私の婚活事情〜副社長の策に嵌まるまで〜

みかん桜

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約束の金曜日

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 とうとうこの日が来てしまった…。
 しかもこんな日に限って定時で仕事を終えてしまった。パソコンも切ったしコップも洗い終わったし…ロッカーに荷物を取りに行ったらもう帰れてしまう。

 行きたいような行きたくないような…前よりは確かに話しやすくなったけど、あの日みたいに砕けた話し方をしていいものなのか。とはいえそれ以前に戻すのも…明らかに困っていたのを隠せてなかっただろうし。

 そういえばどこで待ち合わせるんだっけ? 私、副社長の連絡先知らないじゃん。……帰っ、ちゃう? 

「お疲れ様です」
「お疲れ様です」
「副社長! お疲れ様です」

 えっ! 副社長!?

「佐伯さん」

 嘘でしょっ。そんな帰り支度済んでますって格好して呼ぶ!?

「ちょ、ちょ、ちょっと佐伯さん! 副社長が呼んでますよっ! えっ? 何で!? ――もしかして副社長とご飯でも行くんですか?――」

 驚いて私の席まで走ってきた津村ちゃん。周りに聞こえないよう、最後は私にしか聞こえない声で話してくれたのはありがたいのだけど…今ここで正直に答えるのは絶対危険。

「ち、違うからね。そ、その…そう! 頼まれていた書類があってね」

 慌てて引き出しから適当に手に取って副社長の元へ急ぐ。

「この書類の件ですよね。お待たせして申し訳ありません。………はい。分かりました! 秘書課の真崎さんに渡しておけばいいんですね。帰る前に持っていきます」

 真崎さんごめーん。名前借りました。

「あぁ、――悪い、車で待ってる―― ありがとう。頼んだよ」

 謝るなら最初からしないでよ…。とりあえず荷物取って、秘書課に行くふりをしておこう。





「お疲れ様です」

 怪しんでいた営業部のメンバーをなんとか誤魔化し、一度秘書課がある階に向かってから地下へと降りた。
 車にもたれて待つ姿がムカつくくらい様になってる。

「何であんなことしたんですか! ちゃんと誤魔化せたのかも謎ですよ…」
「別にいいだろ。悪いことをしているわけじゃないんだから。でも花音が困るならやめておくか」
「ぜひ、そうしてください」

 助手席に乗り込みながらクレームを出すも、全然悪いなんて思ってない言い方で。

「連絡先、交換しておこう」
「……何故ですか」
「また営業部に迎えに行くぞ」
「うっ」

 嫌ではないし、まぁいいかと交換したけれど、嵌められた気がしてならない。
 というか、次もあるんだ…。

「それでどこに行くんですか? 先に言っておきますけど、あまり高いお店だと私支払えないので、やめてくださいね」



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