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第2章
3.
しおりを挟む「すみません、気づかなくて」
電話は華原さんからだった。
『いや、こっちこそこんな時間に悪いな。だけど、どうしても伝えたくてさ』
華原さんは少し興奮気味に、おまえの案が通ったぞと言った。
「案…?」
『S社との合同企画だよ』
「え…?でもあれは、本会議には出さなかったって林さんが」
『俺が出したんだ。絶対いけると思って』
寝耳に水、とはこういう事を言うんだろうか。
俺は突っ立ったままぽかんとしていた。
『上の評価も良かった。すぐ企画書を出せってさ』
華原さんの声はすごく嬉しそうだ。
『すごいよ、おまえ。今回うまくやれば、次の仕事に繋げられるかもしれない…って聞いてるか?』
「あっ、はい…。すみません、びっくりして」
正直、話の展開についていけない。
『だろうな、これからが正念場だ。……俺はさ、このプロジェクトのチームに発案者としてお前を推薦したいと思ってる』
「……えぇっ?!でも、」
『勿論、俺もサポートする。どうだ、やってみないか?』
「……でも俺に、出来るかどうか…」
『それは、やってみないとわからないだろ』
「………」
心臓がどくん、と音をたてる。
入社以来、先輩の補佐や雑用ばかりしてきた。
……自信なんかないし、失敗するかもしれないけど…
こんな大きなプロジェクトに参加させて貰えるなんて、そうそうあることじゃない。
経験を積む事は悪いことでは無いはずだし、それに何より。
……やってみたい
自分が出した企画を、少しでも自分の手でカタチにしてみたい。
ごくり、と息を飲み込んだ。
「……わかりました、やらせてください」
『よし。じゃあ早速打ち合わせをしたいんだけど、明日、出てこれるか?』
「大丈夫です…って!」
いきなり耳たぶを噛まれて、変な声がでた。
どうした?と華原さん。
「いえっ…あの、犬がいきなり、飛びついてきて」
『おまえんち、犬がいるのか?まぁいいや、とにかく明日、十時に』
電話を切ると同時に、俺を抱っこしている海斗を睨む。
「……バカ」
「俺はいつから犬になったんだよ」
海斗は不服そうな顔で、鼻を鳴らした。
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