along-side(BL)

kotori

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嫌ならすぐやめるから、と那波は言った。

……とめらんないって言ってたくせに

どっちなんだよと苦笑しつつ、心配そうに覗きこんでくる那波の頬を撫でた。

「……わかったから」
「………」
「てゆうか、あんまり見るなよ。なんか恥ずかしいじゃん」

緊張してるのがバレるし。

「……ヤだよ。見たいもん」
「子どもかよ」
「子どもだよ」

うってかわって、意地悪な笑みを浮かべる那波。

「……見せろよ、全部」



くすぶっていた火種が再び燃え上がるのを感じた。
那波の手は優しく俺に触れる。
でもやっぱり身体は正直で、がちがちに固くなっていた。
それに気づいた那波は、ちゅっと軽いキスをした。

「……浩介、大丈夫だから」

そしてまた唇を重ねると、その柔らかい舌を絡ませて俺を翻弄していく。
キスを堪能しているうちに頭の芯がぼうっとしてきて、自然に身体も心も弛緩していくのが自分でもわかった。
ようやく唇が離れると、いい子と言って那波が笑う。

「……あのな、」

ムッとして文句を言おうとした時、ぐい、と大きく足を広げられた。
那波の手が後ろに回り、探るようにそこに触れる。

「……っ!」

そして腰を持ち上げられたかと思うと、那波はそこを舐め始めた。

「ちょっ、や、やめ…っ、ああっ」

ぴちゃぴちゃといういやらしい音が響き、あまりの恥ずかしさにどうにかなりそうになる。
思わず顔を手で覆うと、強引にそれを外された。

「……見せて」

その表情に息を呑んでいると、さっきまで舐められていたそこに指を挿れられる。

「……!ああ…っ」

知らない感覚に全身が強張って、きゅっとそこを締めつけた。

「んっ…く、」

那波はゆっくりと俺を暴いていった。
初めは違和感しかなかったのに、指で内側を引っ掻かれる度に甘い痺れが全身にはしる。

「……怖い?やっぱ、やめとく?」
「……っ、しつこいっ…てばっ」

はぁはぁと荒い呼吸を繰り返しながら呟く。

「い、いから…っ」

ぐっと抱き寄せられて、また唇が重なったと同時に熱いモノがなかに入ってきた。

「……!んっ、ふ…!んんんっ!!」

あまりの痛さに、那波の肩をぎゅっと掴む。

「ああっ!あ、あ、あああっ…!」
「……浩介…っ」
「……っ、あ…っ、な、なな…っ」

ゆっくりと入ってくる那波のそれを、全身で感じる。
ぎゅっと抱きしめられて、涙がぼろぼろ零れた。
全部入りきってしまうと、汗で額に張り付いた俺の髪をそっと払いながら那波が言った。

「……ごめん、痛いよな…」

掠れた声。
那波の額にも、汗が滲んでいた。
俺は何も言えずにただ首を振り、抱きしめかえした。

その時、確かに感じた。
今、俺のなかに…那波がいる…。



動くよと那波は言い、俺の太腿を掴む。
ギシ、とスプリングが軋む音が聞こえた。

「――…っ!う、」

味わった事のない痛みと圧迫感に、目を見開く。

「……っ、キツ…」

これはもう、俺の身体がそれを拒絶してるとしか思えない。
そりゃそうだろ、だってソコは普通こういう事に使う場所じゃないわけで…。
そう思った矢先。

「……あっ!な、那波っ…!」

那波はそれまで俺を気遣うようにゆっくり腰を動かしていたのに、急にその動きを速めた。

「んっ…!!あっ、あ、ああっ!」

衝撃に一瞬気が遠くなる。
でも、痛みに混じってひろがっていく痺れるようなそれを確かに感じた。

「…あ、あッ?!いやっ、あっ!」
「……どう、した?」
「……なっ、なんか、ああっ、っ!」

那波が動くたび、それが擦れあうたび…何かが押し寄せてくる。

「や…っ…、なんか、おかし…、」

急に怖くなって、那波の腕を掴んだ。
するとその手をぎゅっと握られる。

「……ふっ!あ、あ!あぁっ」
「……すげえ…」

那波が呟く声。
汗の粒が、ぽたりと俺の腹に落ちた。

「すげえよ、浩介…」
「那波っ…!」

那波は更に激しく腰を動かす。
俺はもうわけがわからなくて、ただひたすら彼の名を呼び続けた。

「……っ、あ…!だめ、…っ!」

それは気づけばもうすぐそこまで迫ってきていて、それに気づいた那波は俺を抱き寄せると限界まで昇りつめていたペニスを握った。

「――――っ!」

いっきに押し寄せた波に、俺はあっという間に飲み込まれた。
一瞬目の前が真っ白になり、何も聞こえなくなる。
びくびくと身体が痙攣して、自分の意志とは関係なくそこがぎゅうっと締まった。
それとほぼ同時に、那波がうっと呻いて俺のなかで達した。



しばらく二人とも動けなくて、ベットの上に横たわっていた。

「……平気?」
「……うん」

まだ頭がぼんやりしている。
頬を押しつけている那波の胸から、まだ速い鼓動が聞こえていた。

「……なんか想像以上に痛かったけど」
「うう…ごめん、」

ぎゅうっと抱きしめられて、慌てて背中を叩く。

「苦しいって」
「……ごめん」
「……でも、痛かったけど、その…気持ちよかった、かも」

素直にそう言うと、那波は目を丸くして俺を見た。

「……まじで?」
「……まじで」
「……やべえすげえ嬉しい」
「………」

那波の嬉しそうな顔に胸が熱くなって、自分が言った事に今更恥ずかしくなってしまった。

「……そういえばさ、」

たぶん赤くなっている顔を、もぞもぞ隠しながら言う。

「那波はさ…俺のどこがいいわけ?」
「え?」

実はずっと引っかかっていた事だった。
俺には大して取り柄もないし、容姿も普通だし、地味だし。
自覚してるだけに、なんだか悲しくなるけど。

「どこって…」

うーん、と考え込む那波。
それがあまりにも長かったので、まさかなんとなくじゃねえだろうなと訝しげな視線を向けると那波は慌てて首を振った。

「いやっ、そうじゃねぇよ?」

以心伝心。

「……けど実は、俺もよくわかんないっていうか」
「……はい?」


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