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第3章
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しおりを挟む三宅が風呂に入ってる間に、コートのポケットから例のものを取り出した。
「………」
あの時、咄嗟に拾った写真。
林がそれをどこで手にいれたのかは知らないが、そこにはあられもない格好をした彼が写っていた。
華奢な身体、透けるように白い肌。
その顔だちは僅かに幼さを残していたが、容姿は今と殆ど変わらない。
なのに、雰囲気がまるで違う。
……表情、か
写真のなかの彼は、情事の最中とは思えないような醒めた目つきをしていた。
思えば初めて会った時から、何か感じるものがあったような気がする。
それに特別扱いというわけではないけれど、気にかけていたのは確かだ。
控えめで大人しいのはそういう性格で、他人と深く関わろうとしないのは最近の若者の特徴なのかもしれないと思った。
けれどじっと周囲の動向を窺っている彼の姿は、まるで何かに警戒している猫のようで。
なんとなく放っておけなかった。
皮肉だなと思いつつ、外を眺める。
いつの間にか降りだした雨がぽつぽつと窓をたたいていた。
ーー壊したくないんです
そう言って少し悲しそうに笑った彼が、あいつの姿と重なって見えた。
あの時あいつも、同じような事を思ったんだろうか。
今となってはもう、わからないけれど。
→第四章につづく
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