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第3章
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しおりを挟む今日は早めに帰れるかも、というメールが届いたのは今から約一時間前。
「佐々木さん、お願いがあるんすけど!」
「やだよ」
手にした書類から目を離さずに、佐々木さんは答える。
「今夜の接待、代わってもらえません?」
「ぜってーやだ」
とりつくシマなし…まぁ予想はしてたけど。
だからといってここで諦める訳にはいかない。
「今度奢りますから!いい店知ってんすよ~」
「パス」
「なんなら真田も誘いましょうか?」
彼の表情の変化を俺は見逃さなかった。
よし、もう一押し…。
「俺、協力しますよ」
キャスター付きの椅子ごと彼に近づいて、彼の耳元で囁く。
「いい感じに盛り上げてからタイミング見て抜けるんで、その後は二人で…」
「………。本当だな?」
心の中でガッツポーズをした、その時。
「お二人でなんの密談ですかー?」
「おっと真田さん!お疲れさま!」
「お、お疲れさま…」
真田は俺のテンションに若干引いてるようだった。
「あのさ、今度三人で飲みにいかない?」
「えっ、いいけど…」
「じゃあ今度、空いてる日教えて!あ、それとちょっと聞きたいことがあるんだけど」
それから急いで帰ってきた俺は今、ラブラブ晩御飯を作成中だ。
「白っぽくなるまで捏ねる…って、こんなもんか?」
簡単で早く作れるものがいいと言うと、ハンバーグとかいいんじゃない?と真田はその場でレシピを書いてくれた。
普段は特に意識したことないけど、そういうところはやっぱり女子だよなぁと思う。
「パン粉パン粉…って、すげーな、おい…」
普段滅多に台所に立たない(とゆうか立たせてもらえない)ので、何がどこにあるのかわからなくて収納を片っ端から開けてみた。
するとシンク下には鍋や調理器具が、その隣の引き出しには様々な調味料が揃えられていて驚いた。
「……料理人にでもなる気かよ、」
棚には料理の本も沢山ある。
それをパラパラと捲ってみると、ページの端を折ってあったり書き込みもしてあって。
花丸がついてるのは、よく作ってくれる俺の好物。
「………」
しゃがんだまま、思わず口元を手で覆った。
……やべえ…
てかなんなのあいつ、マジ可愛すぎるんだけど。
俺が接待や残業で遅くなるってわかってる日も、ミケは夕飯を作ってくれた。
クセみたいなもんだからと彼は言うけど。
……あーどうしよう…
今すぐ抱きしめて、キスして、あの柔らかい髪を撫でて。
そのままベットに押し倒したい。
疲れてるだろうし困った顔をされるかもしれないけど、顔見たら我慢できる自信がない…。
「……って!」
ガバッと顔を上げた。
そうだ、急がないともうミケが帰ってくる。
様々な煩悩を振り払いつつ、俺は再びパン粉の捜索を始めた。
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