along-side 番外編

kotori

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旅行(2)

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「……そんなに離れなくても」
「………」

……おまえが変なことしてくるからだろ

ガラス張りの窓の傍に寄り外を眺めると、控えめにライトアップされた庭が見えた。

「……あ、露天風呂」

もうだいぶ温まったし、せっかくだから行ってみたいけど…雨降ってるし、無理かな。
那波の方を見ると、知らないおじいさんと何やら楽しそうに話していた。

「へぇー、じゃあ今日はご夫婦で」
「あぁ、うちのがどうしても来たいって言ってなぁー。あんたは、コレか?」

おじいさんが小指を立てて、にやりと笑う。

「そーなんですよー、うちのもどうしても来たいってー」
「………」

苦笑いしながら、再び窓の外を見る。
内容はともかくとして初対面の人とあんなふうに打ち解けて話せるなんて、やっぱりすごいなと思う。
きっと仕事にも役立つだろう。

……営業とか、向いてそうだな…

「何ぼーっとしてんだよ、まさかノボせてないよな?」
「……平気」
「おし、そろそろあがろうぜ?腹減ったし」
「え、まだ身体洗ってないし…」
「また後で入ればいいじゃん」
「まぁ…それはそうだけど」

確かにお腹も減ってるけど。

「ご飯どこで食べんの?」
「部屋」
「え、まじで?」

思わず嬉しい声がでる。

「俺さ、広間とかで食うのって、なんか落ち着かなくて……」
「そうだと思った」

那波は笑って言った。

「俺も、二人の方がいいし」

さりげなく繋がれる手。

……あ、やばい

なんか…きゅんときたかも。



部屋に入った途端、なんだか急に恥ずかしくなってしまった。

「……あ、お茶、飲む?」

急須を取ろうとすると、背後から抱きしめられる。

「……浩介、浴衣似合うな」

耳元で囁かれて、どきどきした。

「……そう、かな。俺あんまり肩幅ないし、那波のほうが……」

……てゆうかなんで今更、緊張してんだよ…

「……な、なみ、あのさ、お茶…」
「………」

耳を舐められると、背中がぞくりとする。

「……あっ…、」

思わず身をよじると、今度はうなじにキスをされた。

「……なんか、すげえ色っぽいし…」
「……なっ…なな、」
「勃っちゃった」
「……っ!」

押し付けられる硬いモノ。
そしてするりと浴衣の中に入ってくる那波の手。

「ちょっ待っ、今からメシって」
「ごめん、待てないかも」
「…や、那波…っ!」

と、その時。

「失礼いたします、お食事のご用意を…」
「……!!!」



「……浩介ー、まだ怒ってんの?」
「………」

那波の言葉を無視して、黙々と箸を動かし続ける。

「大丈夫だって、たぶん外には聞こえてねーよ」

……でもここ襖だし!

それによく考えたら、男二人で温泉旅行ってやっぱり変だし…。
しかもさっき普通に、廊下で手繋いでたし…恐るべし旅先の解放感…。

「仲がよろしいんですねって、仲居さん言ってたじゃん。……あれ?でもそれってなんか…」
「~~~っ」

まぁまぁ、と那波。

「あ、おまえ茶碗蒸し好きだろ」

ほら、と那波が自分の分を差しだす。

「……ありがと」
「うまいな、山の幸も」

旬のものを多く取り入れ、新鮮な食材そのものの味を活かした料理の数々。
シンプルなのに、どれもすごく手が込んでいる。

「うん…すごくおいしい」

素直にそう答えると、那波はじっと俺を見た。

「なに?」
「や、来て良かったなって」
「………」

その大人びた笑顔に、またどきっとした。

……やっぱり、おかしい

なんか、いつもより…那波がかっこよく見える。

「……俺も、そう思う」
「そっか」
「……うん」
「また、来ような」

小さく頷くと那波は嬉しそうに笑って、はいあーん、とフォークに刺した林檎を差しだした。
何やってんだかと苦笑いしながらそれを咥えた、その時。

「失礼致します、ビールをお持ちしました」
「………」
「………」
「………」



「いやいや、今のは事故だろ」
「………」
「てゆうかおまえも結構、ノってたじゃん?」
「………」


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