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54.誕生日デート②
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すごい…高いネックガードってこんなにも違うんだ。見た目も近くで見ればオメガ用だって分かるけど、デザインがオシャレで重ね付けする必要もない。もうベータ用のがズレてないかと、何度も確認する必要ないのか。
嬉しくなって少しニヤけてしまった。
「嬉しそうだね」
「うん。必ずお礼するから。あまり期待はしないでほしいけど」
怖くて値段は聞けないけど、これ絶対高いしお礼は必須だよな。…高いのにしないでって言ったのになぁ。
「そのお礼、リクエストしてもいい?」
「っ! いいぞ」
ちょうど俺も今、何が良いか聞いてみようと思ったところだ。
「ならキスしたい」
「えっ!?」
い、い、今……キ…スしたいって…言った?
「本当はここにしたいけど…」
と言ってなぞるように俺の下唇を触れてくる光琉。
わぁぁぁ!
本当に同い年か!? 色気がすごすぎるんですけど!
「でも今日はこっちで我慢するよ」
ちゅっ。
「!?!?」
あわあわしているうちに、流れるように頬にキスされてしまった。
「俺、まだいいって言ってない」
「ふっ。まだね」
「あっ…う…そ、それは…」
いたたまれない。
「いつかここにするから」
「………」
また唇に…今度は人差し指で、唇の真ん中に当ててくる。
「真っ赤で可愛い」
ぎゅーっと抱きしめられ、赤い顔が更に赤くなっている気がしてならない。
「か、可愛くないし……」
「可愛いよ」
「あっそ」
光琉にだけは、可愛いって言われると嬉しいって思っちゃう。ここでありがとうって言える方が可愛いんだろうけど、恥ずかしくて素直にお礼なんて言えない。なんか、お礼言うと可愛いって自分でも思ってるように聞こえないかなって…。
「到着したみたいだね」
「うん」
運転手さんがドアを開けてくれ、着いた場所は遊園地。
「楽しもう、日向」
入場門に向かいながら笑顔で手を差し出され、ついうっかり手を取ってしまった。
「光琉、手!」
「ん? 日向から繋いできたんでしょ」
「なっ」
それは光琉が…まぁ、今日は一応デー、トだしな。
*
*
シアターでキャラクタショーを観たり、ジェットコースターに乗ったり。お昼は園内にあるレストランで食事して。パレードも見たし、お土産にお揃いのグッズを買ったり。
チケットは光琉が親の知り合いから譲ってもらったもの。レストランの招待券も付いていたから、光琉の誕生日なのに俺がおもてなしされてしまった。
「ありがとな」
見上げると目が合う。いつ見上げても合う気がするな…。
「俺の方こそありがとう。凄く楽しかったよ。帰りたくないくらい」
「俺も」
今日はずっと手も繋いだままで、正直すごく幸せな一日だった。
「でも最後に日向と観覧車、乗りたかったな」
「それは仕方ない。今年は特に人気だし」
この遊園地は毎年大きなクリスマスツリーが飾られる。そして例の映画の主演俳優2人が、点灯されたクリスマスツリーをバックに、観覧車の中から写真を撮ってSNSに投稿。そんなことがなくても人気なのに今年は整理券が配られるほどだった。
「あの映画、続編の制作が決まったらしいよ」
「まじ? 人気すぎだろ」
一樹がまた煩く感想を伝えてきそうだな。
「一緒に観に行く?」
「俺、前作観てない」
「なら今度俺の家で観よう」
「いいけど」
ポップコーンの味は何がいいか聞かれ、バニラがいいって答えておいた。
嬉しくなって少しニヤけてしまった。
「嬉しそうだね」
「うん。必ずお礼するから。あまり期待はしないでほしいけど」
怖くて値段は聞けないけど、これ絶対高いしお礼は必須だよな。…高いのにしないでって言ったのになぁ。
「そのお礼、リクエストしてもいい?」
「っ! いいぞ」
ちょうど俺も今、何が良いか聞いてみようと思ったところだ。
「ならキスしたい」
「えっ!?」
い、い、今……キ…スしたいって…言った?
「本当はここにしたいけど…」
と言ってなぞるように俺の下唇を触れてくる光琉。
わぁぁぁ!
本当に同い年か!? 色気がすごすぎるんですけど!
「でも今日はこっちで我慢するよ」
ちゅっ。
「!?!?」
あわあわしているうちに、流れるように頬にキスされてしまった。
「俺、まだいいって言ってない」
「ふっ。まだね」
「あっ…う…そ、それは…」
いたたまれない。
「いつかここにするから」
「………」
また唇に…今度は人差し指で、唇の真ん中に当ててくる。
「真っ赤で可愛い」
ぎゅーっと抱きしめられ、赤い顔が更に赤くなっている気がしてならない。
「か、可愛くないし……」
「可愛いよ」
「あっそ」
光琉にだけは、可愛いって言われると嬉しいって思っちゃう。ここでありがとうって言える方が可愛いんだろうけど、恥ずかしくて素直にお礼なんて言えない。なんか、お礼言うと可愛いって自分でも思ってるように聞こえないかなって…。
「到着したみたいだね」
「うん」
運転手さんがドアを開けてくれ、着いた場所は遊園地。
「楽しもう、日向」
入場門に向かいながら笑顔で手を差し出され、ついうっかり手を取ってしまった。
「光琉、手!」
「ん? 日向から繋いできたんでしょ」
「なっ」
それは光琉が…まぁ、今日は一応デー、トだしな。
*
*
シアターでキャラクタショーを観たり、ジェットコースターに乗ったり。お昼は園内にあるレストランで食事して。パレードも見たし、お土産にお揃いのグッズを買ったり。
チケットは光琉が親の知り合いから譲ってもらったもの。レストランの招待券も付いていたから、光琉の誕生日なのに俺がおもてなしされてしまった。
「ありがとな」
見上げると目が合う。いつ見上げても合う気がするな…。
「俺の方こそありがとう。凄く楽しかったよ。帰りたくないくらい」
「俺も」
今日はずっと手も繋いだままで、正直すごく幸せな一日だった。
「でも最後に日向と観覧車、乗りたかったな」
「それは仕方ない。今年は特に人気だし」
この遊園地は毎年大きなクリスマスツリーが飾られる。そして例の映画の主演俳優2人が、点灯されたクリスマスツリーをバックに、観覧車の中から写真を撮ってSNSに投稿。そんなことがなくても人気なのに今年は整理券が配られるほどだった。
「あの映画、続編の制作が決まったらしいよ」
「まじ? 人気すぎだろ」
一樹がまた煩く感想を伝えてきそうだな。
「一緒に観に行く?」
「俺、前作観てない」
「なら今度俺の家で観よう」
「いいけど」
ポップコーンの味は何がいいか聞かれ、バニラがいいって答えておいた。
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