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第3章
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しおりを挟む「……わかった」
あんまり納得してない表情だったけど、華原さんは頷いてくれた。
「何があったのか、言いたくないんだな?」
「……はい」
だったら何も訊かない、と言って彼は窓の外を見た。
「……でもな三宅、そういうことに慣れたらだめだ」
「………」
「一人で抱えこもうとするな。本当に辛い時は、誰かに頼れ」
「室長…」
「まぁ俺にしてやれることは、大してないだろうけど」
「そんな…、」
「でもな、おまえが何を抱えてようと、俺にとっては大事な部下なんだ。ちょっとは頼ってくれよ」
くしゃりと笑う華原さんを見て、胸が熱くなる。
「……優しいんですね」
淹れてもらったコーヒーを飲みながら、ぽつりと言った。
彼が皆に慕われる理由がわかる気がした。
「……そんなことないさ」
どこか遠くを見るようにして、彼は言う。
「狡いだけだよ、俺は」
「……え、」
「……いや、」
なんでもないと言うと、華原さんは立ち上がった。
「こんな時間だし、出前でもとるか」
「あ、あのお気遣いなく」
「俺の腹が減ってるんだよ」
うちには酒とつまみしかないからなと彼は苦笑いを浮かべる。
「いつもは殆ど外食でさ。男やもめだと、どうしてもなぁ」
なんだかちょっと意外だった。
華原さんは独身だけど、絶対モテると思う。
……料理を作ってくれるひとなんて、沢山いそうなのに
「三宅は?自炊してるのか」
「あ、はい一応…」
「へぇ、えらいな。今度俺にも作ってくれよ」
「ええっ、や、あの」
大したものは全然作れないと言うと、華原さんは笑った。
「まぁとにかく、今日はゆっくりしていけよ」
先に風呂を沸かしてくると言って、彼は部屋を出ていく。
「………」
静かになった室内で、俺は小さく息を吐いた
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