迷子猫(BL)

kotori

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第4章

15.ミケside

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部屋に入るなり、ドアの前にしゃがみこむ。

「………」

動揺していた。
海斗のことを信用してないわけじゃない。
でも、怖い。

あいつの優しさや誠実さは、何も自分だけに向けられるものじゃないってわかってるから。
だから不安になる。

……じゃあ、引きとめればよかった?

あの時俺が行くなって言ってたら、あいつはどうしただろう。

……言えるわけ、ないけど

あいつが抱えているものの重さを、知ってるから。
それでずっと苦しんできたことを、知ってるから。

……だけどもし、戻ってこなかったら?

俺の前から、いなくなってしまったら?

ぎゅっと胸が潰れるような痛みを感じた。
それは、知ってしまったぬくもりを失うという恐怖。

薄暗い部屋のなかで、雨の音だけが響いていた。


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