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四章 家族一緒に
第14話 リューの試練
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ここどこ? お母様は? ルー兄さまは? ルナちゃんは?
ゴホゴホ。苦しい。
寒い。苦しい。
「苦しいかい? リュミエル」
誰?
「お前の願いはなんだ?」
「楽になりたい」
「それでいいか?」
「それで……。違う。それじゃダメ」
「ちがうのかい。残念。では何を願う?」
「なんだっけ。えーと」
「ほ~ら。早く答えないと病気をひどくするよ」
「願い。あれ? ゴホゴホ。苦しい。苦しいよ」
「願いはなんだい? もっと苦しくしたら思い出せるかな」
楽になりたい。苦しいよ。でも、それはもう言っちゃダメなの。だってリューは……
リューはみんなの役に立ちたいんだから!
「リューはみんなの役に立つんです! お母様のお手伝いをする。ルー兄さまにご飯を作る。ルナちゃんをなでなでするんです」
「そうかい? それは健気な願いだね。でも、そんな体じゃなにもできないよね」
「願いをかなえて」
「いいよ。あそこに薬がある。知っているだろう、カレーのスープだ。あたしの特製さ。激辛のルゥを溶かした熱々のカレースープ。いい薬ってのは、苦いものさ。全部飲み干したらあんたの病気は治る。ただし、飲み残したらもっと体は悪くなる。あんたは役立たずのまま、迷惑かけて生きていくのさ」
辛いのやだ。でも役に立てないのはもっといや。
少しだけ。ゆっくり飲めば飲めると思う。
ん! 辛い! 痛い!
でも。少しずつ。痛い。少しずつ。無理!
「おや、もう終わりかい。あんたが家族を思う心はその程度なのかい?」
ルー兄さまの顔が浮かんだ。
ルー兄さま、いつも疲れながらリューにカレールゥを取ってきてくれるの。怪我をしても疲れても、笑顔で帰ってきてくれる。
これは辛いだけのスープじゃない。ルー兄ちゃんがリューを思って作ってくれたスープだって思おう。そう思えば飲めるはずです。
一口飲んだら、さっきまでの痛さは感じなくなった。でもまだ辛いです。
ルナちゃんの顔が浮かんだ。
リューが熱を出した時、いつもくっついてきてもふもふで温めてくれる。
がんばらなきゃ。元気になるんだ。
ごくごく。少しずつ減っているけど、まだこんなにあるの?
お母様の顔が浮かんだ。
いつも笑顔で優しいお母様。みんなのためにおいしいご飯を作ってくれるお母様。
お手伝いするんだ。元気になってお手伝いする!
お母様のことを思いながら辛いスープを飲んだ。あれ?
甘いシロップと白いミルクがカップの中に混ざり、カレーのドリンクになったよ。
これ、リューが大好きなドリンク。
ゴクゴクゴクゴク。思いっきり飲む。いつ辛くなるか分からないから。早く飲まなきゃ。
気が付くと、カップの中身はからっぽ。
パチパチパチって拍手が聞こえる。ん、猫ちゃん?
「おめでとう。薬は全部飲めたみたいね。家族への思い、堪能させてもらったわ」
よくわからないけど、終わったの?
「じゃあ、ご褒美あげる。あなたには魔法が使えるようにしてあげるわ。本来なら、あなたが使えるようになる魔法は、ちょっとだけ他人に痛みを与える魔法なんだけど、あなたのお母さんが喜ぶ魔法に変えてあげる。それでいい?」
「うん。それがいいです」
「じゃあ手を貸して。あなたの魔法を書き換えるわ。クール。つめたくする魔法よ」
「冷たくすると喜ぶんですか?」
「あなたのお母さんなら、使い道がわかるはずよ。じゃあ戻っていいわよ」
終わったの? 早くみんなに会いたいな。
ゴホゴホ。苦しい。
寒い。苦しい。
「苦しいかい? リュミエル」
誰?
「お前の願いはなんだ?」
「楽になりたい」
「それでいいか?」
「それで……。違う。それじゃダメ」
「ちがうのかい。残念。では何を願う?」
「なんだっけ。えーと」
「ほ~ら。早く答えないと病気をひどくするよ」
「願い。あれ? ゴホゴホ。苦しい。苦しいよ」
「願いはなんだい? もっと苦しくしたら思い出せるかな」
楽になりたい。苦しいよ。でも、それはもう言っちゃダメなの。だってリューは……
リューはみんなの役に立ちたいんだから!
「リューはみんなの役に立つんです! お母様のお手伝いをする。ルー兄さまにご飯を作る。ルナちゃんをなでなでするんです」
「そうかい? それは健気な願いだね。でも、そんな体じゃなにもできないよね」
「願いをかなえて」
「いいよ。あそこに薬がある。知っているだろう、カレーのスープだ。あたしの特製さ。激辛のルゥを溶かした熱々のカレースープ。いい薬ってのは、苦いものさ。全部飲み干したらあんたの病気は治る。ただし、飲み残したらもっと体は悪くなる。あんたは役立たずのまま、迷惑かけて生きていくのさ」
辛いのやだ。でも役に立てないのはもっといや。
少しだけ。ゆっくり飲めば飲めると思う。
ん! 辛い! 痛い!
でも。少しずつ。痛い。少しずつ。無理!
「おや、もう終わりかい。あんたが家族を思う心はその程度なのかい?」
ルー兄さまの顔が浮かんだ。
ルー兄さま、いつも疲れながらリューにカレールゥを取ってきてくれるの。怪我をしても疲れても、笑顔で帰ってきてくれる。
これは辛いだけのスープじゃない。ルー兄ちゃんがリューを思って作ってくれたスープだって思おう。そう思えば飲めるはずです。
一口飲んだら、さっきまでの痛さは感じなくなった。でもまだ辛いです。
ルナちゃんの顔が浮かんだ。
リューが熱を出した時、いつもくっついてきてもふもふで温めてくれる。
がんばらなきゃ。元気になるんだ。
ごくごく。少しずつ減っているけど、まだこんなにあるの?
お母様の顔が浮かんだ。
いつも笑顔で優しいお母様。みんなのためにおいしいご飯を作ってくれるお母様。
お手伝いするんだ。元気になってお手伝いする!
お母様のことを思いながら辛いスープを飲んだ。あれ?
甘いシロップと白いミルクがカップの中に混ざり、カレーのドリンクになったよ。
これ、リューが大好きなドリンク。
ゴクゴクゴクゴク。思いっきり飲む。いつ辛くなるか分からないから。早く飲まなきゃ。
気が付くと、カップの中身はからっぽ。
パチパチパチって拍手が聞こえる。ん、猫ちゃん?
「おめでとう。薬は全部飲めたみたいね。家族への思い、堪能させてもらったわ」
よくわからないけど、終わったの?
「じゃあ、ご褒美あげる。あなたには魔法が使えるようにしてあげるわ。本来なら、あなたが使えるようになる魔法は、ちょっとだけ他人に痛みを与える魔法なんだけど、あなたのお母さんが喜ぶ魔法に変えてあげる。それでいい?」
「うん。それがいいです」
「じゃあ手を貸して。あなたの魔法を書き換えるわ。クール。つめたくする魔法よ」
「冷たくすると喜ぶんですか?」
「あなたのお母さんなら、使い道がわかるはずよ。じゃあ戻っていいわよ」
終わったの? 早くみんなに会いたいな。
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