迷子猫(2)

kotori

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第2章

2.

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十一時を過ぎた頃、部屋に帰ると海斗がいた。
いつも週末は、接待やら飲み会やらで遅くなるのに。

「今日、早かったんだ」
「……うん」

海斗はテレビから目を離さずに答える。

……機嫌悪い?

「飯食った?簡単な物で良かったら、すぐ作れるけど」

冷蔵庫の中を見ながら訊くと、食ってきたからいい、と海斗。

「………」

コートを脱いで、ソファーに座っている海斗の隣りに行く。

「……なんか、怒ってんの?」
「……怒ってない」
「ウソつき」

肩に頭を乗せて言った。

「言えよ」
「………」

すると海斗はむくれた顔のまま、ぽつりと言った。

「……どこに行ってたんだよ」

ほらやっぱりと思いつつ、なんでもない風に居酒屋と答える。

「誰と、」
「同じ部署の、女の人たち」
「……女の人?」

海斗は意外そうな顔をした。

「女子会、とかいうやつ」
「……おまえ男じゃん」
「うん」
「楽しかった?」
「うん、まぁ」

いろいろ話ができたし、オムライスも美味しかったし。

「いい子だって誉められた」
「……どこがだよ」

だよな、と笑って海斗の膝の間に座る。
そしてベルトを外しにかかった。

「教えてやれよ。本当は悪い子だって」

海斗が言う。

「家では男とこんな事ばっかしてるって」
「ドン引きだねきっと。あのさ、あんたが嫌なら俺はどこにも行かないよ?」

ひょっこり顔を出したソレに触れながら言う。
手が冷たかったからか、海斗は小さく身動いだ。

「……じゃあ、誰とも話すなって言ったら?」
「話さない」
「会うなって言ったら?」
「会わないよ」

それは冗談ではなく本心だった。
海斗が本気で望むなら、俺はそれを叶えたいって思う。
その為ならきっとなんだって捨てられる。
仲間だろうとなんだろうと、今すぐに。
でも、と手のなかで硬くなり始めたソレを舐めながら言う。

「誰とどこにいても…俺はあんたのモノだよ」
「……バカ」

海斗の手が優しく俺の髪を梳く。
それが心地好くて、目を閉じた。

……バカなのはあんただよ、

気にすることなんて、何もないのに。
俺の世界には、あんたがいればそれだけで充分なのに。



「……ん、ふっ」

脈打つ血管に舌を這わせ、すっかり勃ちあがったソレを咥える。
徐々に荒くなる息遣い。
見上げれば彼の表情に余裕はなくて、欲に濡れた瞳はまるで飢えた肉食獣のそれで。
背筋がぞくりとした。

「……ミケ、」

不意に海斗が言った。

「電話、鳴ってる」

……そんなの、別にどうでもいい

小さく首を振り、行為に没頭しようとする俺を海斗が止めた。

「仕事の電話かも」
「……誰とも話すなって言ったじゃん」

冗談だっつうのと海斗は言い、促されて渋々立ち上がる。
そしてキッチンで手を洗い、テーブルに置いてあった携帯を手に取った。


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