モンド家の、香麗なギフトは『ルゥ』でした。~家族一緒にこの異世界で美味しいスローライフを送ります~

みちのあかり

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四章 家族一緒に

第18話 マリーの試練③

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「どうやらアサミのことを思い出したようだね」

 またあの声が聞こえる。

「あなた誰? なんで浅海さんのことを知っているの?」

「知りたいかい? そうだね。まあ、合格でいいだろう。褒美だ」

 突然、後ろから懐かしい声がした。

「やあ麻里、大きくなったな。元気そうで何より」

 え? 浅海さん? うそ。だって。

 思わず振り返ると、どう見ても20代に若返った浅海さんがいる。

「浅海さん!」

 思いっきり抱きついたけど、そこに浅海さんの体はなかった。

「どうして!」

 あたしは叫んだ! 感情が高ぶって泣きたくなる。だめ、泣くもんか!

「麻里、よく聞きな。あんた転生したんだね」
「うん」

「あたしはさ、あんたと違って転移したんだ。この世界にね」
「はぁ?」

「もともとこの家はあたしが建てて住んでいたんだ。ほら、あの時見に行った近くの教会に似ているだろう」

 赤いとんがり屋根の教会? 確かにあの教会、ステンドグラスがあって、なぜか畳が敷いてあったのよね。

「今ね、取材旅行中なの。そっちの猫がさ、『頼まれた子が来てるから会ってみる?』っていうから、思念だけつなげてもらったのよ」

 はあぁぁぁ?

「浅海さん! なんで? どういうこと?」

「あれ? 麻里ってどこまで思い出したの?」
「カレー作るの教わってた時まで!」

「なんだ。じゃあその後教えるね。あんたは順調に育ち、掃除はへたっぴのままだけど、料理が上手な子に育ちました。進学校より、楽しいことしたいって公立高校に入ったのよ」

「浅海さんは? 小説家、ヒット作でたの?」

「ええ。ライトノベルで本屋大賞取ってね、有名作家の仲間入りよ。アニメ化もなったし、まあ、あの時麻里と一緒に交通事故に巻き込まれて、二人とも死んじゃったけどさ、あの時までやれることはやったから、まあいい人生だったよ」

 何でそこで笑えるの⁈ まったく、浅海さんらしいけど。

「麻里は29年前に転生したんだね。頑張ったね」

 浅海さん、ずるい。そうやってすぐほめてくれる。泣きそうになるじゃん。

「あたしはね、三年前にこっちへ転移したんだ。時間軸どうなっているんだ? まあ、転生特典で24歳の体に戻ったし、ギフトももらったのよね。あたしのギフト便利よ。ギフト名「錠剤」っていうの。ビタミン剤とか、風邪薬とか色々出てくるのよ」

 あ・さ・み・さ・ん・ずるい~~~~~!

 なんで? あたしギフトないのに! 29年間楽しいこともあったけど、苦労もしたのよ! もう後半は苦労だらけ!

「最初はさ、黒髪の黒目だから街中に入れてもらえなかったのよ。でもさ、麻里と引っ越したところ、野外活動普通に出来たじゃん。芋煮とか、キャンプとか。普通に薪で調理できたよね」

「うん」

「その経験が良かったのよ。冒険者が、持ちきれなくて置いていった肉を焼いて食べていたら、貴族の偉い人が、腹痛で困っていてね、薬あげたらすぐ治ったのよ。転生特典で、錠剤の効果が速攻になっていたから」

 なにそれ、ずるくない?

「で、街中は入れないから家を建てたの。貴族に金出させてね。で、なんだかんだで、たまに錠剤売ったりしてたら、魔女様って呼ばれるようになったのよ。説明これくらいでいい?」

 浅海さん、さっきまでの感動を返して~! おかしい、出会えてうれしいはずなのに、なにこのちぐはぐな感じ。

 相変わらずだよ。悲しい時もさみしい時も、浅海さんはすぐに笑いに変えてしまう。

 大好きだよ!

「じゃあ本題に入ろうか。魔女の家の屋根裏に大きな猫が住んでいる。聖獣だ。名前ないっていうから猫って呼んでたんだけどさ、その猫にお願いしていたんだ。もしあたしの知り合いが来たら、もてなしてくれって」

 あれがもてなしなの? あ、だけどあたしが浅海さんを思い出したのって、こうして会えるのって……。

「いたずら好きだから揶揄われたのかい? まあ慣れれば仲良くなるさ。その家好きに使っていいから。猫よろしく」

 言いたいことだけ言って!

「浅海さん! 何で出ていったんですか? どこにいるんですか? 帰ってくるんですか!」

 あたしが必死で言っても、あはははと笑ってこう言ったよ!

「なんかさ、お金溜まったから取材旅行しているんだ。こっちでも小説書こうと思ってね。せっかくの異世界、楽しまなくてどうする。そうだ、麻里も旅に出なよ。移動するたび景色が変わる。常識も変わる。楽しむのに最適さ。あたしを探しにおいで、どこかで縁が交わるはずだ。その時また会おうよ」

 言いたいことだけ言いやがって! 浅海さんはそのまま消えてしまった。

「あなたが猫なの?」

「そうだね。アサミはそう言ってた。色々呼ばれるからなんて呼んでもいいわ」

「そう、猫さん。ありがとう。素敵なご褒美くれて」

「アサミのことかい? あれはアサミとの約束。あんたの褒美は別だ。そうだな。ギフトを使えるようにしてやろう。あんたのギフトは、『クリーン』だよ。掃除・洗濯・皿洗いが一瞬で終わる」

「本当に?」

「ああ。浮いた時間で料理を作ればいい。子供と触れ合えばいいさ。この家の掃除も大変だったろう」

 掃除から解放される。浅海さんが生きていた! 嬉しいことだらけであたしはみんなのところに帰っていった。
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