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第4章
14.可奈side
しおりを挟む「……本当に平気なの?」
海斗くんが戻ってくるまで一緒にいようかと言うと、タクシーを降りたミケは首を振った。
「大丈夫。送ってくれて、ありがとう」
ひねくれてる。
それが出会った頃の、ミケの印象だった。
妙に醒めていて、あまり感情を表にださない。
……そういう年頃なのかって、思ってたけど
むしろ、今まで彼を取り巻いていた環境ではそうならざるをえなかったのだろう。
そんなミケを変えたのが、海斗くんだった。
ウザいだの面倒だの口では散々言いながらも、彼は色んな表情をみせるようになった。
泣いたり笑ったり怒ったり。
本当は素直で、ちょっと不器用。
そして戸惑いながらも懸命に海斗くんと向き合おうとするその姿は、なんだか見ていていじらしかった。
「……あんた、家は?」
「……小岩」
運転手にそう告げると、タクシーは走りだす。
「………」
今までの流れからすると…この子はたぶん、海斗くんの友達かなんかだろう。
でも、ミケのことは良く思ってない。
あと海斗くんの元カノ?とは何かしらの関係があって、今現在その彼女は行方不明…。
……なんか、ややこしいのね…
最近の高校生の事情は、よくわからないけど。
この子も実は、色々と悩んでるのかもしれない。
激しくなった雨がフロントガラスを叩いている。
流れる雨粒に滲む赤や黄色の街の光を眺めながら、小さな溜め息をついた。
ミケは、本当に大丈夫だろうか。
そして海斗くんは無事、彼女を見つけられただろうか。
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