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しおりを挟むできれば一生会いたくなかった浩介の彼女は、どこにでもいるような普通の子だった。
とりたてて美人というわけでも、スタイルが抜群にいいというわけでもないけど。
よく喋ってよく笑う、明るい子。
――あの、よかったら食べて?
差し出されるお菓子。
――ありがとー!あたしこれ好きなんだー
人見知りをしないのか、マキともすぐに仲良くなった。
――瀬田くんも
にっこり笑う顔には、愛嬌がある。
――……ありがと
一見奔放そうに見えて、ちゃんと気配りもできるタイプ…って俺は小姑か。
――ねぇ、どれに乗る?
並んで歩く二人は、楽しそうで。
幸せそうで。
やっぱりイラッとした俺は、遊園地に着いた途端敢えて浩介が苦手な絶叫系の乗り物ばかりを選んで、無理矢理つきあわせた。
――…ううぅ…
――だっ、大丈夫?浩介くん…
カッコ悪いところを見て引かねーかな、と思ったのに、逆効果だったらしい。
彼女はフラフラしている浩介を支えて木陰のベンチに横にならせると、濡らしたタオルを額に当てたりして健気にも看病をはじめた。
――あたし冷たい飲み物買ってくるね
普段はワガママなマキまで便乗している。
――ちょっと休まない?
――あ、じゃあさ、お昼にしようよ
女の子二人はそれぞれ、弁当を作ってきていた。
――じゃーん!
マキは料理が趣味ということもあって、大層凝った弁当を用意していた。
それに対して、彼女は…。
ランチボックスの中には、大量のおにぎりと卵焼き…のみ。
……おかずは…?
――………
――………
――……あの、ごめんなさい…あたしあんまり料理って、したことなくて…
……にしてもだよ?現代には冷凍食品とかそういう、便利なモノがあるだろう…
と、その時。
――……おいしそう
それまでくたばっていた浩介が、のそのそと起き上がりながら言った。
――食べていい?
――……うんっ
彼女は嬉しそうに笑った。
その後、吐き気がするくらい和気あいあいとした雰囲気のなかで昼飯を食べた。
――サヤちゃんの卵焼き、おいしい
マキがそう言うと、彼女はホッとした顔になる。
――よかった、あたしそれしか作れなくて…
――ねえ、もしよかったら今度、料理教えようか?
――ほんと?!
――全然いいよー
二人の会話は弾む。
――ところで那波、黙ってないでなんか感想言ってよ
――……え?あぁ、うまいうまい
――気持ちこもってないっ
ムクれるマキの隣りで、彼女は俺に笑いかける。
――瀬田くん、幸せ者だね。マキちゃんのおいしい料理、いっぱい食べられて
上手く笑い返せた自信はなかった。
――……浩介くん、おいしい?
隣りで黙々とおにぎりを食べていた浩介に、彼女は心配そうな顔で訊く。
……おにぎりにうまいもまずいもないんじゃないの?
――うん、すごくおいしい
笑ってるけど、無理してんのバレバレだし。
――仲良しだね、あの二人
少し離れたところに座って、お茶を飲みながらマキが言う。
――なんか見てて、和むっていうか
――………
――……那波?
浩介がなんで彼女に惹かれたのか、なんとなくわかった気がした。
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