迷子猫(2)

kotori

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第3章

7

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「……わかった」

あんまり納得してない表情だったけど、華原さんは頷いてくれた。

「何があったのか、言いたくないんだな?」
「……はい」

だったら何も訊かない、と言って彼は窓の外を見た。

「……でもな三宅、そういうことに慣れたらだめだ」
「………」
「一人で抱えこもうとするな。本当に辛い時は、誰かに頼れ」
「室長…」
「まぁ俺にしてやれることは、大してないだろうけど」
「そんな…、」
「でもな、おまえが何を抱えてようと、俺にとっては大事な部下なんだ。ちょっとは頼ってくれよ」

くしゃりと笑う華原さんを見て、胸が熱くなる。

「……優しいんですね」

淹れてもらったコーヒーを飲みながら、ぽつりと言った。
彼が皆に慕われる理由がわかる気がした。

「……そんなことないさ」

どこか遠くを見るようにして、彼は言う。

「狡いだけだよ、俺は」
「……え、」
「……いや、」

なんでもないと言うと、華原さんは立ち上がった。

「こんな時間だし、出前でもとるか」
「あ、あのお気遣いなく」
「俺の腹が減ってるんだよ」

うちには酒とつまみしかないからなと彼は苦笑いを浮かべる。

「いつもは殆ど外食でさ。男やもめだと、どうしてもなぁ」

なんだかちょっと意外だった。
華原さんは独身だけど、絶対モテると思う。

……料理を作ってくれるひとなんて、沢山いそうなのに

「三宅は?自炊してるのか」
「あ、はい一応…」
「へぇ、えらいな。今度俺にも作ってくれよ」
「ええっ、や、あの」

大したものは全然作れないと言うと、華原さんは笑った。

「まぁとにかく、今日はゆっくりしていけよ」

先に風呂を沸かしてくると言って、彼は部屋を出ていく。

「………」

静かになった室内で、俺は小さく息を吐いた


.
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