが、俺様の紙束を取ろうとするから「にゃー」と抗議してやった。

「郵便を受け取ってくれたのね。お利口さんね」

のど元を撫でられたら、ちょっと気分よくなってきたから、俺様の紙束に触るのを許してやるか。

「えーと、ギルド本部からの連絡書ね」

茶色の女の人エヌエラが封蝋を剥がして紙束を広げる。音がガサガサとして、ものすごく気になる。
すごく気になるけど・・・頭の上の魚の頭が邪魔で動けないのだ。

猫だって、一応ネタにはお付き合いするけどな。それにも限度があるのだ。俺様は頭を傾けて魚の頭を落とす。ふう、すっきりしたぞ耳をぴくぴく。これで動けるのだ。

「みーちゃん、やっと本部から回答が来たわよ。”ギルド所属のハンターを全力をもって保護せよ”ですって。町の参議会にも抗議文書を送るそうよ。本部のヌコ派職員のおかげね。やっとハンター達を動かせるわ」

俺様は、頭の上がすっきりしたから、立ち上がって背伸び。ごろんと横になって、もういちど昼寝するのだ。
と、思ったら、茶色の女の人エヌエラにつまみ上げられたのだ。

「ふみゃー」

そのまま、抱っこされて茶色の女の人エヌエラは、ギルドの外へ。

「みーちゃん、ガイルさんを探してきて。私はギルマスを叩き起こしてくるから」

またお仕事なのか? 臭い人ガイルが何処に居るかなんて知らないのだ。
尻尾を左右に大きくフリフリして抗議してみる。

「探してきて、いいわね?」

茶色の女の人エヌエラが、ちょっと怖い顔で俺様を覗き込んだ。
お仕事はしたくないから、肉球で鼻の先を押し返してやるのだ。もちろん爪は出さない。

「い・い・わ・ね?」

茶色の女の人エヌエラが、もうちょっと怖い顔になったのだ。俺様は尻尾をぱたんと下に垂らした、降参の合図なのだ。

前に、"みーちゃんは仕事しなくてもいい"とか言ってなかったけか? 人ってのは本当に自分勝手なのだ。

茶色の女の人エヌエラは、通りの端に俺様を降ろすと、さっさと白髭の爺さんギルドマスターを探しに行ってしまった。

うーん、仕方ない。臭い人ガイルを探してみるか、鼻を上に向けてくんくん。でも臭い人ハンター達の匂いがあっちこっちにあるから、さっぱり解らないのだ。

どうしようかな、誰かに聞いてみるか? こういう時はやっぱりアイツだな、ボス猫の黒に聞きに行こう。

ギルドの近くの建物から屋根をつたって大通りへ。ここを渡るのはいつも苦労するからな。
今日は、通りの端に馬車が停まっていたから、そこに隠れて渡るタイミングを待ってみるのだ。

「ぶるぶるぶる」

馬が何か言ってるみたいだな。近づいてみたら優しそうな顔で俺様を見た。

「やあ、猫くん。通りは危ないよ。早くお家へお帰り」

そう言えば他の動物でも話せるかもって金色の変な女の子アリシアが言ってたな。

「こんにちは馬さん」

馬は鼻を鳴らした。

「驚いたな、僕たちと話せるのかい? ヌコとお話するのは初めてだ。嬉しいね」

この馬は何回かヌコを撥ね飛ばしたことがあって、もう二度とゴメンだから絶対に飛び出すなって熱く語ってくれたのだ。

「通りを飛び出すのはやめておくれよ? 俺たちだってヌコを跳ね飛ばしたくはないんだよ」

でもな。

「俺様は通りの向こう側に行きたいんだけど」

馬は「ちょっとお待ちさないね」と言うと、ひひひ~んと鳴いた。
そしたら通りの馬車が全部止まった。
馬車の御者達が、大声を出したり鞭で叩いたりしているけど、馬達は動こうとしないみたいだ。

「ほら、今のうちにお行き」

確かに、いまなら安心して大通りを渡れるのだ。俺様は礼を言って走り抜けた。

後はまた屋根を歩いて行けば安全なのだ。いつもの屋根に来たら、やっぱり黒が居た。

「今度は人探しだと? いちいちオレに聞きにくるんじゃねえ」

そんな事を言いながら尻尾が嬉しそうに揺れているけどな。

「昨日から、臭いハンター連中が町中に居やがる。臭くて騒がしく落ち着かねえ。ハンターギルドで何かあったのか?」

なるほど、臭い人ハンター達は朝から町を出て夜に帰ってくるからな。昼間に町に居るのは珍しいのか。ヌコ達には迷惑なんだろうな。
俺様は、誘拐された話しをちょっとだけしてやったのだ。

「ステハン商会か。あそこはオレの縄張りの外だ。助けに行ってやれないから気をつけるんだな」

なんだかんだ言って、黒はいいやつなのだ。そうだ、臭い人ガイルを探してるんだった。

臭いハンター連中なら酒場にいるんじゃねえか? ハンスの酒場ってのが有名だ」

「ハンスの酒場? 1回だけ行ったことがあるかも。でも、場所を覚えてないのだ」

「世話がかかるヤロウだな。まあ、暇してた所だ。一緒に行くか?」

さすが黒だな。なんでも知っているし、怖い顔して面倒見がいいのだ。まあ、そうでなきゃボス猫なんてやってないだろうな。

黒と一緒にまた大通りにやってきた。

「この大通りを渡るのが一苦労なんだけどよ。お前はどうやって渡ってくるんだ?」

「いつも怖い思いするんだけどさ、今日は良い方法を教えてもらったんだ」

俺様は、さっきの馬の鳴き声をまねて、大きな声で鳴いてみた

「にゃ、あ、あ、あ~ん」

黒は「なんだこいつ?」って顔で俺様を見たけどな。どこかで馬が鳴いたら、大通りの馬車や馬が止まってびっくりしてるのだ。

「さあ、今のうちに渡ろう」

俺様は黒と一緒に、大通りを走り抜けた。そしたら、また馬たちが走り出した。

「すげえな。馬が止まってくれるなら大助かりだ」

今日は話の判る馬が居たからな。きっと他の馬たちに声をかけてくれたんだろう。他の日でも上手く行ったらいいんだけど。

路地を抜けながらしばらく行くと、酒場に付いた。こないだ来たハンスの酒場だ。

「ここはヌコの共有スペースだ。誰の縄張りでもねえから安心しな。獲物が獲れなくて腹を空かせたヌコがここにやって来る」

そう言うと、黒はぴょんとテーブルに飛び乗って、すぐに肉を咥えて降りてきた。

「ほら簡単に食い物が獲れるからな。お前も欲しかったら自分で獲りな」

なるほどなあ。と思っていると、テーブルの上から知ってる顔が覗き込んできた。

「おいヌコ野郎、おれの肉かえせ・・・・あれ? みーちゃんじゃねえか」

やっぱり酒場に居たんだな臭い人ガイル。黒ってすごいなあ。

俺様もテーブルの上に飛び上がって「にゃ」と鳴いてみた。臭い人ガイルが肉をひと切れ俺様の前に置いてくれたから、はぐはぐと食べていると、黒もテーブルに上がって来た。

「みー、この臭い野郎は知り合いか?」

「これが探していた人だよ、助かった、ありがとう」

黒は少しだけ臭い人ガイルに近づいて、ふんふんと鼻を鳴らした。
臭い人ガイルが「しゃーねーな」と言いながら、黒の前にも肉をひと切れ置いたら、肉をくわえてテーブルの下へ降りて行った。

俺様は・・・あれ? んーと、何か忘れているような・・・と思っていたら、黒はさっさと食べ終わったみたいだ。

「じゃあオレは帰るからな。肉の礼を言っといてくれ。またな」

とか言いながら、路地を早足で帰っていったのだ。

「あの黒いの、愛想なしだが風格があるな」

臭い人ガイルは、酒のジョッキを煽って、ぷはーと臭い息を吐いたから、俺様はちょっと文句を言ってやったのだけど。

「うにゃあ」

「そうだよなあ、暇だよなあ。でも、たまには休養も必要だぜ」

ちがうだろ! 手に噛み付く

「いててて、もうちょっと手加減しろよ」

「にゃぁぁぁぁぁぁぁ」

「ん? もっと食うのか? ほれ、オークのバラ肉だ。うまいぞ」

違うって言ってるだろ。臭い人ガイルの肩にのって、後頭部をパシッと叩く。

隣のテーブルの臭い人ハンター達が見ていたみたいで「いいお笑いコンビだな~」
って大笑いしてるけどな。

鼻先をハンターギルドの方向に向けて、鼻をひくひくさせてみる。

「おぅ?? これは、獲物を見つけた合図だな・・・ギルドの方向、なにかあったのか?」

別に何も無いけどな。茶色の女の人エヌエラが呼んでただけだ。

臭い人ガイルは、隣のテーブルの臭い人ハンター達をみて、指を立てて握って開いて。
それを見た臭い人ハンター達も、頷いたり、指を立てたり
なんだ? じゃんけんしているのか?

臭い人ガイルは、テーブルに青銀貨を何枚か置くと、俺様を肩に乗せたまま歩き出した。

「ギルドで何かあったのか? 酒場にいた連中にもハンドサインで知らせて置いたから後から来るだろさ。みーちゃんもサインを覚えて置いたほうがいいけどな」

あの人達も来るのか? 臭い人ガイルだけで良いんだけどな。まあいいだろう。

しばらく歩いて、ギルドの近くまでやってきたら、臭い人ガイルが立ち止まって気配を探っているから、俺様もちょっと探ってみるか。

ふんふんふん・・・

これは、太った商人ステハンと、俺様の遊び相手シエトンの匂いだな。また遊びに来たのか? 暇なヤツらなのだ。
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