along-side 番外編

kotori

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キス

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>>本編おまけの続き(皐月side)



「待てって、」
「………」
「ただの冗談だから」
「………」

祐希は足をとめない。

「……だいたい、デコちゅーくらいで」
「………」

小さく溜め息を吐いて、その細い腕を捕まえる。

「……悪かっ」
「……いいよ」

ぽつりと呟く声。

「え?」
「いいよ、誰とキスしても。……浮気、しても」
「………」

祐希は顔をあげないまま、俺のシャツの裾を握った。

「……しても、いいから…」
「………」



無理して背伸びして、意地はって。
子どもだって思われたくなくて、なんでも平気なフリして。
目の前にいる祐希が、いつかの自分と重なる。

……バカだな

ぶに、と鼻をつまむ。

「ちょ、なにすっ」
「……するなって言えよ」

そう言ってキスをした。
目を見開いた祐希の小さな顎を捕まえて、もう一度唇を重ねる。
それはもう誰にも言い訳が出来ないような、濃厚なキスだった。

「……あとで、もっといっぱいしような」

そう耳元で囁くと、祐希はぴくっと震える。
俺は笑ってその柔らかい髪を撫でた。

「じゃあな」



……店の近所でベロちゅーはまずかったか…

店に戻る途中そんな事を思いながら振り返ると、祐希はまださっきの場所に突っ立っていた。
思わず吹きだしてばいばいと手をふると、それに気づいた祐希がはっとした顔をする。
途端に紅く染まる頬。

……かわいー…

帰ったら嫌というほど甘やかして、思う存分苛めてやろう。

そう決めて、俺は店の方へと歩きだした。



end.
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