迷子猫(2)

kotori

文字の大きさ
37 / 41
第3章

5

しおりを挟む
  
「……おっせーなー」

ソファーにごろりと横になって、携帯を見る。
メールが届いてから三時間。
悪戦苦闘してなんとか出来上がった晩メシが、テーブルの上に並んでいる。

……仕事でなんかあったかな

ここ一ヶ月ほどミケは本当に忙しそうで、仕事を家に持ち帰ってくることもよくあった。

……前は、プライベートな時間を潰したくないってぶつぶつ言ってたけど

そんなことも言ってられない状況なんだろう。
だけど最近のミケは、疲れててもどこか楽しそうな様子で。
俺としてはちょっと寂しいけど、仕事を頑張っている恋人を応援したいと思っていた。

……けど、連絡くらいしてくれても…

何回かメールしたし、電話も掛けてみたけど出ないし。
やっぱり心配になる。

……帰り道で事故にあったとか、誘拐…はさすがにないよな、一応大人なんだし…いやでもまてよ、あいつ昔から変な奴に言い寄られてたよな…

「うーん…」

悶々とする気持ちを落ち着けようと煙草に火をつけながら、待つって結構しんどいなと思った。
だけど普段遅くなるのは大抵俺の方なのだ。
仕事とはいえ、毎日のように酒を飲んで帰ってきて。
なのにあいつは、文句一つ言わないで…。

「………」

とその時、テーブルの上で携帯が震えた。

「ミケ?おまえ今、どこにいんだよ」

開口一番そう言うと、短い沈黙の後にごめんという彼の声が聞こえた。

ーーやっぱり今日、帰れそうにない。仕事、終わんなくて…

「そっか…わかった。けどなんで電話に出ねーんだよ、心配するじゃん」 

ーーごめん…

「や、いいけど…。大丈夫か?無理しすぎじゃね?なんか声、変だし」

ーー……うん、平気。ちょっと疲れてるけど 

その声が少し明るかったのでほっとした。
あんまり頑張りすぎんなよと言って電話を切ると、またソファーに転がる。
そして天井を眺めながら、ミケはいつもどんな気持ちで俺の帰りを待ってるんだろうと思った。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

シスルの花束を

碧月 晶
BL
年下俺様モデル×年上訳あり青年 ~人物紹介~ ○氷室 三門(ひむろ みかど) ・攻め(主人公) ・23歳、身長178cm ・モデル ・俺様な性格、短気 ・訳あって、雨月の所に転がり込んだ ○寒河江 雨月(さがえ うげつ) ・受け ・26歳、身長170cm ・常に無表情で、人形のように顔が整っている ・童顔 ※作中に英会話が出てきますが、翻訳アプリで訳したため正しいとは限りません。 ※濡れ場があるシーンはタイトルに*マークが付きます。 ※基本、三門視点で進みます。 ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

敗戦国の王子を犯して拐う

月歌(ツキウタ)
BL
祖国の王に家族を殺された男は一人隣国に逃れた。時が満ち、男は隣国の兵となり祖国に攻め込む。そして男は陥落した城に辿り着く。

オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜

トマトふぁ之助
BL
 某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。  そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。  聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。

処理中です...