モンド家の、香麗なギフトは『ルゥ』でした。~家族一緒にこの異世界で美味しいスローライフを送ります~

みちのあかり

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四章 家族一緒に

第19話 VER・モンド・カレー

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【ルナ】

 儂は何もできず、子供たちの危機を見ているしか出来なかった。

「こら馬鹿猫! 何をやっとるんじゃ! なぜこんなことを。儂を向かわせろ!」

「あんたのダメなところはそこよ! かわいい子には試練を与えろって言うよね。ほら、やればできるじゃない。あんなに甘えてた子がちゃんと課題をクリアしたわ」

「んぐ」

 正論にたいして、儂は変な声をだすしかなかった。

「愛はね、甘やかすだけじゃだめ。見守る辛さと大切さが身に染みるまでそこで悶えていなさい」

 結局、何もできぬまま見守るしかなかったが、子供たちが大切なことに気が付くたび、こいつに感謝していた儂もいた。小癪な猫め!」

「わたしの偉大さがわかったかしら~。ほれほれ」

「うるさい」

「これだから、頑固なじじいは。ま、いいでしょ、あんたにも褒美をあげるわ。あんたの邪悪な姿のせいで、あの子たち街に住めないのよね。だ・か・ら、あんたが人の姿になれるようにしてあ・げ・る」

「人の姿じゃと! 言葉も話せるのか」

「あったり前じゃない。受ける?」

「もちろんじゃ」

 儂は即座に答えた。馬鹿猫がいやらしい笑顔だったのが気になったが、その意味がわかるのは、全てが終わったあとだった。




【マリー】

「お母様~、あのねあのね、リュー頑張って病気が治ったの~」
「かあさん。無事だったんだね。よかった」

 あたしが戻ると、リューが飛びついてきた。
 リュートとルーの話を聞いて、「よくがんばったね」と二人の頭を思いっきりなでた。元気になったリューの姿を見て泣きそうになったけど、笑顔のリューに最高の笑顔を送ったよ。

ルーは、ドロップアイテムがおかしいんだって、あたしに見せた。

 こ、これは!

 お米、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、豚肉。それに、お家のマークのあのカレールゥが、箱に入って置いてあった。

 猫さんからのごほうびなの?

 いつの間にか、何もなかった空間は、浅海さんと住んでいた台所に変わっていた。
 包丁も、鍋も、炊飯器も、あの頃のまま。

「みんな、カレーを作るわよ。お手伝いできる?」

「もちろんだよ」
「リュー、お手伝いする~!」

「じゃあ、ルーはジャガイモを洗って。リューは、この玉ねぎの、茶色い皮をむいてね」

 トントン・ジュージュー・コトコトコト。

 ほっこりご飯とあったかカレーが出来上がった。

 浅海さん特製、甘口カレーもリューのために作ったよ。

 カレーがよい匂いを放ちながら火を止めたとき、どこからかルナが現れた。

「ルナちゃん!」

 リューが嬉しそうに飛びついた。

「心配したんだよ。大丈夫?」

 リューがモフモフの毛に顔を埋めて心配そうに聞いた。その時、

 ルナの姿が、リューと同じくらいの人間の女の子になった。

「ルナちゃん? どうしたの?」

 驚いたリューが叫ぶと、猫さんの声が響いた。

「その駄犬への褒美だ。この街では無理だろうが、他の街なら。犬コロの姿でなければ、街の中に入っても問題あるまい。まあ、姿はわたしの趣味にさせてもらった。そのままでは気持ちが悪いから、自動的に女の子の言葉遣いに返還するようにしておいた。ひゃはははは」

「何ですって、この馬鹿猫ちゃん!」

 ルナちゃん、怒ってもかわいい。

「その子と一緒に成長するから、友達になってやれ、リュー」

「うん。よろしく、ルナちゃん」

 こういう時は、どうすればいい? うん。みんなでカレーを食べてから考えよう。

 あたしたちは、炊き立てご飯とカレーをお皿によそって、テーブルに並べた。

「なんで、七つも? 四人だよね」

「いいの。これは、ルーが出会ったお父さんの分。これは、母さんのお母さんの分。これは、猫さんへのお礼」

 ルナは「馬鹿猫の分はいらないの~!」と可愛らしく怒っていたが気にしない。

 みんなで椅子に腰かけて、手をあわせた。

「「「いただきま~す」」」

 みんなが笑顔になる。
 これが丁香家、いえ、みんなで作ったモンド家のお家カレーよ!

 カレーを食べればみんなが笑顔で幸せになれる。
 それが、なんてことのない材料で、普通に作った、大切な大切な、家族への想いのこもったお家カレー。
 
「「「ごちそうさまでした」」」

 おいしかったね。家族一緒で幸せだね。
 気が付くと、ここにいない三人分のお皿のカレーも、きれいに空になっていた。



 部屋いっぱいに音楽が鳴り響く。

『♫VER・モンド家の香麗なルゥ
 ♫アップル&ハニーも仲良く混ぜ混ぜ
 家名! ♫VER・モンド家の・カレー』

 私にとっては懐かしい歌が聞こえた。

「母さん。モンド家のカレーは分かるけど、VERって何だろう」
「そうね。何だろうね」

 私にとっては必要なんだけど、確かにわからないわね。

「知らないの? VERは古い言葉で『幸せを配る』という意味なのよ」
 女の子の姿をしたルナが、ツンツンとしながら可愛い声で教えてくれた。

 今まで作ったメニューが空中に浮かんだ。

「ルゥ【カレー】のレシピ・解放」
  メニュー1 カレーのスープ
  メニュー2 カレーのパン粥
  メニュー3 カレーのドリンク 
  メニュー4 カレーの煮もの
  メニュー5 カレーの揚げ物
  メニュー6 カレーの炒め物
  メニュー7 カレールゥのまぶし焼き
  メニュー8 カレーのトロトロソース
  メニュー9 カレー調理食品のパン挟み
  メニュー10 VER・モンド家のお家カレー(グランドメニュー)

 この街についてから、たくさんの料理をつくったね。
 カレー以外でも、たくさんの料理を作った。それはルゥのギフトなしでも作ることができるもの。

 ルーも頑張った。リューも頑張った。あたしも頑張った。

 メニューを見ながら、感慨にふけった。

 ギフトの歌声と同じ声が聞こえた。

「グランドメニューを確認。
 メニュー総数10。規定数5クリア
 街への貢献度。規定値クリア。

 新しいルゥが解放される条件が揃いました。
 ギフトルゥ・『クリームシチュー』解放します」

 クリームシチュー! 本当に?

「クリームシチューって何だろう?」
「それはね、甘くておいしい、ミルク煮のような、それよりもっとおいしい極上の料理なのよ」
「甘いの! リュー食べたい!」

 声が続く。

「入手条件。新しい街に行く」

「次のレベル解放への条件。
  メニュー5つ以上の開発。
  グランドメニュー開発。
  街への貢献度規定値クリア」

 そう告げると、また広い空間に戻った。

「課題は全てクリアした。戻るがよい」

 猫さんの声がした。

「その、なんだ。カレーごちそうさまでした」

 照れたような声が聞こえた。

 あたしたちは魔女の家に帰っていた。
 明日のことは、明日考えましょう。

 今日は幸せな気分のまま、歯を磨いてみんなで一緒に寝ましょうね。

 おやすみなさい。みんながいい夢見られますように。
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